車の整備は自分でできる? DIYの範囲と業者依頼が必要なケース

メンテ
  • 投稿日:2021/10/20
  • 更新日:2023/02/17
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「愛着のある車だから、自分でできる整備は自分でしたい…」「できるだけ費用をかけずに、愛車を維持したい…」そんな悩みをお持ちではないでしょうか。

たしかに、自分でできる整備と、業者に頼んだ方がいい整備がわかっていると、整備にかかるコストを抑えることができるので、車を上手に維持していけますよね。

そこでこの記事では、自分でできる車の整備や業者に任せるべきケース、そして業者の選定ポイントについて、くわしく解説します。

自分でできる車の整備

自動車の整備において、自分でできるものを解説します。これらの作業は日常的に行うことで、車を長持ちさせる効果もあります。

洗車

車は、酸性雨や海岸沿いでの塩害、冬季に散布される凍結防止剤、鳥のフンや小さな虫の死骸などとても過酷な環境にさらされています。

汚れたまま放っておくと塗装面に著しいダメージを与えるため、見た目だけではなく、これらの要素から愛車を守るためにも定期的な洗車が必要です。

洗う際のコツとしては、水洗いからスタートすること。いきなり洗剤をつけてこすってしまうと、表面にある小さな砂やホコリでボディを傷つけてしまいます。

そして、上から下へと順に洗っていくのもポイントです。下側を先に洗ってしまうと、洗った後に上から汚れが落ちてくるので二度手間です。

なお、水を拭き取る際、普通のタオルでは傷つくことがあるので、マイクロファイバークロスといった吸水性の高いものを使いましょう。

洗車の頻度は、2週間〜1ヵ月に1回程度が目安です。雨や雪が降ったり海岸沿いを走ったりした場合は、できるだけすぐに洗車するときれいな状態を長く保てますよ。

タイヤのチェック

タイヤは、車と直接地面に触れる部分であり大変重要なパーツです。そのため、状態によって走行性能や燃費に大きな影響が生まれます。

チェックするポイントはタイヤ溝の深さと空気圧。タイヤには「スリップサイン」というものがあり、こちらで溝の残りを確認します。溝の残りが1.6mm以下になれば交換の目安です。

また、空気圧も確認しましょう。空気圧は車種によって異なるので、運転席側のドア開口部付近の記載をチェックのうえ、ガソリンスタンドの無料サービスなどで補充しましょう。

いづれのチェックも、1ヵ月に1回程度が理想です。

ワイパーのチェック、交換

降雨時にフロントガラスの雨水を拭き取るワイパー。拭き取り部分のゴムが劣化するとガラスの水分を完全に取り除けなくなり、視界が確保できなくなります。

水分のスジが残ってきれいに拭き取れない、作動時に異音がする、ワイパーゴムが劣化して裂けてしまっている、といった場合は交換のサイン。

これらの症状がでているワイパーゴムは、直ちに交換しましょう。

ヘッドライトのチェック、交換

ヘッドライトも夜間の視界を確保するためになくてはならない装備です。ライトが切れていると、前が見えにくいうえに他の車からも気づかれにくく事故につながります

まず実際に点灯させて電球が切れていないかを確認しましょう。

ヘッドライトが切れている場合は、ボンネットを開けてライト裏側の防水ゴムを外して接続されている端子を外す、という手順で電球を交換します。

ただし、電球にはH4やHB3などの規格があり端子の外し方にはコツが必要です。わからない場合は無理をせず整備工場に依頼しましょう。

ウォッシャー液の補充

フロントガラスの汚れをワイパーで拭き取る際に使用するのが、ウォッシャー液です。ウォッシャー液には汚れを落とすほか、ガラス面とワイパーゴムの摩擦を和らげ傷つきを防止する効果もあります。

カー用品店などでウォッシャー液を購入のうえ、エンジンルームにあるタンクへ定期的に補充していきましょう。

またウォッシャー液には、通常タイプに加え撥水成分入りや寒冷地仕様タイプがありますので、用途によって選ぶと良いでしょう。

エアコンフィルターの交換

エアコンフィルターには、外気に含まれるホコリや花粉を除去する役割があります。

汚れが溜まって劣化するとエアコンの風量が弱まったり、異臭がするようになるので定期的な交換が必要です。

フィルターは1年に1回程度の交換が目安です。しかし、走行距離が長い場合は劣化も早まるため、10,000kmを目処に交換すると良いでしょう。

エアコンフィルターは助手席側にあるグローブボックスの奥にあるので、ボックスを取り外しての交換となります。

エンジンオイルのチェック

エンジンオイルは、エンジン内部を潤滑するとても大切なものです。

オイルが劣化していたり量が減っていたりすると、エンジンが傷んでしまうので、給油時や長距離走行の前に状態をチェックしましょう。

オイルの状態は、エンジンルームにある「オイルレベルゲージ」で確認が可能です。ゲージを引き抜いてウエスで付着したオイルを拭きとり、いったん元の場所に差し込みます。

その後、もう一度引き抜いて、ゲージの目盛でオイルが適正量かどうかをチェックしましょう。また、ウエスに付いたオイルの色が黒ずんでいる場合は、交換時期が迫っている状態です。

