エンジンオイル交換の必要性は?交換時期の目安や費用・役割を解説

メンテ
  • 投稿日:2021/09/10
  • 更新日:2023/02/17
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車やバイクの「潤滑油」の役割を果たしているエンジンオイル。ガソリンとは異なり、運転時エンジンを動かすために各パーツの働きを良くするものです。

エンジンオイルは時々交換すべきとされていますが、なぜ交換しなくてはならないのでしょうか。

この記事では、エンジンオイルを交換する必要性や交換時期の目安、費用などについて解説します。

なぜエンジンオイル交換をしないといけないのか

そもそも、なぜエンジンオイルを交換しなくてはならないのでしょうか。
エンジンオイルが果たす役割とともに見ていきましょう。 

エンジンオイルの5つの役割

エンジンオイルには、潤滑・密封・防錆・冷却・清浄の5つの役割があります。それぞれの役割についてくわしくご紹介します。

1.潤滑:各パーツの動きを良くする

エンジンオイルは、シャフトやピストンなど各金属パーツが触れ合う隙間に入り込んで油膜を作り、摩擦を減らして動きを滑らかにする働きがあります。

パーツ間の摩擦が減って動きが良くなると、車の燃費や加速性能を維持することにもつながります。

2.密封:内部の気密性を保つ

エンジンオイルは、ピストンリングとシリンダーの隙間をふさぐことで、燃焼室からのガス漏れを防ぎ、エネルギーの生成効率をアップします。

エンジンがピストン運動を行い、エネルギーを生み出すことで車が動いています。

3.防錆:サビや腐食からパーツを守る

運転中にエンジン内部が高温になると、外部との温度差で水滴がつきやすくなります。

しかし、エンジンオイルで各パーツがコーティングされていれば水と混じらないため水滴がつきにくく、サビや腐食を予防できます。

4.冷却:温度の上がりすぎを防ぐ

エンジンオイルは、ガソリンの燃焼やパーツの摩擦で生じた熱を吸収・発散することで冷却し、各パーツの温度の上がりすぎを防ぎます

熱を吸い取った後、オイルパンに戻って温度を下げ、再びエンジンを冷却する繰り返しで冷却機能が保たれています。

5.清浄:不純物を取り除く

ガソリンが燃え、エンジンが働くことで生じるススや燃えカス、摩擦金属粉などを洗い流すのもエンジンオイルの役割です。

これらの汚れを取り除くことで、車のパフォーマンスを維持しています。

定期的なエンジンオイル交換をしないとどうなるか?

エンジンオイルを交換しないと、上記のような働きがだんだんと失われていきます。

交換したばかりのエンジンオイルは粘度が高く、潤滑や密封の効果がしっかりと発揮されますが、古くなるにつれて粘度が下がるため、パーツが摩耗したり内部の気密性が下がったりということにつながります。

エンジンの劣化が進み、燃費が悪くなってしまうのです。

また、エンジンオイルは汚れを吸着してはエンジン内部を循環するため、だんだん黒く変色していきます。
変色したオイルを長期間使い続けていると、各パーツを汚すことにもなりかねません。

さらに、水滴からパーツを守る効果も失われていきます。エンジンオイルの交換を怠ると、エンジン内部に深刻なダメージが生じるリスクがあるのです。

エンジンオイル交換時期の目安

では、エンジンオイルはどのくらいで交換すれば良いのでしょうか。ガソリン車・ターボ車・ディーゼル車のそれぞれの場合についてご紹介します。

ガソリン車の場合

一般的なガソリン車を通常の道路で走らせる場合、走行距離が3,000〜5,000kmになったらエンジンオイルを交換すると良いでしょう。

この距離は、車が壊れないギリギリのものではなく、車にとってベストなコンディションを保つための目安です。

もちろん、走行距離や使い方によっても交換時期は異なります。愛車に長く乗りたいと考えている方は、ぜひ余裕を持って早めのエンジンオイル交換をするのが良いでしょう。

ターボ車の場合

一般的なガソリン車よりもやや短めの2,500〜5,000kmの走行距離でエンジンオイルを交換すると良いでしょう。

ターボ車もガソリン車の一種ですが、過給器(ターボチャージャー)という装置がついており、より多く空気を取り込み燃焼効率を上げられるため、エンジンオイルが劣化しやすいのです。

また、サーキットでレースを行う場合、エンジンオイルの交換は1レースごとだといわれています。
反対に、高速道路の利用が多い場合は、走行距離3,000kmごとで構わないとされています。

