車検の法定費用とは?内訳と支払いの注意点について

メンテ
  • 更新日:2026/03/10

車検費用の中でも、「思ったより高い」と感じる原因になりやすいのが法定費用です。見積書を見ると、整備費用とは別にまとまった金額が記載されており、「この費用は何?」「値引きできないの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

法定費用は、自動車重量税や自賠責保険料など、国や保険会社へ支払うために定められている費用で、どの整備工場で車検を受けても基本的に同じ金額になります。この記事では、車検費用の中でも特に分かりにくい法定費用の内訳や支払い方法、注意点について分かりやすく解説します。

車検の法定費用とは?その内訳について

車検の見積書を見ると、「自賠責保険料」「重量税」「印紙代」など、聞き慣れない項目が並び、内容が分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、車検費用は大きく分けると「法定費用」と「車検基本料」の2種類だけです。

  • 法定費用とは?車検基本料の違い
  • 法定費用の内訳と価格一覧

法定費用とは?車検基本料の違い

車検費用は大きく分けて「法定費用」と「車検基本料」に分類されます。さらに、必要に応じて発生する車検整備費用もあり、それぞれ意味や内容が異なります。車検の見積もりを正しく理解するためには、この違いを知っておくことが大切です。

法定費用とは、車検時に法律で支払いが義務付けられている税金や保険料のことを指します。主な内訳は、自動車重量税、自賠責保険料、そして検査手数料(印紙代)です。自動車重量税は車両の重さや経過年数に応じて課税される税金で、自賠責保険は交通事故の被害者救済を目的とした強制保険です。これに加入していなければ、公道を走行することはできません。

さらに、車検では国の検査ラインを通す必要があり、その際に検査手数料がかかります。この検査は国の管轄のもとで実施されるため、手数料も法定費用に含まれます。自賠責保険は国が定めた強制保険であり営利目的ではないため、重量税と同様に業者によって金額が変わることはありません。このように、法律で納付が義務付けられている費用であることから「法定費用」と呼ばれています。

一方で、車検基本料は法定費用とは別に、車検を通すために業者へ支払う手数料を指します。こちらは各ディーラーや整備工場、車検専門店が自由に設定できるため、金額や内容は業者ごとに異なります。一般的には、車検事務手数料や24か月点検費用が含まれています。

そして、24か月点検の結果、基準を満たしていない部品や不具合が見つかった場合には、部品交換や修理といった車検整備費用が追加で発生します。そのため、車検費用を比較する際は、法定費用はどこでもほぼ同じであることを理解し、車検基本料や整備費用の内容をしっかり確認することが重要です。

法定費用の内訳と価格一覧

法定費用の内訳は、「自動車重量税」「自賠責保険料」「印紙代(検査手数料)」の3つです。これらは法律で支払いが義務付けられている費用であり、基本的にどの車検業者を利用しても金額は同じです。それぞれの内容と最新の税額目安を確認しておきましょう。

  • 自動車重量税
  • 自賠責保険料
  • 印紙代(検査手数料)

自動車重量税

自動車重量税は、車両重量に応じて課税される税金です。以前は比較的シンプルな税体系でしたが、2009年に導入されたエコカー減税制度以降、燃費性能や環境性能によって税額が変わる仕組みになりました。これは2008年のリーマンショック後の経済対策や、環境性能の低い車からの買い替え促進を目的としてスタートした制度です。その後、環境基準の見直しにより減税対象は段階的に厳格化されています。

現在は、燃費性能が高くCO2排出量が少ない車ほど減税措置が受けられます。特に電気自動車(EV)、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、天然ガス車などは新車登録時に免税となるケースがあります。また、電気自動車など一部車種では初回の継続車検時も免税対象となる場合があります。

継続車検時の重量税は、車両重量に加えて新規登録からの経過年数によっても区分されます。区分は「13年未満」「13年経過」「18年経過」の3段階で、年数が経過するほど税額は高くなります。つまり、重量・経過年数・エコカー減税の有無という3つの要素が絡むため、現在の自動車重量税はやや複雑な仕組みといえます。

