今やカーナビゲーションと同じように装着が必須になっているETC。
ディーラーや販売店でオプションとして取り付けるケースもありますが、WEBやカー用品店などで車載器を購入して自分で取り付ける場合もあるでしょう。
しかし、自分でETC車載器の取り付けができても、登録店でセットアップをしなければ利用できません。今回は、ETCの取り付け方法やセットアップ、ETCの種類などについて解説します。
ETCを登録店に持っていかなければならない理由
ETCの車載器は、自分で取り付けることができます。しかし、ETCの不正利用を防ぐためのセットアップは、技術や信頼性などの審査を通過した登録店でなければ実施できません。
ETCを利用するためには、ETC車載器の取り付け、セットアップ、ETCカードの3点が必要となります。
ETC車載器の取り付けとETCカードの用意は自分でできますが、セットアップは自分でできないため、最終的に登録店へ持ち込まなければならないのです。
では、ETC車載器の取り付けを自分で行う方法やセットアップの依頼方法などについてくわしく解説します。
ETC車載器の取り付け手順
ETC車載器を取り付ける手順は少し複雑です。専門知識や工具が必要な場合もあります。
そのため、作業に自信がない場合は、ディーラーや整備工場、カー用品店などに依頼して取り付けてもらうと良いでしょう。
ここからは、自分でETC車載器を取り付ける方法について解説します。
手順1:ヒューズボックスの位置を確認し電源を取り出す
運転席または助手席の足元にあるヒューズボックスの位置を確認して、電源を取り出します。
ETC車載器の多くは、ACC電源、常時電源、アースといった3本のケーブルがあり、取り出す電源はACC電源と常時電源の2箇所です
手順2:アンテナの貼り付けと配線をする
電源の確保ができたらアンテナの貼り付けと配線をします。アンテナと本体が別のETC車載器(3ピース)の場合、フロントガラスの上部に貼り付けるのが一般的です。
ただし、アンテナの貼り付けは保安基準に従って取り付けなければなりません。フロントガラス上部にアンテナを貼り付ける場合は、フロントガラスの縦の長さの20%以内に取り付けなければ、保安基準に適合せず違法改造車両扱いになってしまうため注意が必要です。
アンテナを取り付ける位置の目安は、バックミラーのすぐ横あたりがちょうど良いでしょう。
アンテナの配線は内装パネルの中を通すことが多いですが、内張りの取り外しは大掛かりな作業になります。作業に自信がない場合は、業者に依頼した方が良いでしょう。
手順3:本体に電源とアンテナの配線を接続する
アンテナの貼り付けと配線が終わったら、本体にアンテナと電源のコードを接続します。ヒューズから取り出した電源にはACC電源と常時電源があるため、間違いがないよう接続しましょう。
手順4:ボディアースをとる
ETC車載器の配線の一つであるクワ型の端子がアースです。アースのコードを車体の金属部分に固定させます。
手順5:通電の確認
配線が完了したら通電させて動作確認をします。車のキーをACCの位置(スイッチタイプの場合はブレーキを踏まずにスタートボタンを1回押す)にして車載器に電源が入ることを確かめます。
問題なく電源が入り、動作確認ができたらETC車載器本体を車内に固定して作業完了です。
ここまでETC車載器の取り付け方法を説明しましたが、電源の取り方や配線方法は専門的な知識や技術が必要になります。作業に不安がある場合は、ディーラーや自動車整備工場、カー用品店などに依頼して取り付けてもらうと良いでしょう。
セットアップは登録店でしかできない
ETC車載器を自分で取り付けられても、セットアップは登録店でなければ行うことができません。持ち込みによるセットアップが可能かどうかは登録店によって異なります。
そのため、事前に持ち込みでのセットアップができるかを登録店に確認しましょう。
ETCのセットアップが登録店に限られているのは、ETCの不正利用を防止するための暗号化を実施するからです。
セットアップは、車種区分やナンバーなど、車両情報を暗号化して書き込む作業であるため、登録店でなければ行えないのです。
ETCセットアップの相場
ETC車載器を自分で取り付け、持ち込みによるセットアップを依頼する場合の相場は業者によっても異なりますが、おおよそ1万円前後~になることが多いです。
セットアップにかかる時間は混雑状況や車種によって前後しますが、30分前後~が目安となります。
ETCの取り付けとセットアップを業者に依頼する場合
自分でETC車載器を取り付けた場合であっても、セットアップのために登録店へ持ち込む必要があるため、車載器の取り付けとセットアップを一緒に業者に依頼してしまう方が良いと考えることも多いのではないでしょうか。
