車のバッテリーは、時間の経過とともに性能が落ちるため、定期的な交換が必要です。メーカーが推奨する交換時期は約2~3年ですが、車の使い方次第でバッテリーの寿命が短くも長くもなります。
車のバッテリーは、ディーラーや自動車整備工場に交換を依頼することもできますが、自分でバッテリーを購入して交換することも可能です。
今回は、車のバッテリーを自分で交換する方法や注意点などを解説します。
目次
車のバッテリー交換に必要な工具
車のバッテリー交換に必要な工具は何でしょうか。まず、一覧で確認してみましょう。
【車のバッテリー交換に必要な工具・用具一覧】
- ゴム手袋
- 養生テープ
- スパナ
- サンドペーパー(紙ヤスリ)またはワイヤーブラシ
- 保護用メガネ
それぞれ必要な理由を解説します。
ゴム手袋
ゴム手袋は感電を防止するためにしっかりと装着しましょう。
養生テープ
養生テープはショートを防ぐために使います。バッテリーはプラスとマイナスを接続したり、ケーブルが車体に触れたりするとショートすることがあるため、事故防止のために養生テープで絶縁しておきましょう。
スパナ
スパナは、バッテリーのケーブルやバッテリーを固定している工具の脱着に必要です。
サイズは10mmが一般的ですが、車種によってサイズが異なることがあります。車種に合ったサイズを用意しましょう。
サンドペーパー(紙ヤスリ)またはワイヤーブラシ
サンドペーパー(紙ヤスリ)またはワイヤーブラシは、バッテリーのケーブルやターミナルの清掃に使用します。
保護用メガネ
バッテリー交換時は保護用メガネを着用し、バッテリー内部の液体(硫酸)や腐食したケーブル・ターミナルの清掃時に飛び散る金属粉などから目を守るようにしてください。
自分でバッテリーを交換する方法
バッテリーを自分で交換する時には、取り外し方や取り付け方、バッテリーの処分方法などに注意が必要です。
バッテリーの取り外し方
バッテリーの取り外し方を3段階に分けて解説します。バッテリーを取り外す時は、エンジンを切り、ライトなどの電装品の電源をオフにしてから行なってください。
1.バッテリーの搭載位置を確認
車のバッテリーは、ボンネットの中にあることが多いです。車種によっては、トランクルームのフロア下などに位置していることもあります。車の取扱説明書を読んで、バッテリーの搭載位置を確認しましょう。
ハイブリッドカー(HV)や電気自動車(EV)などの電動車には、オレンジや白の太いケーブルがあります。これらのケーブルは、モーターを駆動するバッテリーからつながっている高電圧ケーブルであるため、傷つけたり抜き取ったりしないよう気をつけてください。
2.メモリーのバックアップ
バッテリーを交換するときはメモリーのバックアップを忘れずにしておきましょう。メモリー機能がある電子機器は、そのままバッテリーを取り外すとメモリーが消えてしまう可能性があります。
そのため、バックアップ電源などを使ってメモリーが消えないようにしておきましょう。詳しくは後述する「バックアップ電源を使ってメモリーがリセットされないようにする」をご覧ください。
3.バッテリーは「マイナス」のケーブルから取り外す
バッテリーのケーブルを取り外すときは、「マイナス」から行います。マイナスから取り外さなければ、ショートしてしまう可能性があるため、ケーブルを取り外す順番を間違えないようにしましょう。
バッテリーを固定している部品は、ケーブルを外してから取り外します。
バッテリーの取り付け方
バッテリーの取り付け方を3段階に分けて解説します。新しいバッテリーを取り付ける時は、バッテリーを搭載する場所の周辺の汚れを取り除いてから設置しましょう。
砂利や砂などが残っているとバッテリーを正しく設置できなかったり、バッテリー本体が損傷し液漏れが発生したりする可能性があります。
1.バッテリーの固定
新しいバッテリーを搭載場所に設置したら、バッテリーの固定を行います。取り外した固定金具を使ってガタつかないよう固定しましょう。
2.取り付けは「プラス」から行う
バッテリーを取り付ける時は「プラス」から接続します。また、プラスのケーブルをつないだ時にバックアップ電源のケーブルを取り外さないよう注意してください。プラスのケーブルをつないだら、マイナスのケーブルを取り付けます。
ケーブルや取り付け器具は、締め付けすぎに注意してください。締め付けすぎると、変形や破損につながる恐れがあります。
ケーブルや取り付け器具は、グラつきがなく、左右に動かなかない程度がちょうど良い締め具合です。
3.バックアップ電源を取り外す
バッテリーケーブルの取り付けまで完了したら、バックアップ電源を取り外します。バックアップ電源を取り外す時は、マイナスから取り外します。
取り外したバッテリーの処分方法
取り外したバッテリーには、鉛や硫酸が含まれているため、一般の家庭ごみとして処分できません。
自分でバッテリーの交換をした場合は、カー用品店やディーラーなどの業者へ引き取り相談するか、自治体の処分方法に従って廃棄するようにしてください。
ディーラーや自動車整備工場に相談した場合には、バッテリー処分を行ってくれることがほとんどです。
