マーケティング
効率的な車販の基本!売れる品揃えの方法から展示場の作り方まで解説
投稿日:2021/10/07更新日:2022/10/28
今回は、株式会社ティオの山本 覚氏による講義の中から「車販ビジネス強化でCS連鎖を!」というテーマの講義の一部を紹介します。
効率的な車販のための仕入れや店頭マーケティングにおける考え方、良い展示場の作り方などをみていきましょう。
販売責任者最大の務めとは?
まずは、販売責任者のミッションを明確にしましょう。
仕入れの最適化
一般的な人気車種を仕入れれば良いということではなく、お店のコンセプトや地域の特性に合った仕入れをすべきです。
また、オートオークションからの仕入れは全体の30%以下に抑え、利益が高い買取・下取りをメインに据えましょう。
集客の最大化
一人でも多く、一組でも多くのお客様を集めることが大切です。来店成約率から計算し、売上目標に見合う集客数を目標に設定しましょう。
在庫日数の短縮
平均在庫日数を管理すると同時に、長期在庫車の定義を設定します。たとえば、60日以上を長期在庫車と定義し、その日数を超えないように排除、管理していきます。
「いつか売れる」では命取りになるため、「いつまでに売るか」を明確に考えましょう。その際、在庫基準を設けて長期在庫車が発生しない仕組みづくりが大切です。
魅力的な展示場作り
買いやすい展示場になっているのかを定期的に見直していきます。また、プライスボードはしっかり書かれているのかも確認しましょう。
お客様にとって便利でわかりやすく、安心して購入できる展示場を目指します。
効率的な営業
現場の担当者に対して月間の行動計画を提案する、もしくは行動計画を立ててもらいます。営業担当者にとって行動計画の立案は苦手なポイントです。
しかし、月間の行動計画を立てないで、言われたことをただ実行するのは「他人に行動を決められている状態」になってしまうため注意しましょう。
また、販売のシナリオ作りを自分で立案できなければ、成績がなかなか振るわないという状態にもなりかねません。そうならないためにも月間の行動計画をしっかりと立て、どのお客様をターゲットにするのかを明確に定めましょう。
「多くの集客」「在庫日数の短縮」この部分が最大のポイントであるため、販売責任者最大の務めとして必ず押さえておきましょう。
購買意欲を刺激する品揃えの方法
続いて、購買意欲を刺激する品揃えの方法をくわしくみていきましょう。
集客車種を決める
品揃えにあたり、まずはお店のメインとなる集客車種を3〜5台揃えましょう。
集客車種の決め方としては、
- 商圏の売れ筋の新車
- 商圏の年齢構成
- 商圏の所得水準
これら3つが挙げられます。
集客車種を中心に価格幅を持たせる
次に、決まった集客車種を中心に、上下に価格幅を持たせます。
具体的には、集客車種の価格帯から上に3〜10万円、下に3〜10万円の価格差の同車種を3台ずつほど揃えましょう。
集客車種を中心に同じタイプの他銘柄車を集める
さらに、集客車種を中心に同じタイプの他銘柄車をそれぞれ3台ずつほど揃えましょう。
一車種15〜20台の品揃えで訴求力を高める
上記のように価格帯、銘柄の幅を持たせ一車種15〜20台の品揃えで訴求力を高めます。
意味なく並べるのは魅力的な展示場にならない
コンセプトに合わない車が下取りで入ってきたとしても、意味もなく展示場に並べてはいけません。そのような場合はすぐに業者やオークションに出すなどしたほうが賢明です。
人気の車が入ったからといってすぐに並べると、展示場のコンセプトが崩れる恐れがあるため注意しましょう。
在庫車が売れ残らないよう「バックオーダー」を抑える
意味もなく展示すると、お客様からの問い合わせによってバックオーダーが生じ、在庫車が売れ残るという事態にもなりかねません。
つまり、バックオーダーはゼロにはできないものの増えてもいけないため、在庫車や展示車を売っていく努力が必要となります。
短冊に装備だけを書いても意味がない
フロントガラスの短冊には装備中心の内容が書かれていることが多いです。しかし、実際には「OBD診断済み」などの購買意欲を誘う言葉が必要です。
スーパーに設置されているPOP広告などが参考になります。それらの即売広告を参考にして短冊に記載する内容を魅力的にまとめましょう。
店頭マーケティングとは?