2023年5月1日からの自動車重量税の税額表(2年自家用車)(単位円)

エコカー エコカー(本則税率) エコカー以外 エコカー以外13年経過 エコカー以外18年経過
検査対象軽自動車(二輪は除く) 免税 5,000 6,600 8,200 8,800
0.5t以下 免税 5,000 8,200 11,400 12,600
~1.0t 免税 10,000 16,400 22,800 25,200
~1.5t 免税 15,000 24,600 34,200 37,800
~2.0t 免税 20,000 32,800 45,600 50,400
~2.5t 免税 25,000 41,000 57,000 63,000
~3.0t 免税 30,000 49,200 68,400 75,600

13年・18年経過車はそれぞれ増税となり、たとえば1.5t超~2t以下の場合は13年経過で45,600円、18年経過で50,400円となります。

正確な重量税額を知りたい場合は、車検証を手元に用意し、オンライン照会サービスを利用すると便利です。普通自動車は国土交通省が提供する「次回自動車重量税額照会サービス」、軽自動車は軽自動車検査協会の照会サービスで確認できます。

このように自動車重量税は条件によって金額が変わるため、車検見積もりを確認する際は、自分の車の重量区分と経過年数を把握しておくことが大切です。

普通自動車(国土交通省)
軽自動車(軽自動車検査協会)

自賠責保険料

自賠責保険料とは、「自動車損害賠償責任保険」の保険料を指し、車を所有・使用するすべての人に加入が義務付けられている強制保険です。公道を走行する以上、必ず加入していなければならない保険であり、未加入のまま運転することは法律違反となります。

自賠責保険の補償対象は、交通事故によって他人を死傷させてしまった場合の対人賠償です。被害者救済を目的とした最低限の補償を行う保険であり、物損事故や自分自身のケガなどは補償の対象外です。そのため、多くのドライバーは別途「任意保険」にも加入しています。

任意保険は加入するかどうかを車の所有者が自由に決められる保険ですが、自賠責保険は加入が義務です。この点が大きな違いです。車検費用に含まれるのはあくまで自賠責保険であり、任意保険を更新する場合は必ず契約者の意思確認が必要になります。

自賠責保険は車検ごとに更新する仕組みになっており、車検を受ける際には必ず有効な保険期間が確保されていなければなりません。加入期間は1か月から37か月まで設定されており、基本的には車検の有効期間をカバーできる最短期間で加入します。自賠責保険の有効期限が車検期間を満たしていない場合、車検を取得することはできません。

たとえば継続車検の場合、現在の自賠責保険が車検満了日より数日長く設定されています。そのため、通常は24か月で加入し直すことで、次回の車検満了日まで有効となります。しかし、すでに車検が切れており、自賠責保険も失効している場合は、24か月では不足するため25か月で加入します。これは、車検取得日から2年後まで保険を有効にするための調整です。

新車登録時は初回車検が3年後となるため、自賠責保険は36か月ではなく、1か月分を加えた37か月で加入します。これも車検満了日を確実にカバーするための措置です。

1か月契約は、車検切れの車両を一時的に自走して整備工場へ移動させる場合などに利用されます。また、販売目的の車両(商品車)を移動させるケースでは、特例として5日間の短期加入が認められています。

このように、自賠責保険は公道を走るすべての車に義務付けられた保険であり、車検時には必ず更新が必要です。車検費用の中でも法定費用に含まれる重要な項目であるため、保険期間と加入月数の仕組みを理解しておくことが大切です。

24か月契約 25か月契約 36か月契約 37か月契約
自家用乗用自動車 17,650円 18,160円 23,690円 24,190円
軽自動車 17,540円 18,040円 23,520円 24,010円
離島(沖縄県を除く)自家用乗用自動車 7,660円 7,760円 8,850円 8,950円
離島(沖縄県を除く)軽自動車 7,220円 7,300円 8,190円 5,920円

