消耗品である車のタイヤは、定期的な買い替えが必要です。「そろそろタイヤの交換時期かな」と思いつつも、できればギリギリまで使いたいというのが本音ではないでしょうか。
タイヤを交換するタイミングは、タイヤの状態や使用年数から見極めることがポイントです。
この記事では、どのようにタイヤの交換時期を見極めたら良いのか知りたい人向けに、スタッドレスタイヤを含むタイヤの交換時期をチェックするポイントと、タイヤを長持ちさせる方法について紹介します。
タイヤの寿命と交換時期のチェックポイント
タイヤの交換時期を見極めるためには、以下の点をチェックすると良いでしょう。
・スリップサイン
・残り溝
・タイヤの製造年月
・ひび割れや摩耗状態
各チェックポイントについて、くわしく解説していきます。
スリップサインとは
「スリップサイン」とは、タイヤの溝がすり減った時に現れる盛り上がり部分のことです。
交換の必要がないタイヤは溝が深く、スリップサインを見ることはできませんが、タイヤの表面についている△印によってどこに位置しているのかがわかります。
スリップサインが現れているタイヤは交換が必要です。なぜなら、スリップサインはタイヤの残り溝の深さが法的に定められている、保安基準の1.6mmに達したことを意味するからです。
たとえ1箇所でも残り溝1.6mm未満のタイヤで走行すれば道路交通法違反となるので、スリップサインが出そうになったら買い替えるのが無難です。
残り溝が50%程度になると交換の目安
タイヤメーカーの多くは、残り溝50%をタイヤ交換の目安としています。
新品タイヤの溝は約8mm。つまり、残り溝50%というと約4mmですが、この時点から制動距離(ブレーキを踏んでから車が完全に停止するまでの距離)が伸び始めます。
走行距離で判断
路面と接触しているタイヤは、車に乗り続けていることで摩耗していきます。つまり、タイヤの年齢にかかわらず、短期間で長距離を走ると寿命が早くなります。
タイヤが摩耗するのは、走行距離5,000kmにつき1mm程度といわれています。この数字をもとに計算するとタイヤを交換する走行距離の目安が出てきます。
実際に計算してみましょう。
ステップ1:8mm(新品タイヤの溝の深さ)-1.6mm(法的に走行可能な溝の深さの限界値)=6.4mm
ステップ2:6.4mmx5,000km=32,000km
つまり、走行距離30,000~32,000km以内にタイヤ交換をする、ということになります。
タイヤの製造年月・使用年数で判断
タイヤは時間が経つにつれて劣化していきます。たとえ見た目が正常で運転にも支障がないという場合でも、使用開始から5年経過したら専門業者で点検を受けるようにしましょう。
また、ゴムの劣化などの観点で、タイヤの製造年月から10年経過したら新品と交換することをおすすめします。
タイヤの製造年月は、表面に刻印されているセリアル記号(アルファベットと数字の組み合わせで表される製造番号)でわかります。
たとえば「ABC4819」なら「48」が週、「19」が年であり、製造年月は2019年11月(=48週目)ということになります。
「タイヤの製造年月から10年後に交換」というのは、タイヤをあまり使用しない場合の目安です。使用可能かどうかは、タイヤの状態によって異なることを忘れないようにしましょう。
ひび割れや摩耗状態を確認
交換時期かを調べるために、タイヤの表面をチェックする時は
- キズ
- 亀裂
- ひび割れ
- 早期摩耗(急ブレーキなどによって早期に生じる摩耗)
- 偏摩耗(タイヤの一部が摩耗すること)
がないかどうかを確認しましょう。
タイヤの表面は、
- トレッド面(路面に接触する部分)
- ショルダー(タイヤの肩にあたる部分)
- サイドウォール(タイヤサイズなどが刻印されている部分)
- ビード(ホイールに接している部分)
と、部位によってそれぞれ名称が異なります。
タイヤが以下のような状態の場合は、特に注意が必要です。
- トレッド面に早期摩耗または偏摩耗が見られる
- ショルダーやサイドウォールに深いひび割れや盛り上がり(ピンチカット)ができている
- ビートが破損して隙間ができている
このような状態に気がついたら、早めにタイヤを交換しましょう。
スタッドレスタイヤの寿命と交換時期
スタッドレスタイヤにも、法的に定められた寿命があります。それは夏タイヤと同じく、残り溝1.6mmが法的に走行可能な限界値です。
