摩耗やパンク、季節の変わり目などにはタイヤ交換が必要です。その費用は、さまざまな要素によって変化します。
ここでは、タイヤ交換の費用に影響する業者別の工賃やタイヤの種類、作業内容、タイヤを持ち込む場合の費用について解説します。
業者別タイヤ交換費用の相場と所要時間
タイヤ交換を依頼できる業者にはいくつかの種類があります。ここではカーディーラーとタイヤ専門店、カー用品店、ガソリンスタンド、自動車整備工場の5つをみていきましょう。
それぞれの特徴や傾向を踏まえながら費用の相場と所要時間について触れていきます。なお、費用の相場にタイヤ本体の価格は含まれません。
カーディーラー
メーカー特約店という安心感や総合力の高さが特徴です。カーディーラーでは取り扱う銘柄が決まっていますが、品質の高いものばかりといえます。
メーカー純正品や生産から間もない新しいタイヤを取り揃えており、在庫がない場合は取り寄せもできます。また、作業員には販売する車に特化した知識や技術があります。
ただし、費用面では最も高いといえるでしょう。持ち込み料がかかったり、持ち込みができない店舗もあります。
タイヤ交換の所要時間は1時間前後で、交換するタイヤの本数や大きさによって異なります。
また、待ち時間を快適に過ごす配慮や工夫がされているのもカーディーラーの特徴といえるでしょう。工賃の相場は、おおよそ次のとおりです。
店舗購入 | 持ち込み | 所要時間 | |
工賃(4本合計) | 6,400~17,600円 | 12,000~24,000円 | 1時間~1時間半 |
工賃(1本あたり) | 1,600~4,400円 | 3,000~6,000円 | 1時間 |
タイヤ専門店
タイヤ専門店は、専門店ならではの豊富な品揃えと在庫で、目的や予算に合ったタイヤが見つかりやすいことが特徴です。
車種に適したタイヤや低燃費性能、走り心地(快適性)、長持ちすること(経済性)などを追求したタイヤを見つけることができます。
自分好みのタイヤや車に合わせた高性能なタイヤを探せる一方で、持ち込みの場合は工賃が割高になる傾向があるといえるでしょう。
多種多様なタイヤを取り扱う専門店でタイヤ交換をこなす作業員の対応力と技術力は高いです。交換の相場と所要時間は、おおよそ次のとおりです。
店舗購入 | 持ち込み | 所要時間 | |
工賃(4本合計) | 6,000~12,000円 | 5,000~16,000円 | 1時間~1時間半 |
工賃(1本あたり) | 1,500~3,000円 | 1,250~4,000円 | 1時間 |
カー用品店
カー用品店は、タイヤ専門店ほどの品揃えではないものの、一般的なタイヤを探すのであれば種類や在庫は十分でしょう。
タイヤ専門店との大きな違いは、安いタイヤを数多く取り揃えていることです。できるだけ予算内に収めたい人に向いているといえます。
タイヤ交換も安くて早いことが魅力で、人気がある分予約が取りにくかったり、混雑のため待ち時間がかかったりすることもあるでしょう。
スピードが求められるカー用品店は、タイヤ交換のついでに整備点検を希望しても、対応してもらえない可能性があります。
工賃の相場は、おおよそ次のとおりです。
店舗購入 | 持ち込み | 所要時間 | |
工賃(4本合計) | 4,000~6,600円 | 6,000~9,600円 | 30分~1時間 |
工賃(1本あたり) | 1,000~1,650円 | 1,500~2,400円 | 15分~30分 |
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドにあるタイヤは売れ筋であるというケースが多いです。車に欠かせない燃料の給油をする場所ですので、全国各地に店舗があることは強みといえます。
その一方で、整備が主なサービスではないため、整備工場のように設備や人員が整っているとは限りません。
タイヤ交換の工賃がほかのところに比べて安いため、安さを優先したい人向けといえるでしょう。ドライバーであれば日常的に立ち寄る場所であるため、気軽に行けることも魅力の一つです。
店舗によって、タイヤの持ち込みができないところもあります。持ち込みができる場合、店頭購入より工賃が割高です。
冬前や春先などタイヤの履き替え時期には混雑する場合もあるため、予約しておくことをおすすめします。
工賃の相場は、おおよそ次のとおりです。
店舗購入 | 持ち込み | 所要時間 | |
工賃(4本合計) | 4,000~10,600円 | 8,800~11,000円 | 1時間~1時間半 |
工賃(1本あたり) | 1,000~2,650円 | 2,200~2,750円 | 30分~1時間 |
