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自動車業界におけるMaaSの世界情勢と電動化を巡る動きの考察

2022年4月8日

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cars TRENDはこのたび、現在における自動車業界を取り巻く状況を独自の視点で考察。自動車業界、とりわけMaaS※における世界情勢と電動化を巡る動きについてまとめました。

※MaaS=「Mobility as a Service」の略称

世界情勢 〜MaaSについて〜

概念としては出尽くした

MaaSという言葉が登場してしばらく経ち、概念としては浸透してきたのではないでしょうか。「空飛ぶ車」や「宇宙旅行」など、ある程度「移動形態の多様化や新規サービス化」といったネタは日々報道などで目にする機会も多く、想像できる限りのものは出尽くした印象です。

また、自動車業界にとっては異業種である小売業や金融業でも「MaaS=移動のサービス化」という文脈くらいは理解されてきているように感じます。

新規制はないが定着化が進行、政府主導のプロジェクトも定番化

日本政府の動きに目を向けると、「モビリティチャレンジ」のもと経済産業省が補助金を投入し、全国各地で民間企業とともに実証実験が行われるなど、MaaSは経済活動の延長線として「将来、ビジネスとして成立し得るもの」へとシフトしているといえます。

ただし、このように一般常識化したところからが本番です。「あんなことやこんなことができたらいいな。未来は自動運転のバスがぐるぐる回って…」のような夢物語ではなく、一般常識化したということは地に足のついた話になってきているということです。

つまり、実業やDX化による「生きたデータ」を持っている人たちがそれぞれ連携し、いわゆる「お金になるモビリティ」や「持続可能なモビリティ」がこれから具体的に動いてくると予想されます。

規制緩和とモード横断に向けた既得権益の整理

もう一つポイントを挙げるとすると、規制緩和の動きです。地方自治体が許可した場合に限ってではありますが、該当地域の住民同士によるライドシェアを試験的に実装しながら、住民の生活満足度の調査や経済効果の試算が行われています。

加えて、2021年8月には国土交通省によりパブリックコメントの募集が行われました。このように、白タク規制を背景にしていたライドシェアを例に、今後、さまざまな規制が緩和されていくことが予想されます。

また、モード横断にむけた既得権益の整理も大事なテーマになっていきます。モードとは代表的な交通手段、たとえば、鉄道やバス、タクシーなどを指します。

国策としてこのMaaS分野をどのように実用化していくか、という観点において徐々に顕在化してくる消費者ニーズを踏まえると、規制緩和により底冷えする景気動向へのカンフル剤として活用できる点は見逃せません。

これまでは利用者不在で夢物語を語っていたMaaSですが、これからは利用者をしっかり見据えたうえで設計していく必要があります。つまり、実際のデータをともなったファクトベースのMaaSが重要になってくると考えられるのです。

世界情勢 〜電動化を巡る動き〜

その一方でいま、世界中が自動車の電動化に向けて急速にシフトしています。そこで、ここからはハイブリッドを含めた自動車の電動化の動きについて整理したいと思います。

自動車産業に関わる企業は、電動化の是非についてはヨーロッパをはじめとした国際間協調や世論を踏まえたうえで、電動化に向けて推進していくことでしょう。

一方で、エネルギー供給の観点ではアメリカでシェールオイルの産出量が増加したり、サウジアラビアで石油採掘が進んでいるのも事実です。

そこで、「内燃による高いエネルギー効率を捨てて良いのか?」という議論は残されているはずです。

このような動きを背景に、以下の2点が重要になってくると考えられます。

VMT(Vehicle Miles Traveled

車両走行距離を意味するVMT。一台あたりの走行距離を定量的に計測することで、CO2排出の削減や移動重量(積載量)確保の観点を見直し、より合理的な移動社会を目指すことができるのではないでしょうか。

自動車は2tほどある鉄の塊ですが、走行をするということはガソリンを燃やしてCO2を排出しながら動いているともいえます。そう考えると人間が一人乗って移動するにあたってのエネルギー効率には一定の疑問が湧いてきます。

ライドシェアや物流システムを利用したり、カーシェアを活用しながら、車一台あたりの運搬効率を高めていく。そのようなクルマ社会の実現が重要なのではないか、と考えています。

アメリカでの統計データにもとづく予測では、VMTは右肩上がりに増えていくとの発表があります。このような状況のもと、「将来を見据えて環境負荷をどのように軽減するか?」という議論が大切になってきます。

脱炭素への方法論の一つとして自動車の電動化は必定でしょう。さらにもっと踏み込んで、車両あたりの移動重量を効率的に集約することまで考えていかなければなりません。

LCA(Life Cycle Assessment

LCA、つまりライフサイクルアセスメントとは、製品などのライフサイクルにおける投入資源、環境負荷、およびそれらによる地球や生態系への環境影響を定量的に評価する方法のことを指します。

自動車整備事業もライフサイクルアセスメントの一員であるといえます。

たとえば、電気自動車に使われるリチウム電池をつくるのにも環境負荷がかかっています。またリチウム電池は再利用が難しいといわれているので、使い捨ての概念で新規製造を繰り返していかなければなりません。そのため、電気自動車のライフサイクル全体で環境負荷を与えているという側面があるのです。

このようにライフサイクルアセスメントという長期間にわたる環境負荷への考え方やその評価基準が重要になってきます。これを巡って、エネルギー政策も踏まえた政治的な動きも活発になるのではないか、と予想されます。

ライフサイクルアセスメントでは、「資源の採取」「製造・組み立て」「使用」「リサイクル」「廃棄」までの循環社会のなかの、CO2排出量を意識していくことになります。排出量を抑制するにあたって最適な動力源や移動体についてはまだ検証が進んでいないので、今後の検証が必要になります。

自動車整備業に限っていえばライフサイクルアセスメントの循環にあるので、自動車整備の際に生ずるCO2排出量も測定しなければ本当の意味での環境負荷がわかりません。

今後、自動車整備工場においても年間のCO2排出量を計測する未来が訪れる可能性があります。

まとめ

今回は「自動車業界におけるMaaSの世界情勢と電動化を巡る動きの考察」というテーマでMaaSの現在と未来、また電動化において今後重要になってくるポイントについて考察しました。

cars TRENDでは、このように今後訪れる自動車業界の大きな変化を踏まえた情報を発信してまいります。

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