印紙代(検査手数料)

印紙代(検査手数料)とは、車検を受ける際に必要となる公的な手数料のことです。支払いは印紙や証紙の購入という形で行われ、納付先は国や関係機関となります。具体的には、国へ納める「自動車検査登録印紙」と、自動車技術総合機構(NALTEC)へ納める審査手数料があります。これらを合算したものが、車検時に必要な検査手数料です。

この検査手数料は一律ではなく、どの整備工場で車検を受けるかによって金額が変わります。理由は、自動車整備工場には「指定整備工場」と「認証整備工場」の2種類があり、車検の実施方法が異なるためです。

指定整備工場は、自社内に車検検査ラインを持っており、点検から検査までをすべて自社で完結できます。一方、認証整備工場は車検ラインを保有していないため、車両を陸運支局などへ持ち込み、検査を受ける必要があります。この違いによって、納付する印紙代や証紙代の合計額が変わってきます。

また、3ナンバー車(普通自動車)、5ナンバー車(小型自動車)、軽自動車でも金額は異なります。

認証整備工場の場合

車種 自動車検査登録印紙(国に納付) 自動車審査証紙(機構に納付) 合計
3ナンバー車(普通自動車) 500円 1,800円 2,300円
5ナンバー車(小型自動車) 500円 1,700円 2,200円
軽自動車 1,800円 400円(技術情報管理手数料) 2,200円

指定整備工場の場合

車種 自動車検査登録印紙(国に納付) 自動車審査証紙(機構に納付) 合計
3ナンバー車(普通自動車OSS申請) 1,200円 400円 1,600円
3ナンバー車(普通自動車OSS申請無) 1,400円 400円 1,800円
5ナンバー車(小型自動車OSS申請) 1,200円 400円 1,600円
5ナンバー車(小型自動車OSS申請無) 1,400円 400円 1,800円
軽自動車(OSS申請) 1,200円 400円(技術情報管理手数料) 1,600円
<軽自動車(OSS申請無)/th>

1,400円 400円(技術情報管理手数料) 1,800円

このように、印紙代(検査手数料)は「工場の種類」「車の区分」「OSS申請の有無」によって金額が異なります。車検見積もりを見る際は、どの区分に該当しているのかを確認すると、費用の違いがより理解しやすくなります。

車検の法定費用の注意点

車検の法定費用は、整備費用とは異なる取り扱いとなりため、以下の2点を注意しましょう。

  • 法定費用は原則現金一括払い
  • 法定費用は割引対象にはならない

法定費用は原則現金一括払い

車検費用をクレジットカードやローンで支払いたいと考える方も多いですが、車検費用の中でも法定費用については原則として現金のみでの支払いとなるため注意が必要です。

現在はキャッシュレス決済が普及しており、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、さまざまな支払い方法が利用できます。しかし、これらの方法は基本的に車検の法定費用には利用できません。

その理由は、キャッシュレス決済を利用すると決済手数料を整備事業者側が負担しなければならないためです。キャッシュレス決済では、支払い時に自動的に決済手数料が差し引かれた状態で事業者に入金され、場合によっては振込手数料も発生します。

法定費用は、本来そのまま国などに納める費用であり、整備工場の利益は含まれていません。そのためキャッシュレス決済を導入すると、整備事業者は手数料分だけ赤字になってしまいます。

こうした事情から、多くの整備工場では法定費用のみ現金払いとしているケースが一般的です。ただし、銀行ローンなどを利用して車検費用全体を借り入れる場合は、手元に現金がなくてもローンで実質的に支払うことは可能です。

法定費用は割引対象にはならない

車検では、整備工場ごとに車検整備費用の割引キャンペーンが行われることがあります。しかし、車検費用の内訳に含まれる法定費用については割引の対象にはなりません。そのため、見積書では法定費用だけが割引なしで計上されるのが一般的です。