次に、店頭マーケティングのポイントを解説します。
顧客志向
車種別や価格帯別など、お客様に配慮したコーナー型の陳列になるようレイアウトします。
わかりやすい導線
迷わずに目的の商品に行き着けるようにします。たとえば、価格帯別のコーナーを安いものから高いものの順に並べることなどです。
並べ方に意図を持たせることで、お客様を迷わせないような導線を作ることができます。
スペースを確保した展示
ゆったりと隅々まで確認ができるよう、窮屈に陳列しないよう注意します。お客様は車が見たくて訪れるため、外装だけでなく、内装やエンジンルーム、トランクルームまで、ゆったり見られるように展示する必要があります。
わかりやすい品質表示
品質を明確に表示し、選びやすいように配慮します。これは、プライスボードだけでなく、12ヶ月定期点検の点検記録簿をビジュアル化して表示するなどの工夫を凝らしても良いでしょう。
適切な車両の管理・展示場の整理整頓
車両内容が明確で管理が適切な状態は、買いやすさにつながります。展示場の清掃も毎週しっかり実施しましょう。
また、展示前加修を行い、「お客様に不良箇所を指摘され、値引きをしなければならない」という状況を避けることも大切です。
最低限の展示前加修をすることで商品価値が上がるため、それ相応の価格で勝負できるようになります。
たとえば、オークションから持ってきた状態でそのまま並べるなどは避けるべきです。電気系統やエンジンの作動をチェックして整えて商品にしておきましょう。
「お客様にとって親切で安心して買える展示場を志向していく」、それが店頭マーケティングの本質です。
そのためにも、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)が行き届いた展示場であることや、お客様が知りたいことを見える化することを意識し、最終的には顧客志向の展示場を目指していきましょう。
良い展示場の条件
良い展示場の条件としては、次の5つを挙げることができます。
わかりやすい看板
50m先からでも店舗の場所がわかるよう、看板を立てるなどの工夫をしましょう。
入りやすい駐車場
駐車場が完備されており、空きスペースがしっかりとあることが重要です。また、誘導標識のわかりやすさも大切です。
綺麗な展示場・商談室
展示場や商談室の5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を行き届かせることも忘れてはいけません。
活気があり明るい雰囲気
社員が生き生きと働き、かつ笑顔が絶えないお店づくりをしていきましょう。
退店時の気持ちの良い接客
お客様が気持ちよくお店から退店できるよう、礼儀正しく笑顔で接客し、元気にあいさつすることが大切です。また、「お客様を逃した!」という不機嫌な様子を出さず、元気よく送り出すようにしましょう。
良い展示場の基本配列
上の図は、どこにどのような車を展示するかを示した一例です。入り口はその地域の人気車種などで、思わず入りたくなるように設計されています。
また、回遊ができるようにレイアウトされており、奥へと誘導するように見せ筋を配置し、最終的には商談室に入っていただけるような設計になっています。
この際、お客様専用駐車場を設けましょう。間違っても社員や社長の車を止めないように配慮し、駐車場の空きを必ず作っておきます。
また、展示車のレイアウトは定期的な入れ替えを行うべきです。「何日間も同じ場所に同じ車が展示されている」など、お客様はよく見ています。
さらに、入れ替えをきっかけに価格やアピールポイントの見直しを行うことで、展示場の活性化にもつながります。
陳列の三原則
続いて、陳列の三原則を解説していきます。
整然と並べ好印象を与える
商品化した車は、きれいに並べて日常的に手入れをします。お客様に好印象を与えるためにも、陳列の際は車の鼻先を合わせて整然と並べましょう。
また、ETC、カーナビなどは購入プレゼントではなく、最初から車に取り付けた状態で商品とすべきです。その上で、冬用タイヤをプレゼントすることなどをおすすめします。
さらに、日常の手入れは内装まで小まめに行い、前のオーナーの痕跡や匂い、雰囲気を完全に消しましょう。
車両情報を正確でわかりやすく表示する
展示車の情報を正確でわかりやすく開示します。プライスボードは公正取引委員会で定義されているものをすべて記入し、点検記録簿などで車両状態を表示しましょう。
試乗できる状態にしておく
お客様が車を自由に見ることができるように、その場ですぐに手に触れられ、可能な限り試乗できるようにしておきます。エンジンがかかるのかどうかを展示前に確認しておきましょう。
集客の原則
中古車は「一物一価」であるため、価格優先よりも価格の理由を伝えることが集客には重要です。たとえば、必要性を伝える、品質と状態を伝える、安心と信頼を伝えることなどが挙げられます。
ここからは、販売責任者の最大の務めの一つである集客についてみていきましょう。集客は次の4つの要素から成り立っており、これらが相まって集客力が高まります。
チラシなどを作成する際には、この4要素を取り入れましょう。
効果的なチラシの原則
では、具体的にチラシで集客効果を上げるためにはどうすれば良いのでしょうか?
