マーケティング

車販の要点! 人気車種よりも一番大切な「地域にあったコンセプト」

投稿日:2021/09/16更新日:2022/10/28

2882

今回も株式会社ティオの山本 覚氏による講義の中からお届けします。

本記事では「車販ビジネス強化でCS連鎖を!」をテーマに車販において重要なことは地域にあったコンセプトを作ることだと語っています。

それは一体、どういうことなのでしょうか。車販の要点を見ていきましょう。

基本的なマーケティング活動の体系

「地域にあったコンセプト」を理解するためにも、まずは基本的なマーケティング活動の体系を解説します。

マーケティング戦略とは、商圏内のニーズを把握し、売れる仕組みを決めることです。

ここではマーケティング戦略から戦術のステップを5つに分けて解説していきます。

ステップ1:市場分析

客層や競合、自社の強みと弱みを分析します。

ステップ2:顧客の定義

顧客を明確化するために商圏を確定させます。

たとえば、どういうエリアをターゲットにし営業活動の強弱をつけるのか、どこを捨てるのかなどが挙げられます。

また、客層を特定することも非常に大切です。どういうお客様に対して主体的に販売していくのかを明確にします。

ステップ3:商品戦略

どういうお客様に売っていくのかが決まれば、商品の戦略も定まっていきます。

車といえどバリエーションは複数あるため、その中の何を主体的に売っていくのかなど、商品を確定させることがキーポイントです。

さらに価格の決定をするためにも、客層によってどのような価格帯を品揃えしていくのかを取り決めます。

ステップ4:活動計画

ここからはマーケティング戦術へ移行します。売れる仕組みを検証するフェーズです。
活動計画においては以下の3つが重要です。

  • 思想統一
  • 目標の決定
  • 行動計画

ステップ5:活動実践

活動計画を立てたあとは実践に移ります。活動実践は下記のアクションが考えられます。

  • 営業活動
  • フォロー
  • 継続的販売

以上のような活動計画と活動実践は営業活動であり、その営業活動はマーケティングにおいて戦術にあたります。

店舗コンセプトの決定

マーケティングの過程で商品戦略まで決まったら、店舗のコンセプト作りも必要となります。
店舗のコンセプトは大きく分けて以下の3つが挙げられます。

1.総合化

軽自動車や高級車、ミニバンなどを取り揃えてバラエティーショップ化を図ります。その場合は3桁の展示台数が必要です。

2.専門化

さまざまな切り口で専門化を目指します。車種専門ショップ化は50台程度の中規模店に最適です。

3.重点化

専門化の中でも特定の商品に重点を置いたコンセプトです。特定車種を厚めにしたショップなどが当てはまり、30台程度の小規模店に向いています。

コンセプトの決め方と重要性

お店をどういうコンセプトにしていくのかを決めるため、市場分析を行い、顧客の定義を明確にします。
また、商品戦略を考えることでさらにコンセプトが定まるはずです。

しっかりとコンセプトを固めなければ、主張の無い展示場になってしまうため注意しましょう。

コンセプトがあいまいだと、社長の趣味的な品揃えになってしまったり、人気車種を揃えて勝負しようとしたりといった傾向になりがちです。

これだと思ったような成果を上げることは難しいでしょう。

売れるお店作りのためには、「どう売ろう」と考える前に「誰に買ってもらうか」をしっかりと決めることが大切です。

地域マーケティングの進め方

では具体的に、地域マーケティングの進め方を3つのポイントに分けて解説します。

ポイント1:地域情報収集

地域情報を集めて、市場の状態を把握します。そのためにも下記の項目が重要となります。

  • 町丁別、車種別の保有台数および販売台数
  • 町丁別、所得層別の世帯数
  • 町丁別の共同住宅&戸建住宅戸数
  • ガソリンスタンド、ディーラーなどの所在地
  • 走行10分圏内、20分圏内地域

ポイント2:地域情報分析

市場の現状を把握した上で、地域情報を分析していきます。たとえば、以下のような分析が考えられます。

  • ヤング、ファミリーなどの世帯状況について
  • 所得層の構成について
  • 自動車保有動向について
  • 自社からの走行時間について
  • 競合状況について

こうした分析をもとに、市場属性をつかみ商圏を決定していきます。
そして、以下のようなランク付けを行いマーケティングを進めます。

  • A 重点攻撃地区
  • B 攻撃地区
  • C 現状維持地区
  • D 放棄地区

ポイント3:地域別対策

地域別の対応・対策としてはこちらを参考にしてください。

  • 地区別の顧客獲得目標の設定
  • オピニオンリーダーの育成
  • 広告媒体の選定と広告投入計画
  • 立て看板&野立て看板の設置場所
  • 顧客紹介&実演地区デモ