ただし、別途処分費用を請求される場合があります。バッテリーの処分費用の詳細は、ディーラーや自動車整備工場などに確認してください。
バッテリー交換時の注意点
バッテリー交換を自分でする時に注意しなければならないことがあります。では、具体的にどのようなことに注意しなければならないのでしょうか。
ここからは、バッテリー交換時の注意点を解説します。
エンジンや電装品の電源を切る
バッテリーを交換する時は、エンジンと電装品の電源を切りましょう。
エンジンをかけたまま作業をすると、回転する部品に巻き込まれてケガをしたり、電装品が故障してしまったりする可能性があります。
そのため、エンジンと電装品の電源を確実に切ってからバッテリーを交換するようにしましょう。
バックアップ電源を使ってメモリーがリセットされないようにする
バッテリー交換は、バックアップ電源を使って電装品のメモリーが消えないようにしてから行いましょう。
車の電装品には、多くの場合学習したデータやセキュリティなどの設定が維持される機能が搭載されています。
そのため、バッテリー交換をする時にはバックアップ電源を使い、メモリーが消えないように対策をしましょう。
感電やショートに注意する
バッテリーを交換する際には、感電やショートに注意しましょう。
バッテリーを交換する時に、つなげるケーブルの端子が車体に触れたり、バッテリー本体のプラスとマイナスが接触したりするとショートしてしまいます。
ケーブルやバッテリー本体の取り扱いには細心の注意を払いましょう。
ハイブリッドカー(HV)や電気自動車(EV)などのバッテリー交換について
ハイブリッドカー(HV)や電気自動車(EV)などには、駆動用バッテリーと補機バッテリーの2種類が搭載されています。
そのため、12Vの補機バッテリーは内燃機関(ガソリン・ディーゼル)車と同様に定期的な交換が必要です。
ただし、専用の構造を持つバッテリーが搭載されていることが多いため、型番を間違えないように気をつけなければなりません。
業者にバッテリー交換を依頼する場合
バッテリー交換は、自分で交換する方法の他に、業者に依頼するという手段もあります。
業者に依頼すると自分で交換するよりも費用が高くなりますが、誤ってメモリーを消したり、感電したりする心配がありません。
また、工具の用意や処分などの手間をかけずにバッテリーを交換することが可能です。
バッテリー交換は、電気を取り扱う作業であるため危険がともないます。作業に自信がない場合は業者に依頼する方が良いでしょう。
バッテリー交換を安く済ませる方法
バッテリー交換を安く済ませる方法はあるのでしょうか。ここからは、バッテリーを安く交換する方法を解説します。
バッテリーを持ち込んで交換してもらう
業者にバッテリー交換を依頼すると、バッテリーの本体代金が高くなる場合が多いです。業者が勧めるバッテリーと同等の性能を持つバッテリーは、カー用品店やWEBなどで安く購入することができます。
では、バッテリーを自分で購入して業者に持ち込んで交換してもらうことはできるのでしょうか。
バッテリーの持ち込み交換は、できる場合とできない場合があります。持ち込みによるバッテリー交換の可否は業者によって異なるため、業者に依頼したい場合は事前に確認しましょう。
適合するバッテリーの見分け方・選び方
バッテリーを自分で購入する時は、型番を間違えないよう気をつけましょう。
一般的なバッテリーの型番は、「55B24L」のように、数字とアルファベットの計6文字によって構成されています。
バッテリーの数字とアルファベットの意味は次のとおりです。
- 最初の2桁の数字:性能ランクを示します。数字が大きいほど高性能です。
- 3桁目のアルファベット:短側面のサイズです。短側面のサイズはA~Hまで存在し、Aが最も小さく、Hが最も大きいサイズです。
- 4~5桁目の数字:長側面のサイズです。長側面のサイズは、cm(センチメートル)で示されています。
- 最後6桁目のアルファベット:端子の位置です。「L」の場合はプラス端子が左側、「R」の場合はプラス端子が右側になります。
- ハイブリッド用:最初の2桁の数字の前に「S」が付きます。
バッテリーの型番の表記は、バッテリーメーカーによって異なる場合があるため、メーカーのホームページや適合表などを使い、所有している車に合うバッテリーを選ぶようにしてください。
もし、どのバッテリーにすれば良いかわからない場合には、現在装着されているバッテリーと同じ型番にしておくと良いでしょう。
まとめ
車のバッテリー交換は、工具を用意し、手順や処分方法などを守れば、自分でも作業ができる整備です。
近年の車は、電装品で動く重要部品が多くあります。しかし、バッテリーは時間の経過とともに、劣化して性能が落ちる部品です。
電圧が落ちると電装品が正常に動かなくなり、最終的にエンジンをかけることもできなくなります。
電装品の動作やエンジンのかかり具合に少しでも違和感があったらバッテリーの点検をして、必要に応じてバッテリー交換を行いましょう。
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