車の利用環境に応じて、適切にエンジンオイルを交換しましょう。

ディーゼル車の場合

ディーゼル車のオイル交換の目安は、2,500〜5,000kmとされています。

ディーゼル車のエンジンオイルは目視で汚れを判断しにくいため、汚れ具合ではなく走行距離や前回の交換時期から判断しましょう。

ディーゼル車はガソリンではなく、軽油を燃料としています。

軽油には硫黄成分が多いので、ススなどの汚れがつきやすいため、ガソリン車と比べて短いスパンでエンジンオイルを交換する必要があるのです。

5,000kmでのエンジンオイル交換はしなくてもいいのか?

エンジンオイルの交換時期は、メーカーの取扱説明書などを確認すると、上記でご紹介した走行距離よりも長く書かれていることが多いです。

一例を挙げると、以下のような交換時期の目安が規定されています。

▼標準的な交換時期

  • ガソリン車:15,000km、または1年
  • ターボ車:5,000km、または6ヶ月
  • ディーゼル車:5,000~20,000km、または半年~1年ごと

▼シビアコンディションでの交換時期

  • ガソリン車:7,500km、または6ヶ月
  • ターボ車:2,500km、または3ヶ月
  • ディーゼル車:2,500~10,000km、または3ヶ月~半年ごと

このように見解が異なる理由として、「エンジンが壊れないギリギリの交換時期」を示しているか、「車にとって良いコンディションを維持できる交換時期」を示しているか、という違いが挙げられます。

実際に、走行距離が5,000kmに達したからといってすぐにオイル交換を行わなくても、車がそこで壊れてしまうわけではありません。

しかし、エンジンオイルが古くなる前に交換し、車にとって良いコンディションを保つことは、車の性能を維持し、各パーツの劣化を防ぐことにつながります。

エンジンオイルに関するトラブルを最小限に防ぐ上でも、上記に挙げた交換時期は一つの目安となります。

最初にご紹介したように、エンジンオイルが古くなったまま使い続けると、車の燃費が悪くなったり、各パーツの寿命を早めてしまったりするリスクがあります。

エンジンの性能を十分に引き出すためにも、車を良い状態で長く使い続けるためにも、エンジンオイルは余裕を持って早めに交換しておくのがおすすめです。

交換時期が早まってしまうシビアコンディションとは

前章でも出てきた「シビアコンディション」は、エンジンオイルの交換時期を早めてしまう要因の一つです。

ここからは、シビアコンディションの概要と判断基準を説明します。

シビアコンディションとは

シビアコンディションとは、「シビア(過酷な)」「コンディション(条件)」を合わせた言葉で、通常想定されている一般的な使用状況(ノーマルコンディション)と比べ、車にとってより過酷な使用状況のことを指します。

シビアコンディションでは、ノーマルコンディションと比べてエンジンオイルにも大きな負担がかかります。

そのため、シビアコンディションでの使用が多い場合は、エンジンオイルの交換時期がより早く設定されているのです。

シビアコンディションの判断基準

シビアコンディションにあたる走行条件として、主に以下のような例が挙げられます。

  • 悪路(凸凹、砂利、雪、未舗装など)
  • 過走行(走行距離が非常に長い)
  • 山道、アップダウンの激しい道路の走行
  • 短距離運転の繰り返し
  • 氷点下での繰り返し運転
  • 低速走行が多い
  • アイドリングが多い

シビアコンディションの基準はメーカーによっても多少の違いはありますが、概ね上記のような条件がシビアコンディションとされています。

また、具体的な判断基準としては以下を目安にすると良いでしょう。

  • 走行距離の30%以上が悪路や山道、アップダウンの激しい道路である
  • 1回あたりの走行距離が8km以下である短距離運転が多い
  • 1日2時間以上のアイドリングを行うことが多い
  • 年間2万km以上を走行する