業者にお願いしたい車の整備

次に、業者に任せるべき車の整備とはどんなものがあるのでしょうか。主な消耗品について、それぞれ解説します。

エンジンオイルの交換

エンジン内部を潤滑するエンジンオイルは、内部の汚れが蓄積することで劣化していきます。また、車を使っていない時でも成分が酸化し性能が落ちるため、定期的な交換が必要です。

交換の頻度は、走行距離5,000〜10,000kmごとが目安。また、走行していない時でも最低1年に1回は交換しましょう。

費用は使用するエンジンオイルの種類や量によって変動しますが、1Lあたり1,000〜2,000円前後となり、加えて500〜2,000円が工賃としてかかります。

必要なオイル量は、軽自動車であれば3Lほど、普通車になると4Lから大きな車では8L以上必要なケースもあるので、自身の車の必要量を把握しておきましょう。

オイルフィルターの交換

エンジンの内部では、金属部品の摩擦による小さな金属粉や不完全燃焼によるスラッジ(燃えカス)などが発生しており、エンジンオイルによって吸着されます。

このようなオイルの不純物を取り除き、ろ過する役割を持っているのがオイルフィルターです。オイルフィルターの働きによって、きれいな状態に保たれたオイルをエンジン内部に循環させています。

しかし、ろ過によってごみが溜まってくるとフィルターの機能が低下してしまうため、定期的な交換が必要となります。

オイルフィルターの交換は、エンジンオイルの交換2回につき1回が目安。交換にかかる費用は、部品代が1,000〜2,500円前後、工賃として800〜3,000円前後が相場です。

バッテリーの交換

車のエンジンを始動させる際には、大きな電力を必要とします。

また、ライトやカーナビ、コンピュータなど、ほかにもさまざまな電装品があり、それらはバッテリーからの電力供給によって動作しています。そんなバッテリーにも寿命があります。

一般的な平均寿命は約3年ですが、ヘッドライトが暗くなったり、パワーウィンドウの開閉が遅くなったりといった症状が出たらバッテリー交換のサインです。

費用は、部品代として4,000〜40,000円、交換工賃は1,000〜3,500円ほどかかります。

なお、部品代に幅があるのは、アイドリングストップ車やハイブリッド車、電気自動車用などの専用バッテリーは価格が高くなる傾向があるためです。

ブレーキフルードの交換

ブレーキフルードは、ブレーキを作動させるためのオイルです。ブレーキペダルを踏むと、ブレーキフルードに圧力がかかり、配管を通じてブレーキパッドを動かすことで車を制動させています。

ブレーキフルードは吸湿性が高いため、月日の経過につれて、空気中の水分がオイルに吸収されていきます。

すると、オイルの沸点が低くなってしまい、ブレーキの力をうまく伝えることができず制動力が弱くなるため、定期的な交換が必要になるのです。

ブレーキフルードの交換は基本的に、2年に1度の車検時に行います。ただ、長距離を運転する場合は劣化も進むため、早めの交換が望ましいでしょう。

交換にかかる費用は、フルード代込みで5,000〜10,000円前後です。

タイヤのローテーション

車の四隅にあるタイヤは、同じ位置で長く使っていると偏った摩耗をしてしまいます。車は一部のスポーツカーを除いて、基本的に前輪駆動(FF)です。

FF車では駆動輪である前輪が早く摩耗し、駆動しない遊輪も横方向に摩耗していきます

しかし、タイヤの寿命を延ばすためには均等に摩耗させなければならないため、定期的に位置を変えていく必要があるのです。これをローテーションといいます。

タイヤの寿命は走行距離30,000〜40,000km程度であり、ローテーションは5,000〜10,000kmごとが目安。

作業費用は2,000〜3,000円前後で、タイヤのバランス調整が必要な場合は加えて1本あたり別途1,000円前後がかかります。

ブレーキパッドの交換

車のブレーキは、安全な運行に必要不可欠な重要保安部品です。

ブレーキのタイプにはディスク式とドラム式があります。どちらもホイールと一緒に回転している部品に、ディスク式はパッド、ドラム式はシューを押し付けて車を減速・停止させています。

このパッドやシューは、使っていくうちに摩耗するので、定期的な交換が必要です。

通常の乗り方であれば走行距離10,000kmで1mmほど摩耗するで、5mm摩耗した50,000kmが交換の頻度です。ブレーキの状態は、車検や12ヵ月点検などの法定点検で確認しますので、そこが交換のタイミング。