ほかに、スタッドレスタイヤの交換時期をチェックするポイントにはどのようなものがあるかを解説します。
新品時から50%の摩耗でスタッドレス性能が大幅低下
スタッドレスタイヤとして機能する限界は、新品時から50%摩耗した状態といわれています。
スタッドレスタイヤには、氷雪路でグリップが利くようにサイプと呼ばれる細かい切れ込みが入っています。タイヤを使い続けていると、トレッド面が摩耗して切れ込みが浅くなり、サイプのはたらきが弱ってしまうのです。
そのため、スタッドレスタイヤには「プラットホーム」と呼ばれるギザギザした突起があり、タイヤの表面が50%摩耗(約5mm)すると、姿を現すように設計されています。
プラットホームが出たとしてもタイヤとして使用不可というわけではありません。
しかし、スタッドレスタイヤとして使用できる限界を告げるサインになるので、プラットホームが出た時がスタッドレスタイヤをはじめとするスノータイヤ交換時期と覚えておくとよいでしょう。
タイヤを長持ちさせる方法
どのタイヤにも寿命があります。そのため、時期が来たら新品に買い替えなくてはなりませんが、適切に取り扱うことでタイヤの寿命を延ばすことも可能です。
ここからはタイヤを長持ちさせる主なポイントについて紹介します。
適正な空気圧
タイヤ内の空気圧を適正に保つことは、タイヤを長持ちさせることにつながります。
空気圧が低すぎると、タイヤは「たわむ」と「元の形に戻る」を繰り返しながら回転し、通常よりも多くのエネルギーを消費します。
これは燃費の低下につながるだけでなく、変形したタイヤは発熱しやすく、それがパンクやバーストを招くことにもなります。
反対に空気圧が高すぎるタイヤは、中央部だけが摩耗するなど偏摩耗を引き起こしやすい状態です。また、タイヤが硬くなり、表面にキズがつきやすくなります。
車両にはそれぞれ「車両指定空気圧」が設定されており、運転席ドアの開口部に貼ってあるラベルなどで確認できます。空気圧は、最低でも月に一度はチェックしましょう。
タイヤのローテーションとアライメント
タイヤを使用し続けていると、一つのタイヤだけが激しく摩耗する偏摩耗が生じ、タイヤの寿命を早めます。
こうした偏摩耗を予防するのが、「ローテーション」です。ローテーションはタイヤの装着位置を変えて、タイヤごとの摩耗の差を小さくすることです。
走行距離5,000kmを目安(たとえば年間10,000km走るなら半年に1回の頻度)に、ローテーションを行うとよいでしょう。
ローテーションに加えて実施したいのが、車体に対するホイールの角度や位置などを確認して調整するアライメント(ホールアライメント)です。運転を続けていると、タイヤの取付位置が基準値からずれ、偏摩耗が生じやすくなります。
アライメントのタイミングは、車高調(車高調整式サスペンション)を取り付けた時などです。
保管方法
ゴム製品であるタイヤを長持ちさせるには、保管方法にも留意しましょう。ゴムの劣化を避けるため、タイヤは紫外線が当たらない場所に保管するのがベストです。
また、空気圧を適正空気圧の半分以下にすることも忘れないようにしましょう。タイヤとホイールをセットで保管する場合は、平積み(横積み)で保管することがポイントです。
タイヤを保管する場所を確保することが難しい場合は、タイヤの預かりサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
タイヤの預かりサービスは、タイヤ専門店やカー用品販売店、ガソリンスタンドなどさまざまなショップで実施されています。
安全運転
誰でも簡単にタイヤを長持ちさせる方法は、安全運転を心掛けることです。タイヤを摩耗させる原因は、急ブレーキや急発進といった運転操作です。
タイヤに優しい運転を心掛けることで、こうした急な動作や無理な操作をすることが少なくなります。運転する際は気持ちを落ち着けて、適正スピードで走るようにしましょう。
まとめ
今回は、タイヤ交換時期を見極めるポイントについて紹介しました。
タイヤを交換するべきか判断するポイントは複数あります。これらのポイントをチェックし、一つでも該当した場合はタイヤの交換を検討するとよいでしょう。
また、スタッドレスタイヤと夏タイヤではチェックポイントが多少異なる点にも留意してください。
タイヤの交換時期について知ることで無駄にタイヤ交換をする必要がなくなり、タイヤによるトラブルを予防できて安心です。
タイヤの交換時期を適切に見極め、ベストなタイミングで交換しましょう。