低速走行については、10〜15km/時での走行が30kmを超える、30km/時以下での走行が走行距離の30%を超えるなどメーカーによって多少目安が異なります。

低速走行が多い場合は、各メーカーの取扱説明書を確認しましょう。

エンジンオイル交換にかかる費用&作業時間

では、実際にエンジンオイルを交換する場合、かかる費用や作業時間はどのくらいなのでしょうか。

ディーラー・カー用品店・ガソリンスタンド・整備工場のそれぞれについて詳しく見ていきましょう。 

ディーラー

作業時間:20〜30分
工賃:1,000〜2,000円程度

エンジンオイル交換をディーラーに頼む場合、メーカー純正のオイルを使うため安心感があります。

しかし、エンジンオイルの交換のみで訪れるためには事前に予約が必要なところが多いため、注意が必要です。

また、純正オイルを使うことや工賃が高くなりやすいことなどから、他と比べて割高になりやすい傾向があります。
ディーラーにエンジンオイル交換を依頼する場合、予約と費用に注意しましょう。

カー用品店

作業時間:20〜30分
工賃:500円程度

カー用品店のエンジンオイル交換は、ピットサービス(車両整備)の一環として受け付けてもらえます。

店内にあるエンジンオイルから好きなものを選べるので、選択肢が多いのが魅力の一つです。

工賃も相場が500円程度と、非常に安く交換できます。

一方で、土日などは待ち時間が長くなりやすいこと、店舗によっては取り扱うオイルの種類が限られることなどのデメリットもあるため注意しましょう。

ガソリンスタンド

作業時間:30分以内
工賃:1,000円以内

ガソリンスタンドでエンジンオイルを交換する場合、給油のついでに頼めるため非常に便利です。

作業時間は予約していなくても30分以内で終わることが多く、突然交換が必要になった場合でも安心して頼めます。

ただし、工賃の相場は1,000円以内と、カー用品店と比べてやや高めの傾向です。

また、店舗によって整備士の知識や技術にばらつきがあることにも注意が必要です。

整備工場

作業時間:20〜30分
工賃:整備工場によってまちまち

車の整備工場ではさまざまな車種に対応できる技術力を持った整備士が作業してくれるため、安心して交換を依頼できます。

作業時間は他と同様に20〜30分程度でできますが、工賃は整備工場によってまちまちであるため、各整備工場に問い合わせることが確実です。

整備工場は少人数で経営しているところが多いため、エンジンオイルの交換を依頼する場合はあらかじめ予約しておきましょう

また、使いたいエンジンオイルの在庫があるかどうかにも注意し、予約の際に伝えておくと安心です。

エンジンオイルの種類と選び方

エンジンオイルには、ベースオイルの違いや粘度、規格によってさまざまな種類があります。

この章では、エンジンオイルの種類と選び方についてご紹介します。 

エンジンオイルの種類

エンジンオイルは、ベースオイルの違いによって3つの種類に分けられます。

鉱物油

現在、最も普及しているタイプのオイル。原油を蒸留した後、不要な成分や有害物質を取り除いて作られています。

街乗りや日常使いなど、一般的な使い方をする人におすすめのオイルです。

部分合成油

鉱物油と全合成油(化学合成油)を混ぜ合わせたタイプのオイル。

化学合成油が20〜30%の割合で混ぜられ、鉱物油の弱点である揮発性の高さを化学合成油が補うような性質を持っています。

毎日車に乗るという人や、高速道路をよく使うという人におすすめのオイルです。

全合成油

鉱物油を化学分解して作られたオイルで、化学合成油とも呼ばれます。

精製過程で不純物をできるだけ取り除いているため、潤滑性能が高く劣化しにくいのが特徴です。

エンジンの洗浄や、環境面への影響を配慮した添加剤を合成しています。
低温でもよく動き、冬場でもパフォーマンスを発揮できるほか、純度が高く交換の頻度も少なく済みます。

