車の所有者が亡くなった場合の売却前に必要な手続きについて

売却
  • 更新日:2024/10/10
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車の所有者が亡くなった場合、売却前にはさまざまな手続きが必要となります。適切な手続きを行わずに車を売却してしまうと、後々トラブルが生じる可能性もあります。

この記事では、車の所有者が亡くなった場合に必要な手続きについて詳しく解説します。車の査定額が「100万円超の場合」と「100万円以下の場合」で、名義変更手続きが少し異なりますのであわせて説明します。

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車の所有者が亡くなった場合、名義人の変更が必要

まず、車検証の所有者欄に記載されている名前を確認し、所有者が故人であるか確認します。所有者の欄には、第三者やクレジット会社、ディーラー名が記載されている場合があります。

例えば、亡くなった父親が使用していた車であっても、その車の「所有者」が必ずしも父親であるとは限りません。もし所有者の欄に第三者の名前が記載されている場合、相続は発生しないことになります。

また、所有者が亡くなった後は、遺産分割協議の中で、車両を引き継ぐ相続人を決定することになります(共有名義にすることも可能)。

車の名義変更を行わない限り、車の売却や譲渡、廃車などの手続きを行うことはできません。将来的に車の売却や譲渡を考えている場合は、早めに名義変更を行うことをおすすめします。

所有者が亡くなっている場合の名義変更手続き

相続した車の名義変更は、車両の査定額が「100万円超」と「100万円以下」で、手続きの流れが少し異なります。ここでは、まず「100万円以下」の手続き方法について解説します。

日本自動車査定協会に査定してもらう

相続した車の名義変更は、前述のように査定額が「100万円超」か「100万円以下」かで手順が少し異なります。そのため、「100万円以下」の名義変更の手続きでは「査定証」が必要になります。

この「査定証」は、「日本自動車査定協会(JAAI)」が認定した「査定士」が発行したものでなければなりません。名義変更の手続きで、「査定士証」のコピーも必要になりますのでご注意ください。

そのため、「日本自動車査定協会」に査定してもらうことになります。査定には手数料として、普通自動車の場合には1万円ほどかかります。

遺産分割協議成立申立書を準備する

100万円超の相続に関しては、相続人全員が合意に達したことを証明する「遺産分割協議書(相続人全員の記名押印などが必要)」が必要となります。一方で、車の査定額が100万円以下の場合は、手続きを簡略化した「遺産分割協議成立申立書(新しい所有者1人の実印でOK)」を利用できます。

相続した車の名義変更手続きには、遺産分割協議などが必要です。そして、遺産分割協議成立申立書または遺産分割協議書が、その証拠書類となります。

テーブル

自動的に生成された説明

引用元:国土交通省「遺産分割協議成立申立書(記入例)」

必要書類の準備

車の査定額が100万円以下で、「遺産分割協議成立申立書」を使う場合の必要書類は、以下のようになります。

【旧所有者分(故人)】
●旧所有者の死亡の事実が記載されている書類(戸籍謄本または除籍謄本など)
●車検証
【新所有者分】
●相続人であることを証明できる書類(戸籍謄本など)
●遺産分割協議成立申立書
●査定額が100万円以下であることがわかる査定証
●査定をした査定士の査定士証のコピー
●印鑑証明書
●車庫証明書(相続した車の保管場所があることを証明する書類)※車の保管場所が変わらない場合には不要
●委任状、譲渡証明書(売却する場合)

管轄の運輸支局で名義変更を申請

必要書類がそろったら、管轄の運輸支局で名義変更の手続きを行います。相続による名義変更は、手続きが非常に複雑です。また、都道府県などによっても少し手続きが違うことがあります。まずは車検証を準備した上で、管轄の運輸支局の登録担当窓口に事前に相談することをおすすめします。

参考:国土交通省「自動車検査登録総合ポータルサイト」全国運輸支局等のご案内

運輸支局での手続き

まずは、運輸支局で「申告書」と「手数料納付書」を取得します。販売窓口で、登録手数料として印紙を購入し、「手数料納付書」に貼り付けます。あらかじめそろえた必要書類と一緒に提出し、不備がなければ手続き完了です。

運輸支局で記入する書類

管轄の運輸支局で、申請書と手数料納付書を取得し、その場で記入します。記入方法については、丁寧に案内してくれますので、その手順に従って記入します。運輸支局に隣接した自動車税事務所で、「自動車税申告書」の提出手続きも同日に行うのが一般的なので、忘れないようにご注意ください。