客層に合わせた配布
独身者、ヤングファミリー、中年ファミリーそれぞれに向けた配布方法は下記のとおりです。
- 独身者:コンビニ、弁当屋、レンタルビデオ屋、ポスティング
- ヤングファミリー:地域コミュニティー誌、コンビニ、ポスティング
- 中年ファミリー:日刊紙(地元紙)、ポスティング
このように、客層に合わせたチラシ配布を行うことで、最大限の効果が期待できます。
工夫すべき点を考えチラシを制作
チラシ制作のポイントは下記の7つが挙げられます。
- 地域ごとに掲載内容のメインを変える
- ターゲットごとに打ち出すキーワードを変える
- 車種別分類による見やすさを訴求する
- 長所、特徴を詳細に記載することで安心感を訴求する
- 購入後のサービス体制を掲載し、信頼感を訴求する
- 特価の目玉車両により、安さを訴求する
- マップの工夫により、来店のしやすさを訴求する
これらを意識したチラシ作成が肝心となるため、「今までこうだったから」という理由で作成するのではなく、工夫すべき点をしっかりと考えましょう。
地域の特性に合わせた車種をメインに持ってきたり、ターゲットに合わせてコピーのキーワードを変えるなどの工夫が大切です。独身者とファミリーでは響くキーワードも変わってきます。
イベント実施時は目的を明確にする
イベントを実施する際は、そのイベントの目的を明確にしましょう。
目的の例として、
- 見込み客作り
- 増販
- 店舗アピール
などが挙げられます。
「これまでやっていたから」と何となくのイベントが繰り返されると、実施する側もお客様側もマンネリ化してしまい、魅力のないイベントとなるため注意しましょう。
イベントでは集客目標を立てる
また、イベントを実施する上では集客目標をしっかり立てるべきです。具体的には、見込み客50件、増販30台、アピール200人などが挙げられます。
立てた目標から確率を計算し、集客数の目標を立てていきましょう。
集客確率アップのために実施する内容
集客確率アップのために実施する内容は下記のとおりです。
- 集客組数のノルマ設定
- リストアップ
- 告知DM
- ダイレクト告知
- 来場約束を取り付ける
中でも「来場約束を取り付ける」ことがキーポイントとなります。そのため、DMを送ったあとは電話などでコンタクトを取りましょう。
まとめ
今回の記事では、売れる品揃えの方法から展示場の作り方などを解説しました。
意味なく集客車種を並べても、お客様にとって魅力的な展示場にはなりません。「売れる品揃え」の実現には、商圏で売れ筋の新車、商圏の年齢構成、商圏の所得水準などを把握することがキーポイントとなります。
また、店頭マーケティングや良い展示場の条件を理解し、実店舗で活用していくことが重要です。効率的な販売を行うためにも、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。
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売れる品揃えと展示場をしっかり整えるのと同時に、顧客にしっかりとアプローチしていくことも大切です。
アプローチといっても、単に車を売り込むためのDMを送るだけではありません。顧客の状況をしっかりと見極めて、顧客の状況にあった情報を届けることが大切です。
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