マーケティング
メンテナンスパックの拡販促進ステップ!契約数3桁以上の秘訣
投稿日:2021/09/22更新日:2022/10/28
株式会社ティオの山本 覚氏による講義の中から「個客密着のためのメンテナンスパック販売」の一部を紹介します。
今回は、自動車整備会社が特定客を増やして勝ち残っていくための切り札「メンテナンスパック」の拡販するためののポイントについて解説します。
メンテナンスパックの販売促進ステップ
メンテナンスパック自体は単価が低くても車検の依頼につながるなどプラス効果が高く、生涯取引客を創造するための強いツールとなります。
そのため、数年単位での獲得計画を立て長期的な視野に立って販売を進めていきます。
ステップ1:4年計画を立てる
まずは目標とする獲得台数を計画します。車検のおよそ80%は見ておきたいところです。
たとえば年間500台の場合、400台を獲得目標とすることになります。この数値が難しいようであれば50%から始めてみるとよいでしょう。
この50%や80%は高い目標値と感じるかもしれませんが、乗用車であれば車検2回分の4年計画にすることで、実現可能な数値になるはずです。
ステップ2:商品知識勉強会を実施する
商品を販売するためには、販売スタッフ側がきちんとした商品知識を持っていることが求められます。
お客様にとってのメリットをどのようなトークで展開し説明していくのか、勉強会で知識を蓄えます。
また、事務処理や集金の仕方や入庫管理の方法なども勉強することで、販売スタッフが自信をもって商品を紹介できるようになります。
ステップ3:ロールプレイング(ロープレ)で商談力を上げる
知識を蓄えてもいきなり実践に移すことは難しいため、商品知識勉強会を踏まえたロールプレイングを実施します。ロールプレイングは一件でも多く契約獲得する秘訣です。
商談の擬似体験を重ね、商談スキルを身につけます。
ステップ4:一気に契約件数を増やす
新しくメンテナンスパックの販売を開始するにあたり、契約件数を一気に増やすことは非常に重要です。
少なくとも販売開始初年度は100件以上の3桁の契約を目指したいところです。
最初に3桁台の契約を獲得することでスタッフの士気も上がり、契約者数が多いことでメンテナンスパックの存在感が高まります。
拡販キャンペーンなどで、販売士気を盛り上げ、100件以上を目指しましょう。
ステップ5:目標達成に向けて粛々と進めていく
スタートダッシュで契約件数を獲得した後は地道に、着実に実績を積み上げていきます。
販売開始初期にある程度の契約件数を獲得していれば、その後は長い目で見ながら販売活動が行えます。
それだけに、ステップ4は非常に大切です。ここで大きく契約を獲得できれば、地域の中で優位に立てる可能性が高いといえます。
【成功事例】
販売期間:6ヶ月間
契約台数:280台
実績売上:3,640,000円(1件あたり13,000円)
販売意識とスキルのアップを図る
では、販売件数を伸ばすにはどのようなことをすれば良いでしょうか。
施策としては販促キャンペーンがありますが、キャンペーンの企画立案よりも前に、スタッフの「意識」と「スキル」が大切になります。
社員全員が入会する
お客様と話をする際に「私も入っている」という会話ができるようになります。お客様も社員が利用していることで安心感が高まり、 商品の有用性をリアルに感じてくれます。
メンテナンスパック販売の意義の理解する
「なぜメンテナンスパックを販売していくのか?」という目的を販売スタッフ一人ひとりがしっかりと理解しておく必要があります。
これはスタッフが自発的に意識することは難しく、経営者がスタッフに対して噛み砕いて説明し、理解を得ていかなければなりません。
個人別目標の設定と達成の道筋を社員に自覚してもらう
大きな目標値は必要ですが、それだけではそこに至るまでのプロセスが不鮮明で、何を目標とすれば良いかが分かりにくくなります。
メンテナンスパックの販売はフロントだけ、営業だけではなく、全スタッフが関わり、全社員の目標設定を行います。
朝礼時に「声掛け件数」と「獲得件数」の報告を個別に行う
設定した目標に対して、どのような進捗かを随時確認します。この時「獲得件数」だけではなく「声掛け件数」も報告します。
何件獲得するためには何件の声掛けが必要なのか、そのプロセスを意識してもらうことができます。
そして、これらの「声掛け件数」と「獲得件数」は月ごとに集計し、一覧表を作成して社内回覧します。
そうすることで、スタッフ全員が全体の状況を把握できるようになるほか、競争心が刺激されます。
さらに、表彰制度を設け、表彰された社員には賞与や昇給に反映させるようにします。
スタッフ同士でグループディスカッションを行う
商品内容の理解を深めるために、グループディスカッションなどで商品の良さを話し合い、そこで得た気づきなどを共有します。それが販売時のトークに活きてきます。
ロープレを繰り返し行う
さまざまな場面を想定してロープレを繰り返し行い、体で販売技法を習得します。
特に「断り」があった場合は、そのことを事例にして切り返しのロープレを行うことが重要です。
改善点はその場で指摘し合う
実際の場面で改善点に気がついたら、その場で指摘し合うことでスキルアップが図れます。
優秀な社員をお手本にする
契約獲得数の多い社員には、必ず他の人よりも優れた点があります。どういった点が他の人と異なっているのかを分析し、お手本として紹介、学習してもらいます。