上記の項目ごとに地域にあった活動内容を決めていきます。

オピニオンリーダーは自社の宣伝をしてくれる貴重な存在です。このようなお客様を地域に作っていくことは非常に大切なことといえるでしょう。

商圏を知ることが販売の基本

次に、商圏と販売の基本となる3つのポイントをみていきましょう。

ポイント1:商圏エリアを設定する

たとえば、中古車ユーザーの移動距離は20km(87.5%)、そのうち8.2km圏内(全体の41%)で全販売台数の85%〜90%を上げているといわれています。

このような具体例を参考にして、自社の展示場から10km圏内、20km圏内にどういう属性のお客様が分布しているのか、どういう所得層のお客様が分布しているのかなどを把握します。

ポイント2:ターゲットを設定する

年配者が多く住む地区で若者層用の車種・カー用品を展示しても意味がないため、自社の商圏にはどんな層の人が住んでいるのかを知ることが大切です。

ポイント3:競合他社と比較する

近隣の競合店と比べて優位点(価格、サービス)は何か、を考えましょう。

他社に劣っていれば逆効果であるため、少なくとも、平均的には他の競合店と肩を並べる程度に、もしくは、何か秀でているものを作り上げなければなりません。

ターゲットを設定する

次に商圏にあわせたターゲットの設定例を見ていきましょう。

上記のマトリックスでは、35歳までのファミリー層で、かつ、所得階層としてアッパーミドル層をターゲットにしています。

メインのターゲットの前後左右についてもターゲットに入れておき、少しはカバーしていこうという形です。

ターゲットが決まったら、地域および客層に合った車種やサービス内容の設定をします。
その際には人気車に頼るのではなく、購入者にピントを合わせることがキーポイントとなります。

自分勝手な商品構成やコンセプトではなく、地域にあった内容を検討していかなければなりません。

展示規模と商圏の関係

展示規模と来場者についても把握しておきましょう。

上記のグラフから分かる通り、小規模の展示場は10km圏内の来場者が65.6%です。

また、中規模の展示場になれば20km圏内の来場者の割合が79.2%〜82.4%となっています。

さらに、大規模店に至っては30km以上離れたところからの来場者の割合が18.8%であるため、大規模店であれば遠方からの集客も可能です。

これらのことから、以下2つのポイントが明らかになります。

  • 展示規模によって商圏カバーエリアが変わる
  • 展示規模を見越して商圏設定を練ることが大切

中販はタマで勝負するのではなく、売り方の工夫が肝心

最後に、売り方の工夫となるポイントを押さえておきましょう。

  1. 展示前に商品のセールスポイントを徹底してつかむ
  2. 競争になるライバル車の強み・弱みを徹底してつかむ
  3. 接客ロールプレイングによってセールスポイントを自分のものにする
  4. 商品一覧表を持ち、お客様に即答できるようにする
  5. 1台ごとにカード化し、いつでも渡せるようにしておく
  6. 売るための「利率」を使うこと、利益は周辺利益で稼ぐ
  7. 競合と比較されないために、見積書は発行しない

人気の車は仕入れにも苦労し、儲けも薄いです。商圏にあった展示車だからこそ、地域密着が活きてきます。

その上で売る努力を惜しまないことが非常に大切です。

まとめ

今回は、基本的なマーケティング活動の体系、店舗コンセプトの重要性などを解説しました。

地域マーケティングは地域にあった営業活動を決めていくことが重要であり、同時にお客様を地域に作っていくことが大切です。

また、商圏エリアの設定・ターゲットの設定・他社比較などに取り組む必要があります。

人気の車や流行り物で勝負をするのではなく、実際のお客様に合わせることで売上アップにつながるはずです。売上アップのヒントを得るためにも、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

記事協力:
株式会社ティオ 代表取締役 山本 覚 

略歴
新車ディーラー(マツダオート横浜)で営業職を経験した後、カーアフター業界専門コンサルタント会社に営業職として入社し、仙台、大阪、福岡の営業所長を経て指導部部長を8年務める。1999年(平成11年)に独立し、カーライフビジネス業界専門経営コンサルタントとして40年近くにわたり、カーアフター業界専門に実務改善指導・部門再構築指導、人材開発指導・マニュアル開発・諸規定策定等担当。また、カーメーカーおよび業界団体、関連企業等の依頼による職能別・階層別・テーマ別の各種セミナー・講演会等を担当。
詳しくはhttp://www.tio21.co.jp/administration/profile.pdf

自動車整備工場のマーケティング活動をサポート「cars MANAGER」

地域の分析を行い、商圏と店舗コンセプトを決め、売り方のポイントを押さえた次に行うことは集客活動です。

「cars MANAGER」はあなたの自動車整備工場のマーケティング活動をサポート。

顧客一人ひとりの車検・期日点検の満了月の管理はもちろん、タイヤ・オイル・バッテリーの点検結果、車両乗換の意思の有無などを一括でリストで管理することができます。

顧客の接点状況や集客ステータスを可視化することで、効率的なマーケティング活動が可能になります。

SMS・メール・LINE・チラシ配布・コール代行機能などの機能も充実。「cars MANAGER」上から任意の顧客に一斉配信することができ、これまでの販促作業時間を大幅に短縮することもできます。

また、予約のデジタル化もcars MANAGERの導入で実現できます。詳しくは下記のバナーから公式サイトで確認してみてください。

cars MANAGERcars MANAGER