運転しやすい車とは、どのような車なのでしょうか。
今回は、車の運転のしやすさとは何なのか、そして運転のしやすい車を選ぶときのポイントや一般的に運転しやすいといわれている車はどのような車種なのかを解説します。
運転しやすい車を探すときの参考にしてみてください。
運転しやすさとは
運転しやすい車は、免許を取得したばかりの初心運転者やペーパードライバーだけでなく、日頃から運転をするドライバーにもおすすめです。
運転しにくい車の場合、どれほど運転に慣れていても気を遣うことが増え、疲れやすくなってしまうことがあります。
車の運転のしやすさを決めるポイントは、小回りが利くことや車幅感覚がつかみやすいということなどです。
では、運転しやすい車の特徴をみていきましょう。
小回りが利く
小回りが利く車は運転がしやすいといえます。小回りが利くと、交差点で曲がりやすかったり、駐車場での出し入れがしやすかったりします。
小回り性能は、車のカタログに記載されている『最小回転半径』と表記されている数値で知ることができます。
一般的に小回りが利くといわれる最小回転半径は5.5mなので、車を選ぶときは、カタログに記載されている最小回転半径に注目して小回り性能を確認すると良いでしょう。
車幅が小さい
車幅は、小さいほど運転がしやすいといわれます。しかし、いくら車幅が小さくても車幅の感覚がつかめなければ運転がしやすいとはいえません。
車幅を把握しやすい車とは、運転席に座ってドライビングポジションを調整し運転姿勢をとったときに、左右の見通しが良く、助手席側の視界も確保できることがポイントです。
左右の見通しが良いと、壁や隣の車などの障害物が把握しやすくなるため、車幅の感覚がつかみやすくなります。
運転しやすい車を選ぶポイント
運転しやすい車を選ぶときのポイントは、ボディサイズ、視野の広さ、運転席の広さや調整幅、運転アシスト機能、内装などです。
ここからは、一般的に運転がしやすいボディサイズや運転席に座ったときの見え方、装備されていると良いアシスト機能などを解説します。
ボディサイズ
運転しやすいボディサイズは、全長4,500mm前後、全幅1,800mm以下の車といわれています。一般的に、軽自動車やコンパクトカーが上記に該当します。
たとえば、トヨタ カローラスポーツ、マツダ MAZDA3ファストバック、メルセデス・ベンツ Aクラスセダンなどが運転しやすいボディサイズの車種です。
コンパクトクラスのモデルは、狭い場所での行き違いや駐車場での出し入れがしやすいため、運転がしやすいといえるでしょう。
なお、機械式立体駐車場を車庫としている場合は、サイズの制限があるため、長さ・幅・高さが規定内に収まっているか確認するのを忘れないようにしてください。
視野
視野は、運転のしやすさを決める大切な要素です。
先の状況を認識するための前方の視界、狭い場所での行き違いや駐車場などで側方を確認をするための左右の視界、バックするときや運転中に後ろを確認するための後方の視界など、全方位の視界が広い方が死角が少なくなるため運転がしやすくなります。
車を選ぶときは実際に運転席に座り、前方・左右・後方を目視したり、ミラーでの見え方を確認したりしましょう。
ピラー(窓柱)やドアの枠などで死角が多いと運転がしにくいと感じることがあります。運転のしやすさを重視するときは、死角の少なさに注目すると良いでしょう。
運転席の広さ
運転席の広さを確認するときは、座席がドライバーの体格に合っているかに注目すると良いでしょう。
確かめるときは、運転席に座ってシートの前後や背もたれの角度を調整し、ドライビングポジションをとったときに窮屈感がないか、体勢が安定するか、ハンドルやペダルのなど運転装置の操作がしやすいかなどをチェックしましょう。
車によっては座面の高さ/長さの調整機能や、ステアリングの上下前後の調整機能が装備されているモデルもあります。
さまざまな調整機能を使って自分に合うドライビングポジションが見つけられ、最適な運転姿勢がとれる車が運転しやすいといえるでしょう。
運転アシスト機能
運転アシスト機能は、近年急速に普及してきた装備です。運転支援システムや安全運転補助装置などと呼ばれることもあります。
運転アシスト機能は、バックモニターやアラウンドビューモニター(上から見下ろしたような映像のモニター)、障害物への接近を知らせるコーナーセンサー、衝突被害軽減ブレーキなどです。
これらの装備があることで、駐車時や狭い場所の通過時をはじめ、万一のときの安全をサポートしてくれます。
先進の安全装置は多ければ多いほど良いですが、バックモニター、コーナーセンサー、衝突被害軽減ブレーキの3点があれば日常の運転では十分だといえるでしょう。
内装
内装は、ダッシュボードの高さが低く、操作のスイッチなどがシンプルにまとめられているものが扱いやすいといえます。
車を選ぶときは、内装の造形や質感に目が行きがちです。しかし、ダッシュボードの位置が高かったり、ナビ画面の出っ張りが前方の視界の妨げになったりすると、運転がしにくくなってしまいます。
また、運転中に使うことがあるスイッチ関連(ハザードやシフトレバー等)は、運転姿勢の状態から手を伸ばした範囲で難なく操作できることが重要です。
運転装置の位置や操作のしやすさも確認しておきましょう。
必ず「試乗」をするべき理由
車を選ぶときは試乗をしましょう。先述のとおり、運転がしやすいかどうかは、実際に運転席に座って確かめなければならないことがほとんどです。
また、実際に街中を走行し、ハンドルの重さやペダル操作のしやすさ、見通しの良さなどを確認する必要があります。たとえ運転しやすいと評価されている車であっても、自分にとって運転しやすいかどうかは試乗しなければわかりません。