自動車整備工場
自動車整備工場は、整備のプロが対応するため安心です。ただ、主な業務は車の整備なので、タイヤの種類や在庫という面ではある程度限られているといえます。
タイヤの持ち込みに柔軟に対応しているところも多く、タイヤ交換のついでに車の整備点検をお願いできるのは強みです。
地域密着でビジネスをしているため、個々のお客様に応じたきめ細やかなサービスを提供する一方で、紹介などのきっかけがないと接点を持ちにくいという一面もあります。
また、丁寧な仕事と詳細なフィードバックが魅力です。季節の変わり目など、混雑時には順番を待つこともありますが、タイヤ交換をお願いしただけで、タイヤ周りの不具合まで見てくれたり、簡単な車の点検をしてくれたりという配慮があります。
工賃の相場は、おおよそ次のとおりです。
店舗購入 | 持ち込み | 所要時間 | |
工賃(4本合計) | 4,000~12,000円 | 8,000~20,000円 | 1時間~1時間半 |
工賃(1本あたり) | 1,000~3,000円 | 2,000~5,000円 | 1時間 |
車種別おすすめタイヤの値段
車種別におすすめのタイヤと値段をみていきましょう。タイヤはサイズによって金額が変わり、サイズが大きくなるほど値段も上がるのが一般的です。
ここでは、エコタイヤ、コンフォートタイヤ、SUV専用タイヤ、ワゴン専用タイヤ、ハイグリップタイヤの5種類を取り上げます。
エコタイヤ
エコタイヤとは、その名のとおり地球環境に優しい設計で、転がり抵抗を低減した低燃費性とウェットグリップ性能という安全性とを兼ね備えたタイヤのことです。
毎日の通勤や通学などに車を使うため、燃費が気になる場合におすすめです。値段は1本2,000~65,000円と幅広く、タイヤサイズに応じて上がっていきます。
コンフォートタイヤ
コンフォートタイヤとは、乗り心地と静粛性を追求した走りの快適性を重視するタイヤのことです。エコタイヤと同じく、日々の生活に欠かせない車や長時間乗ることがある車におすすめです。
値段は1本7,000~20,000円で、10,000円台のものがよく売れています。
SUV専用タイヤ
車高が高くかつ車重も重いという特徴があるSUVには、走行時の負担に強い設計のSUV専用タイヤがおすすめです。
値段は外国産なら1本6,000~45,000円で、売れ筋は10,000円台といえます。高性能なものほど値段は高くなります。
ワゴン専用タイヤ
家族旅行やレジャー向けのファミリーカーとして定着しているワゴンには、SUVと共通する特徴があります。
それに加えて大人数で乗車したり、荷物をたくさん積んだりするので、その負荷に耐えるワゴン専用タイヤを使いましょう。
値段は1本7,000~17,000円で、10,000 円前後のものがよく売れています。
ハイグリップタイヤ
ハイグリップタイヤは優れたグリップ性能を持つ、スポーティーな走行を楽しむためのタイヤです。
剛性が高くコーナリングが安定することや加速減速時のコントロールに優れています。ほかのものに比べて値段は高めです。
値段は1本8,000~30,000円で、15,000円前後のものがよく売れています。
タイヤ交換の作業内容と工賃相場
一般的にタイヤ交換といえば、タイヤの組み替えおよび脱着のことを指します。
タイヤ交換は、作業内容によって工賃が変わります。タイヤ交換の作業内容と工賃相場をみてみましょう。
また、ここで紹介する費用はあくまで相場となります。工賃については店舗ごとに設定されていることが多いので、店舗が決まったら事前に確認することをおすすめします。
タイヤの組み替え
タイヤの組み替えとは、ホイールからタイヤを外し新しいものを装着することです。タイヤのゴムの部分を取り替える作業を指します。タイヤが摩耗した時などに行います。
車からタイヤセット(タイヤとホイール)を外し、タイヤを組み替えた後にタイヤセットを車に戻すという流れです。ホイールからタイヤを外す際には、タイヤチェンジャーという専用の機械が使われます。
工賃は、交換を依頼する業者やタイヤの大きさによって変わります。
工賃相場(1本あたり):1,000~5,000円
タイヤの脱着(履き替え)
タイヤの脱着(履き替え)は、タイヤセットを車から取り外し、別のタイヤセットを装着することです。タイヤのパンク修理や季節ごとにタイヤ交換する時などに行われます。
タイヤの組み替えほど専門的ではないため、自分で行う人もいます。そのため、工賃も組み替えほど高くはありません。価格は組み替えの半額程度といえるでしょう。
工賃相場(1本あたり):500~3,000円