販売件数を伸ばすためには、全体のスキルの底上げを行い、会社全体の取り組みとして社内風土を作り上げていく必要があります。
そして、風土と仕組みづくりは、社長の役割なのです。
継続率の管理が会員数を伸ばすポイントに
メンテナンスパックの会員は一度集めて終わりではありません。その後の継続率によって年ごとの売上に波ができてしまうためです。
これらの状況を回避するためにはどのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
年々増やすには「継続率アップ」も欠かせない大事な要件
会員の「継続率アップ」も、契約件数の増加には欠かせない大事な要件です。
メンテナンスパックには期限があり現在の会員に継続してもらわなければ、新規契約の会員が増えたとしても、全体の会員数は増えていきません。
そのため、継続率の管理は非常に重要なポイントになります。
少なくとも90%以上
継続率は少なくとも90%以上をキープすることを心掛けましょう。
サービス時に販売した場合には95%以上、車販時に販売した場合には90%以上を守ります。
これを達成するためには以下のような方法が考えられます。
- 契約したメンテナンス項目の期限内完全実施
- 事前案内・TELコールの漏れのない実施
- 必要によっては、出張メンテナンスの実施を行う
- 未実施分の次年度への繰越ルールの検討
- メンテナンスパック会員だけの交流会の検討
- メンテナンスパック会員向けの情報誌の発行の検討
- メンテナンスパック会員向けお得情報の発信
期限内に実施することでお客様に「メンテナンスパックに入ってよかった」と思ってもらうことが大切です。
事前案内は直前ではなく最低でも1ヶ月前に送付し、電話にて再確認することで入庫日を確定。未実施が発生しないようにします。
場合によっては、出張メンテナンスを考えることも一つです。
それでもお客様の都合などで実施できない場合もあります。メンテナンスパックの継続者に限り繰り越しができるなどのルールも検討します。
また、交流会の実施や情報誌の発行、お得情報の発信などメンテナンスパック会員が特別感を感じてもらえるような仕掛けを考えていくことも必要です。
販促キャンペーンを行うにあたって
メンテナンスパックを主要商品とするためには、販促キャンペーンを実施し、短期間に100件以上の契約を獲得したいところです。
そのためには、下記のポイントを押さえておく必要があります。
- 全社員参加のキャンペーンとする
- 個人目標→チーム目標→全体目標を設定する
- 各目標ごとにインセンティブを設定
- チームごとに作戦会議をし、士気を高める
- 営業先を明確にさせ、活動月日を決めて管理
メンテナンスパックの販売は、会社としての全社的な戦略です。メカニックも事務員も参加するキャンペーンにすることが肝心です。
そして漠然としたものではなく、個人ごと、チームごと、全社と各階層でインセンティブを設定します。
ただし、設定した目標を達成するためには、どこに営業・案内しにいくのかをメカニックに至るまで明確にすることが大切です。
そしてその道筋は上長が整え、時にはスタッフ同士で考えさせて戦略を立てていきます。
このようなキャンペーンで短期間に100件以上の契約を目指すことは車販型のメンテナンスパックでは実現が難しく、整備業型のメンテナンスパックだからこそ加入を促しやすいのです。
商品バリエーションで特定客を増やす
メンテナンスパックの契約率を上げるためには、メンテナンス内容の充実度に合わせた松竹梅の3つのコースを設定します。
コースを複数用意することで「定期点検はやらない」「そんなに乗らないから」といった理由で契約に至らないケースをカバーし、拾い上げていきます。
メンテナンスパックの一例
上記の例で説明すると、最初にProをすすめて反応を見ます。
「それほどやらなくても」という方にはMiniをおすすめし、最後に「オイル交換だけのものもありますよ」と提案していくことで契約率を高めます。
一つのコースのみの場合に比べ、売りやすさは格段に向上します。
まとめ
今回は、整備工場の特定客を増やす施策「メンテナンスパック」の拡販方法について紹介しました。
メンテナンスパックは、単価は低くともプラスアルファの売上が見込める重要な商品です。
メンテナンスパックが主要商品となれば、その会員からの車検やサービスの依頼が期待できるため、全社を挙げて販売に力を入れていきたいものです。
記事協力:
株式会社ティオ 代表取締役 山本 覚
略歴
新車ディーラー(マツダオート横浜)で営業職を経験した後、カーアフター業界専門コンサルタント会社に営業職として入社し、仙台、大阪、福岡の営業所長を経て指導部部長を8年務める。1999年(平成11年)に独立し、カーライフビジネス業界専門経営コンサルタントとして40年近くにわたり、カーアフター業界専門に実務改善指導・部門再構築指導、人材開発指導・マニュアル開発・諸規定策定等担当。また、カーメーカーおよび業界団体、関連企業等の依頼による職能別・階層別・テーマ別の各種セミナー・講演会等を担当。
詳しくはhttp://www.tio21.co.jp/administration/profile.pdf
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メンテナンスパックを販売する機会である車検。その車検自体もしっかりと契約を獲得していきたいところです。
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