交換の費用は、左右1組の部品代で6,000〜10,000円前後、工賃も6,000〜10,000円ほどとなります。

エアクリーナーの交換

エンジンは、ガソリンを空気と混ぜて燃焼させることで力を得ています。

この空気を取り込む際に、空気中に漂うごみや砂、ホコリなどを吸ってしまうとエンジン内部を傷つけてしまいます。

そのため、エアクリーナーと呼ばれる、空気を浄化するフィルターを取り付け、不純物が取り除かれたきれいな空気をエンジンに送り込んでいるのです。

エアクリーナーは劣化していくと、燃費が悪くなったり加速が鈍くなったりすることがあるため、定期的な交換が必要です。

交換の頻度は走行距離20,000〜30,000kmごとが目安ですが、一般的には車検と同時に行います。交換の費用は、部品代が2,000〜5,000円前後、工賃が1,000〜3,000円ほどかかります。

これらの部品は保証対象外

上記で紹介した部品は「消耗品」であるため、メーカー保証が残っている場合でも基本的には保証対象外となります。

ただし、車の初期不良によってこれらの消耗品の量が減ったり、劣化したりした場合は、保証されることもあるので、販売店に相談すると良いでしょう。

車の整備を依頼できる業者別の特徴と費用

では、愛車の整備を依頼する業者とは、どのようなところがあるのでしょうか。それぞれの業者の特徴や、整備にかかる費用を解説します。

自動車整備工場の特徴

車の整備先として、地域の自動車整備工場があります。自動車整備工場は各地の運輸局から認証を受けており、整備資格を持ったスタッフが在籍しています。

中には、長年さまざまな車をみてきたベテランの整備士もおり、ディーラーに劣らず、技術力や応用力も高い傾向にあります。

また、地域に密着して経営していることもあり、親身になって相談に乗ってくれるでしょう。

整備工場では、修理費用がディーラーより低めに設定されている傾向にあります。また、パーツも純正と互換性のあるものを使うなど、整備費が安く押さえられることも特徴です。

整備工場にもよりますが、ディーラーでは部品交換となる修理でも場合によっては修繕対応してもらえるなど、融通もきくことが多いです。

ディーラーの特徴

ディーラーは、メーカー指定の試験や訓練によって整備士の技術力が一定に保たれており、部品も純正パーツを使用します。そのため、安心して修理を任せることができます。

接客についても、メーカー指定のシステムによって管理されており、データに基づいた交換部品の提案などコンピュータを使った最新の整備を受けることができます。

しかし、ディーラーには転勤があり、気に入っていたエンジニアがいなくなってしまう可能性もあります。

また、ディーラーは、ショールームや工場といった施設の維持管理費やスタッフの人件費がかさむため、修理費用についても高くなる傾向にあります。

カー用品店の特徴

カー用品店は、比較的軽い修理や整備を任せるには便利な業者です。整備工場と同じく、低価格での修理が受けられます。

使用するパーツも互換性がある他社のものを選ぶことができ、大量仕入れができる量販店であればその価格も安くなる傾向にあります。

一方で、カー用品店は整備待合スペースを持っていないことが多く質の高い応対を希望する人や待ち時間をゆったりと過ごしたい人には不向きです。

さらに、エンジンやミッションなどの基幹部品については対応できないことが多く、重要な整備は依頼できない場合があります。

信頼できる業者の選び方

最後に、どのように信頼できる業者を選べば良いのかを確認していきましょう。

整備の必要性について事前説明がある

まずは、整備に取りかかる前の事前説明に注目しましょう。その整備の必要性について、専門用語を使うことなくしっかりとした説明があれば、信頼できるといえるでしょう。

見積書の内容がわかりやすい

提示された見積書も、誰が見てもわかりやすい内容であるかどうかを確認しましょう。工程や使用部品、トータルの費用などが不透明ではなく、明確に記載されていれば安心です。

質問に対してしっかりと答えてくれる

また、不明な点は遠慮なく質問をしてみましょう。あいまいな回答だったり、専門用語で濁していたりする場合は、後でトラブルとなることもあります。

その場合は、その業者に任せるかどうかを今一度考え直してみる必要があるでしょう。

整備をしない場合のリスクや、基本的な質問に対しても、丁寧に説明やアドバイスをしてくれる業者は信頼できます

最終的な意思決定を委ねてくれる

強引に整備を勧めるのではなく、整備をするかどうかという最終的な意思決定について、客である自分の想いを尊重してくれるかどうかも重要な要素です。

整備業者を選ぶポイントは、顧客の立場に立った接客と確かな技術、そして納得できる料金、これらのバランスが大切です。

まとめ

今回は、自分でできる車の整備や業者に任せるべきケース、そして業者の選定ポイントについて解説しました。自分で行うか、どんな業者に任せるかに関わらず日常的な整備を行うことで車を長持ちさせることができます。

また、車の整備業者には、ディーラーや自動車整備工場、カー用品店があり、予算や求めるサービスなど自身が何を重視するかによって選び方は変わります。

選ぶ際の大切なポイントは、接客や技術の質と料金のバランスです。ぜひこの記事を参考に、自分にとって最適な整備業者を選択して、素敵なカーライフをお過ごしください。

※2021年10月14日現在の情報に基づいた内容です。

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