そのため、車を選ぶときは実際に販売店へ足を運び、検討している車種を試乗してから購入を決断することをおすすめします。試乗をするときは大通りの走行だけでなく、進路変更、交差点の右左折、店舗への出入り、駐車などを試してみると良いでしょう。
大通りを走行するだけの試乗では、右左折時の見通しの良さや後退時の視界の確認ができません。試乗するときは日常使いを想定し、車に乗るところから降りるところまで確かめることをおすすめします。
初心者におすすめの車種
車に初めて乗るときや購入するときは、大き過ぎないボディサイズで、利便性が高い車を選ぶと良いでしょう。
ボディサイズが大き過ぎると運転しにくかったり、狭い場所で気を遣ったりしなければなりません。そのため、全長4,500mm前後、全幅1,800mm以下のモデルがおすすめです。
ボディタイプは、バックドアを持つ5ドアモデルが良いでしょう。5ドアモデルとは、左右2枚ずつのドア(4枚)とバックドア(1枚)を持つ車のことです。一般的にハッチバックやワゴンなどが5ドアモデルに該当します。
バックドアがあると、高さのある荷物の出し入れがしやすいです。また、リアシートのアレンジ次第では大きな箱形の荷物も容易に積載できます。
さらに、5ドアであればリアドアがあるため、後席へのアクセスがしやすくなり、日常使いや人を乗せるときの利便性が高いといえます。そのため、初心者にはコンパクトカーがおすすめなのです。
運転しやすいといわれている車
運転がしやすいといわれている車には、具体的にどのような車種があるのでしょうか。ここからは、運転しやすい車種をジャンル別に紹介します。
今回は、長らく流行しているSUV、扱いやすさが特徴のコンパクトカー、頭上空間にゆとりがある軽自動車、ファミリーカーとして人気のミニバンをピックアップしました。車選びの参考にしてみてください。
運転しやすいといわれているSUV:トヨタ ライズ
トヨタ ライズは、普段使いからレジャーまで楽しめる5ナンバーサイズのコンパクトクロスオーバーSUVとして、2016年にデビューしました。
全長3,995mm、全幅1,695mm、最小回転半径4.7mであるため、扱いやすく小回り性能に優れています。
また、地面から車体の最下部までの高さである最低地上高が高く、着座位置も高いことから見通しが良いのも特徴です。さらに、前後・左右・後方の視界が良く、死角が少ないのもポイント。
運転アシスト機能では、バックモニターやカメラとレーダーによる運転支援機能などが充実しています。ライズは安全性が高く、ちょうど良いボディサイズの運転しやすいSUVといえるでしょう。
運転しやすいといわれているコンパクトカー:日産 ノート
日産 ノートは、日産を代表するコンパクトカーです。
2020年から販売している3代目では「コンパクトカーの常識を超える運転の快適さと楽しさが詰まった先進コンパクトカー」をコンセプトに、電気モーターならではのスムーズな走りと環境性能を両立したパワートレイン「e-POWER」を搭載。
広いガラスエリアと高さが低い左右の窓枠によって、良好な視界が得られます。また、全方位にわたり運転を支援する安全システム「360°セーフティアシスト」も装備されています。
メーカーオプションではあるものの、アラウンドビューモニターを装着することも可能です。
ボディサイズはベーシックなSグレードの場合、全長4,045mm、全幅1,695mm、最小回転半径4.9mと運転がしやすく、小回り性能が良いといえるでしょう。
運転しやすいといわれている軽自動車:ホンダ N-BOX
ホンダ N-BOXは、販売台数ランキング上位を維持し続けている人気の軽自動車です。
全高1,700mmを超える軽スーパーハイトワゴンであるため、室内の頭上空間にゆとりがあります。左右のリアドアにはスライドドアを採用し、狭い場所でもドアの開口部を十分に確保できます。
広いガラスエリアと細いピラーにより死角が少なく、視界が良いのも特徴です。また、先進の安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を全タイプに標準装備しています。
バリエーションは、ベーシックなN-BOXとスタイリッシュなN-BOXカスタムが用意されており、好みに応じたスタイリングを選べるのもN-BOXの魅力です。最小回転半径は4.5m~4.7mと、小回り性能にも優れています。
運転しやすいといわれているミニバン:日産 セレナ
日産 セレナは、広く快適な室内空間や乗り降りのしやすさ、スライドドアやバックドアの開閉のしやすさ、多彩なシートアレンジなど、使い勝手が良く機能的な装備を備えているミニバンです。
ボディサイズはグレードにより若干異なりますが、ベーシックなXの場合、全長4,685mm、全幅1,695mm、最小回転半径5.5mと、運転がしやすく小回りも利くスペックになっています。
視界は、細いピラーと三角窓、窓枠が下がっているシュプールラインにより、前方や左右の見通しが良好です。セレナは、死角が少ない造形やガラスエリアによって、運転がしやすいミニバンに仕上がっています。
まとめ
運転しやすい車とは、運転中の視界が良く、運転装置などの操作がしやすいモデルが該当するといえます。
車選びをするときは、スタイリングや質感、動力性能などに注目しがちですが、ボディサイズ、視野の広さや死角の少なさ、運転アシスト機能などをしっかりとチェックしましょう。
また、運転席からの視界や運転装置の使い心地は実際に車に乗らないとわかりません。そのため、実車を見に行ったり、試乗をしたりして、運転がしやすいか確かめることが大切です。