法定費用は、自動車重量税や自賠責保険料など、最終的に国や保険会社へ納めるための費用です。整備工場に支払う形にはなりますが、実際には一時的に預かっているだけであり、整備工場の利益になるものではありません。つまり、国が制度として変更しない限り、法定費用は決められた金額をそのまま支払う必要があります。

また、法定費用は割引ができないだけでなく、先払いを求められるケースが多い点にも注意が必要です。法定費用は比較的高額になるため、整備工場が立て替え負担を避ける目的で、事前に支払いをお願いされることがあります。

このように、法定費用は国や保険会社へ納めるための費用を預かっているにすぎず、整備工場の判断で割引を行えるものではありません。したがって、車検費用の割引があった場合でも、対象となるのは主に整備費用や基本料金などに限られます。

クルマ別の法定費用目安一覧

ここでは、車検費用に含まれる法定費用の目安を、車種ごとに分かりやすく表にまとめました。スペースの都合上、すべての車種を掲載することはできませんが、掲載されていない車種についても、近いクラスの車種を参考にすることでおおよその法定費用を把握することができます。

愛車の車検費用を確認する際の目安として、ぜひ参考にしてください。

軽自動車の場合

車種例 N-BOX・スペーシア・タント・ハスラー・デリカミニなど
自賠責 (24か月)17,540円
重量税 (新車から13年未満)6,600円
印紙代 1,600円~2,200円
法定費用合計 25,740円~26,340円

小型車(1,000kg以下)の場合

車種例 ヤリス・ノート・クロスビーなど
自賠責 (24か月)17,650円
重量税 10,000円~16,400円
印紙代 1,600円~2,300円
法定費用合計 29,250円~36,350円

中型車(1,500kg以下)の場合

車種例 ヴェゼル・シエンタなど
自賠責 (24か月)17,650円
重量税 7,500円~37,800円
印紙代 1,600円~2,300円
法定費用合計 26,750円~57,750円

大型車(2,000kg以下)の場合

車種例 ヴォクシー・ノア・セレナなど
自賠責 (24か月)17,650円
重量税 10,000円~50,400円
印紙代 1,600円~2,300円
法定費用合計 29,250円~70,350円

大型車(2,000kg超)の場合

車種例 アルファード・ランドクルーザーなど
自賠責 (24か月)17,650円
重量税 12,500円~63,000円
印紙代 1,600円~2,300円
法定費用合計 31,750円~82,950円

トラック・バン(2,000kg以下)の場合

車種例 ハイエースバン・キャラバンなど
自賠責 (24か月)12,850円
重量税 6,600円(13年越え8,200円18年越え8,800円
印紙代 1,600円~2,300円
法定費用合計 21,050円~23,950円

まとめ

車検費用は大きく分けて、法定費用と車検整備費用の2つで構成されています。このうち法定費用は、自動車重量税や自賠責保険料、検査手数料など、国や保険会社へ納めるために定められた費用です。そのため値引きはできず、支払い方法も現金のみとしている整備工場が多いのが一般的です。

また、法定費用は整備工場の売上ではなく、あくまで国や保険会社へ支払うための預かり金という性質のお金です。そのため、車検を受ける際に法定費用の前払いを求められるケースも珍しくありません。これは整備工場が立て替え負担を避けるための対応であり、特別なことではないと言えるでしょう。

このように、法定費用はどの整備工場で車検を受けても基本的に同じ金額になります。したがって、車検費用を比較する際は、整備費用や基本料金など法定費用以外の部分に注目すると、違いが分かりやすくなります。

この記事をシェア

著者情報

コイズミ

18歳から自動車業界に入り、自動車整備や自動車鈑金、新車中古車販売を数十年手がけてきました。 現在はリタイヤして自動車関連の情報を発信しています。
記事一覧を見る

  • cars マイカー定額
  • cars AI査定
  • cars MEMBER

カテゴリー内記事Related articles

cars Enjoy! Smart Life
carsはSDGsに取り組んでいます

Sustainable Development Goals