車好きの人、レースに参加する人におすすめのオイルです。

オイルの粘度

オイルの粘度とは、エンジンオイルの硬さのことを表しています。

車種によっても、気温や使用条件によっても推奨される粘度が異なりますので、取扱説明書で必ず確認しましょう。

日本車に多い粘度は「5W-20」などと表されるものです。

5Wや10Wなど、Wの左側の数字が小さいほど低温時の粘度が低いことを示し、20や30など「−」の右側の数字が大きいほど、高温時の粘度が高いことを示します。

低温時に粘度が低いとエンジンがかかりやすく、高温時に粘度が高いと高速走行でもパーツの保護性能に優れています

その他、低粘度オイル・高粘度オイルには以下のような特徴があります。

低粘度オイルの特徴

エンジンがかかりやすく、燃費が良いためエコカーなどにも多く使われています。

一方で、高温時のエンジンの保護性能は高粘度オイルよりも弱いです。

高粘度オイルの特徴

高温でもエンジンをしっかりと保護してくれ、エンジン音が静かなのが特徴です。
ただし、低粘度オイルと比べて燃費が悪い傾向にあります。

エンジンオイルの規格

エンジンオイルには、いくつかの規格(グレード)が設定されています。

これらのグレードはエンジンオイルの品質を表すもので、それぞれの規格によってエンジンオイルに求める性能が異なります。

そのため、現在では1つのオイルに対して複数の規格認定を受けていることが多いです。

API規格

重視する性能:省燃費性、耐熱性、耐摩耗性など

「American Petroleum institute」(アメリカ石油協会)が規定するグレードで、ガソリンエンジン用とディーゼルエンジン用の2種類の規格があります。

ガソリンエンジン用は「S」から、ディーゼルエンジン用は「C」から始まり、その後に続くアルファベットが進むほど品質が良いことを表します

ガソリンエンジン用のグレードは「SA」から、2020年5月に施行された「SP」まで13段階の規格があります。

ILSAC規格

重視する性能:エンジンの小型高出力化と環境負荷軽減の両立

「International Lubricant Standardization and Approval Committee」(国際潤滑油標準化認証委員会)によって規定されるグレードで、ガソリンエンジン向けのものです。
日米の自動車メーカー組織が共同で制定しました。

「GF-1」から「GF-5」まで5段階のグレードが使われてきましたが、2020年5月からは6段階目の「GF-6」が登場しました。

JASO規格

重視する性能:摩擦特性に優れているかどうか

「Japanese Automobile Standards Organization」(日本自動車規格)によって規定されるグレードです。
バイクで見ることが多いですが、ディーゼル車などにも使われています。

「MA」「MA1」「MA2」「MB」という4つのグレードで表記されますが、これらのグレードはあくまでも特性を表し、優劣ではないことに注意が必要です。

オイル交換セルフチェック

最後にエンジンオイルの交換時期をセルフチェックする方法についてご紹介します。
量・汚れ・漏れの3つのポイントをチェックしましょう。

また、セルフチェックの際には汚れが手や服に付くのを避けるため、ペーパータオルと手袋を忘れず用意しましょう

エンジンオイルの量

まずは、エンジンオイルの量をチェックしましょう。車のボンネットを開けると、オレンジ色・黄色・白などのリング状の取っ手がついたパーツがあります。

これが「オイルレベルゲージ」で、エンジンオイル量を確認できるパーツです。

オイルレベルゲージをゆっくり引き出したら、ペーパータオルで一度オイルを拭き取り、穴に戻して根本までしっかり差し込みます。

再び引き抜いたら、オイルレベルゲージの先端をチェックします。

オイルレベルゲージの先端には「F」と「L」のマークがついていたり、点が2つ付いていたりします。

上がオイルの上限、下がオイルの下限です。オイルレベルが上限と下限の間であれば、量に関しては問題ないと考えて良いでしょう。

エンジンオイルの汚れ

続いて、オイルレベルゲージについたオイルの色や透明度をチェックしましょう。
透明度のあるオイルで、ペーパータオルでぬぐった時スムーズに広がるなら汚れの少ないオイルです。

一方、ザラザラとした感触がある場合や、焦げ茶色や黒などに濁っている場合は汚れています

このような時は成分や機能が劣化している可能性が高いため、オイル交換をした方が良いでしょう。

エンジンオイルの漏れ

エンジンオイルが漏れている場合、オイルが染み出しているためエンジンの周辺も目視でチェックしましょう。

エンジン内部にオイルが溜まっている場合は、漏れている可能性があります。

また、他に異常がないのにエンジンオイルの減りが早いという場合も、漏れている可能性が高いでしょう。

エンジンオイルの漏れチェックのためにも、エンジンオイルの量や汚れを定期的にチェックする習慣をつけておくと安心です。

まとめ

エンジンオイルには潤滑・密封・防錆・冷却・清浄の5つの役割があり、エンジン内の各パーツを保護したり、車の性能を十分に引き出したりする働きをしています。

一般的なガソリン車の場合、走行距離が3,000〜5,000kmになったら交換するのが目安です。

ただし、シビアコンディションでの利用が多い場合は交換時期が早まるので、注意しましょう。

エンジンオイルの交換を頼む場合、20〜30分程度、工賃は500〜2,000円程度かかります。
日頃から定期的にエンジンオイルの量や汚れをチェックし、交換時期を確認する習慣をつけましょう。

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