バランス調整
タイヤの組み替えや脱着(履き替え)後に行うタイヤの重心調整が、バランス調整です。走行中はタイヤが高速回転していますが、その間、タイヤが上下左右に大きくブレないよう安定させるために行います。
タイヤには重量や剛性など、製造過程で生じる若干の個体差があるため、調整が必要です。調整には専用の機械を使います。
バランスが悪いままだと、車体の揺れが大きくなったり、ハンドル操作の精度が下がったりするなど、乗り心地だけでなく車の安全性に影響する可能性があります。タイヤ交換とセットになる重要な作業です。
工賃相場(1本あたり):500~1,000円
ゴムバルブ交換
タイヤに空気を入れる時の入口でもあり、タイヤ内の空気が漏れないよう塞いでいるのがゴムバルブです。小さな部品ですが、果たしている役目は大きいといえます。
ゴムバルブはホイールの内側にあるため、ホイールからタイヤを外した後に作業する必要があります。
タイヤの脱着(履き替え)とタイヤの組み替え、バルブの交換という一連の作業から成り立っているので、工賃は作業量相応です。
交換するゴムバルブの本数やタイヤサイズによって工賃は変わります。
工賃相場(1本あたり):500~3,000円
窒素ガスの充填
空気の代わりにタイヤに窒素を充填するという選択肢もあります。窒素にはいくつかのメリットがあり、タイヤの空気圧保持やタイヤの劣化スピード抑制などが代表的です。
タイヤのゴムよりも窒素のほうが分子が大きいため、空気よりもエア漏れしにくいといわれています。
窒素は酸素や水分を含まないことから、タイヤやホイールを酸化させにくいとされ、熱による膨張や収縮の影響を受けにくく、空気圧が安定するともいわれています。
その一方で、窒素の充填は有料のところが多く、相場は1本500~1,000円です。タイヤ交換ができるすべてのところで取り扱っているとも限りませんので、確認が必要です。
タイヤ廃棄費用
交換したタイヤを廃棄する場合、タイヤ交換時に処分を依頼することをおすすめします。
使えなくなったタイヤは多くの場合、自治体のごみ収集では受け付けてもらえません。適正処理困難物に指定されているからです。
粗大ごみとして受け付けてくれる自治体が一部あり、自分で廃棄することもできますが、通常は廃棄するための費用がかかります。
廃棄の必要がなければ料金はかかりません。中古品として売れるかどうかをタイヤ交換の際に聞いてみましょう。売れる状態ではないと分かってから、処分を依頼しても遅くはありません。
タイヤの廃棄にかかる費用は1本数百円程度です。
タイヤを持ち込む場合の交換費用
一般的にタイヤを持ち込んで交換を依頼する場合、店頭購入よりも割高です。その理由をみていきましょう。
タイヤを持ち込むと工賃が高くなる理由
タイヤを持ち込んだの方が工賃が高くなるのは、業者が利益を確保する必要があるからです。
店頭購入の場合には、販売したタイヤの売上があります。しかし、持ち込みタイヤの場合には工賃しか請求できないため、利益を上げるために工賃を高く設定しているのです。
タイヤ持ち込み不可の業者もある
タイヤ交換を行う業者の中には、タイヤの持ち込みを不可としているところもあります。その理由は、利益に加えて、施工や品質保証の点からリスクが高いと考えるためです。
- 施工上の観点:持ち込まれたタイヤがサイズを含めて問題なくホイールに装着できるかがわからない
- 品質保証の観点:性能や品質が不明なタイヤを装着して問題が起こった場合、その責任を負えない
最近では、インターネットで安く買ったタイヤを持ち込むケースが増えています。持ち込みタイヤへの対応は同じチェーン店でも店舗ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、最近は「持ち込みタイヤ交換専門店」もあります。どうしてもタイヤを持ち込んで交換してもらいたい場合は、このような専門店が近くにあるか探してみるのも一つです。
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まとめ
タイヤ交換の相場は、タイヤ交換を依頼する業者によって異なり、タイヤの種類やサイズによっても変わってきます。
一般的にタイヤ交換といわれているのはタイヤの組み替えや履き替えで、それにともなう作業内容によっても費用が変動します。
タイヤを店舗で購入し交換してもらうのではなく、安い値段で手に入れたものを持ち込む場合、事前に店舗へ確認しておくことをおすすめします。
タイヤの持ち込みが不可の店舗には理由があることを理解し、持ち込みでも割高にならない店舗を探すようにしましょう。