必要書類 取得先
移転登録申請書(OCRシート第1号様式) 運輸支局
手数料納付書 運輸支局
自動車取得税・自動車税申告書 自動車税事務所
白黒の写真に文字の書かれた紙

低い精度で自動的に生成された説明

引用元:国土交通省「申請書(OCRシート第1号様式)」

ダイアグラム

自動的に生成された説明

引用元:国土交通省「手数料納付書」

運輸支局での手続きの流れ

運輸支局での手続きの流れは、以下のようになります。

ステップ1:必要書類の準備
ステップ2:新所有者の管轄運輸支局へ行く(ナンバー変更がある場合は車も必要)
ステップ3:窓口で申請書と手数料納付書を入手
ステップ4:申請書を作成
ステップ5:手数料分の印紙を購入して貼付し、申請書を提出
ステップ6:新しい車検証の交付を受ける
ステップ7:自動車取得税・自動車税を申告(自動車税事務所)

【運輸支局の管轄地域が変わる場合】

ステップ8:ナンバー返納窓口に古いナンバープレートを返納
ステップ9:新しいナンバープレートを購入し、車に取り付ける
ステップ10:新車検証と自動車の同一性が確認され、リアナンバーに封印が施される
ステップ11:手続き完了

100万円超の場合は?

車の査定額が、「100万円超」の場合の名義変更手続きについて解説します。大きな違いは、「遺産分割協議書」が必要で、「日本自動車査定協会の査定証」が不要な点となります。ただし、金額を明確にする必要がある場合には、査定自体は行うケースもありますのでご注意ください。

遺産分割協議書による手続きが必要

遺産分割協議書とは、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類です。相続した車の査定額が100万円以下の場合には、名義変更手続きには「遺産分割協議成立申立書」を使用するため、「遺産分割協議書」は不要となります。

遺産分割協議書は、相続人全員の署名押印が必要で手間がかかります。一方の遺産分割協議成立申立書は、新所有者の実印押印と署名だけでよく手続きが簡単です。100万円以下の場合には、手続きを簡略化しようということで、書類を使い分けられています。

テーブル

自動的に生成された説明

引用元:国土交通省「遺産分割協議書」

遺産分割協議成立申請書との違い

遺産分割協議成立申立書と遺産分割協議書の最大の違いは、必要な印鑑の数です。通常の遺産分割協議書では、相続人全員の署名押印が必要とされますが、遺産分割協議成立申立書では最終的に相続する一人の実印のみで手続きが完了できます。そのため、一人で手続きを進めることができ、時間も短縮できます。

手続きの代行も可能

忙しくて運輸支局に直接足を運ぶことが難しい場合には、必要な書類を用意するだけで、ディーラー・買取業者や弁護士・司法書士などに手続きを任せられます。手続きの代行を依頼すれば、時間を節約できるだけでなく、ミスも避けることができます。

弁護士や司法書士に依頼が可能

弁護士や司法書士に手続き代行を依頼すれば、書類の作成から運輸支局での名義変更完了まで、全てをサポートしてもらえます。さらに、相続に関連する他の手続きも任せることが可能で、一括で手続きを処理してもらえ、非常に便利です。

弁護士や司法書士に、名義変更手続きを依頼するときの費用相場は、1万円から3万円ほどです。ちなみに、車の名義変更手続きの代行手続きができる専門家は、行政書士になります。しかし、他の相続手続きもある場合では弁護士や司法書士が窓口となり、それぞれの専門家に手続きを振り分けていく形が多くなります。

ディーラーや買取業者

車を売却する場合には、ディーラーや買取業者に手続きの代行を依頼することもできます。ただし、この場合には、戸籍謄本などの必要書類の取得は、依頼者自身でしなければいけないので注意が必要です。忙しくて必要書類の取得も頼みたい場合には、弁護士や司法書士への依頼を検討した方が良いでしょう。

ただし、ディーラーによっては弁護士や司法書士などと提携しており、窓口となってすべて任せられることもあります。ディーラーに任せる場合も、代行手数料などが必要になりますので、両者を比較して決めると良いでしょう。

まとめ

所有者が亡くなった後の、車の名義変更の手続きは複雑ですが、後々の法的問題を避けるためにも、適切な手続きを把握しておくことが大切です。特に、車の査定額が「100万円超」か「100万円以下」かで、手続きが少し違うので、注意が必要です。

車を売却する場合には、ディーラーや買取業者に相談すると、後の手続きもスムーズに進むでしょう。相続した車にもう乗らないのであれば、早めに売却した方が高く売れる可能性があるので、早めの相談をおすすめします。

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