前述したようにETC車載器の取り付けには専門的な知識や技術が必要となるため、業者に依頼した方が時間と手間が省略できるというのも事実です。
また、業者によっては、ETC本体・取り付け・セットアップをセットにしてお得な価格設定をしているところもあります。
ETCの機種によって本体価格は異なりますが、手頃なETCであれば本体代・取り付け・セットアップ込みで1万5,000円前後~というところもあるようです。
もし、ETC本体をWEBやカー用品店などで1万円前後で購入し、持ち込みのセットアップで1万円前後の費用がかかるとすると、合計2万円ほどかかってしまいます。
結果として、自分でETC車載器を取り付けてセットアップを業者に依頼する方が高くなってしまうこともあるため、すべてを業者に任せた方が安上がりになることもあるのです。
ETCについて
そもそもETCとは、どういった意味で、どのような仕組みなのでしょうか。また、ETC車載器の種類として分類される2ピースと3ピースの違いはどこにあるのか、ETCとETC2.0の違いは何なのかを解説します。
ETCとは
ETCとは、「Electronic Toll Collection System」の略で「電子料金収受システム」という意味。高速道路などの料金所のゲートと、車に搭載された車載器が無線で通信を行い、料金の清算を行うシステムです。
このシステムにより料金所で減速(20km/h以下)はするものの、一時停止する必要がなくなり、料金所の渋滞が緩和されるだけでなく、無人で料金精算を行うことも可能となりました。
また、ETCには割引制度が適用されたり、左ハンドル車でもスムーズに通過できたり、マイレージサービスを利用できたり、ストップ・アンド・ゴーがなくなることから燃料代の節約につながったりします。
ETC2.0とは
ETC2.0とは、高速道路と車がリアルタイムに情報連携して、渋滞時の迂回ルートの提供や災害時に適切な誘導をしてくれるシステムです
つまり、従来のETCは料金収受のシステムのみでしたが、ETC2.0では料金の清算だけでなく情報提供までしてくれるという点に大きな違いがあります。
さらにETC2.0では、全国の高速道路約1,700ヶ所に設置された通信アンテナITSスポット、ETC2.0対応車載器、カーナビが高速大容量のDSRC通信方式によって双方向通信することで、最大1,000km分の道路交通情報や前方状況の静止画などの情報提供を受けることもできるのです。
従来のETCから大幅にバージョンアップしたETCがETC2.0ということになります。
ETCの種類
ETCの種類は、主に2ピースタイプと3ピースタイプの2つです。ビルトインタイプというものもありますが、2ピースタイプと3ピースのいずれかに該当するため、ここでは2ピースタイプと3ピースタイプについて解説します。
2ピースタイプのETC
2ピースタイプのETCとは、ETCカードとアンテナ一体型の車載器の2つで構成されるタイプです。2ピースタイプの場合は、電波の受信ができる位置にETC車載器を設置しなければなりません。
そのため、ほとんどの場合はダッシュボード上に設置されます。スッキリとした見た目にこだわっていたり、ETCカードの盗難が心配である場合にはあまりおすすめできません。
しかし、ETCカードを頻繁に入れ替えることが多い営業車やETC車載器にコストをかけたくない場合にはおすすめです。
3ピースタイプのETC
3ピースのETCは、ETCカード、アンテナ、車載器の3つで構成されるタイプです。3ピースタイプの場合、アンテナとETC車載器が分離しています。
そのため、ETC車載器をダッシュボードの下側やセンターコンソール付近などの目立たない場所に設置することが可能です。よって、車内の景観を損ねることがありません。
3ピースタイプは、見た目を気にしていたりETCカードの盗難が心配である場合におすすめのタイプです。ETC車載器の料金は、2ピースタイプよりも3ピースタイプの方が高くなります。
まとめ
ETCは、車載器の取り付けとセットアップを実施してからでなければ利用できないシステムのカー用品です。ETC車載器の取り付けは自分でできても、セットアップは登録店でなければ実施できません。
また、少しでも出費を抑えようとして自分でETC車載器を取り付けても、セットアップ費用が高くついたり、車載器の取り付けが難しかったりすることがあります。
取り付け作業に自信がない場合には、ETC車載器の購入・取り付け・セットアップを業者に任せた方が良いでしょう。
ETCを自分で取り付ける場合には、取り付け作業の手間やセットアップ費用と業者のセット料金を比較してから、実施することをおすすめします。
※2021年11月現在の情報をもとに掲載しています。