個人でできる燃費の計算方法といえば、「満タン法」。満タン法を覚えれば、愛車の燃費を手軽にチェックできるなど、燃費管理がグッと身近になります。
この記事では、満タン法を用いた計算方法をはじめアプリを使った燃費計算方法、そもそも計算をするメリットなど、燃費の計算で知っておきたいことを紹介します。
カタログ燃費と実際の燃費の差
自動車のカタログに表示されている燃費と実際の燃費との間に差があるのは、前者は国が定めた試験法によるテストによって算出された数字で、私たちが運転する時と条件が異なるためです。
実際の燃費は、個人の運転頻度や交通事情など、主観的な数字でばらつきがあります。一方カタログ燃費は、その車の燃費性能を客観的に計測した数字です。
たしかに「カタログ燃費は良すぎる」かもしれません。しかし、燃費の目安を把握する、燃費向上の努力目標値にするなど、役に立つ面があるのです。
燃費計算方法「満タン法」
実際の燃費を知る手段として多くの人に利用されているのが、満タン法です。
満タン法は、燃料をフルにした状態から走行をスタートさせ、再び満タンにするまで走った距離と、燃料の消費量を計算します(トリップメーターの走行距離÷給油した量)。
その手順は以下のとおりです。
ステップ1:ガソリンを満タンにする
ガソリンスタンドでガソリンを満タンにします。その際注意すべきことは、給油する場所によって誤差が生じるという点です。
地面の傾斜は、すべてのガソリンスタンドで同じというわけではありません。また、給油する人によって「満タン」の度合いが微妙に異なります。
満タン法の精度を考えると、いつもと同じ場所(できればセルフスタンド)で給油するのが望ましいです。
ステップ2:トリップメーターをリセットする
「トリップメーター」とは、走行距離を測るリセット可能な積算計のことで、スピードメーターの近くにあります。
ここでのポイントは、事前にトリップメーターをリセットするという点です。必ずトリップメーターがゼロになっていることを確認してから走り出しましょう。
ステップ3:次のガソリン給油まで走行する
ガソリンを入れたら、なるべく長い距離を走ります。その理由は、燃費の平均値を計算するためです。
ただし、給油ランプが点灯するまで走り続けるのは得策ではありません。無理をせずほどほどの距離を走るようにしましょう。
ステップ4:再度ガソリンを満タンにする
ガソリンを再び満タンにする際、給油量を必ず覚えておきましょう。これを忘れてしまうと、燃費の計算ができなくなるので注意が必要です。
給油量は、給油機のメーターまたはガソリンの料金を支払った時にもらうレシートなどで確認できます。
ステップ5:実燃費を計算する
満タンにした後、燃費を計算します。その際使用する計算式は先程も紹介したとおり、「トリップメーターの走行距離÷給油した量=実燃費」です。
たとえば、トリップメーターの走行距離が800kmを示していて、給油量が50Lだったとします。
その場合の燃費は、
800÷50=16
つまり、その車の実燃費は16km/Lと算出されるということになります。
スマホアプリで燃費計算
スマホアプリを使うと、満タン法での燃費計算がより簡単になります。燃費計算アプリは、入力された情報をもとに平均燃費を自動的に計算し、記録する機能を備えています。
おすすめは、
・iOS:「燃費記録簿」
・Android:「e燃費」
です。
どんなアプリなのか、みてみましょう。
iOSのアプリ「燃費記録簿」
燃費記録簿は、iPhoneで使用できる燃費計算アプリです。給油時に必要な情報を入力すると、燃費を自動的に計算してくれるという手軽さで人気があります。
燃費記録簿の使い方は簡単。アプリをダウンロードし、以下の項目を入力するだけです。
・オドメーター(積算走行距離計)
・給油量
・給油金額
複数車両の記録に対応しているほか、入力されたデータは履歴として蓄積されていき、履歴が二つ以上になるとベスト燃費/ワースト燃費の確認ができるようになります。
また、データは月別・年次別にグラフにして表示することも可能です。
Androidのアプリ「e燃費」
e燃費は、Androidを使って燃費が管理できるアプリです(iOS版もあります)。給油レシートとオドメーターを撮影・投稿することで、給油情報を記録します。
また、記録された燃費をグラフ化し、燃費の推移を把握してエコドライブの実践に役立てる「メンテナンスアラート機能」でタイヤの交換時期を見逃さないなど、さまざまな用途に活用できます。
e燃費の使い方は、最初にアプリをダウンロードした後、プロフィール情報や車種を登録します。そしてガソリン代や総走行距離などを入力すると、燃費を自動的に計算してくれます。
さらに、カタログ燃費と実燃費の比較や、同車種に乗っているユーザーの燃費とも比較が可能です。
燃費計算をしてくれる車種がある
最近登場した車の中には、燃費計を搭載しているものがあります。車載燃費計は、瞬間燃費(その瞬間の燃費消費率)に加え、平均燃費も測定・表示します。
燃料計を搭載している車種は、HV車(トヨタ「ヤリスクロス」など)から軽トールワゴン(スズキ「ワゴンR」など)まで多岐にわたります。
車載燃費計は、「走行距離÷燃料消費量(燃料噴射量)」で燃費を計算します。
車載燃費計と満タン法で算出された数字には誤差が生じがちですが、その誤差は5%前後と実燃費を把握する目安としては許容範囲といえるでしょう。
燃費計算のメリット
燃費計算を身につけることによって得られるメリットは、愛車の燃費を把握できることや、車を買い替える時に活用できるだけではありません。
その他のメリットとして、「燃費向上を意識するきっかけになる」や「ガソリンを入れるタイミングを予測できるようになる」が挙げられます。
燃費向上を意識するきっかけになる
燃費計算をきっかけに、燃費を良くしようと意識するようになる人も少なくありません。数字を記録することで燃費の良い日と悪い日の振り返りがしやすくなったということが、理由として考えられます。
燃費を悪くする要因の中には、運転操作など心掛け次第で改善できるものもあります。こうした気づきが燃費向上につながります。
ガソリンを入れるタイミングを予測できるようになる
愛車の燃費を把握すると、次の給油のタイミングが予測できるようになります。たとえば車で長距離を移動する場合およその走行可能距離がわかれば、どこで給油したら良いのか目安がつきます。
また、給油ランプが点灯した場合でも、「この先どのくらい持つか」が把握できるので、余計に慌てることは少なくなるでしょう。
まとめ
自分で燃費計算ができる満タン法について紹介しました。
満タン法のまとめは、以下のとおりです。
ステップ1:ガソリンを満タンにする
ステップ2:トリップメーターをリセットする
ステップ3:車を走らせる
ステップ4:再びガソリンを満タンにする
ステップ5:燃費を算出する
満タン法は、簡単に計算できることと、ある程度の精度の高さから実際の燃費を知る目安として重宝します。
また、自分で燃費を管理することは、安全運転やエコドライブを心掛けることにつながります。満タン法を燃費管理に役立てて、経済的で快適なドライブを楽しみましょう。