エンジンオイルの交換は、車の性能をしっかりと発揮するために必要なメンテナンスです。
定期的にエンジンオイルを交換しなければ、エンジンの性能が落ちてしまったり、故障してしまったりすることがあります。
そんなエンジンオイルの交換時期は、エンジンの種類や車の使い方によって違いがあります。
今回は、エンジンオイルを交換する時期の目安、エンジンの種類や車の使い方によるオイル交換のベストタイミングがいつなのかを解説します。
目次
エンジンオイルの交換時期の目安
エンジンオイルは、走行距離または一定の期間ごとに交換する必要があります。一般的に3,000~5,000kmまたは3~6ヶ月ごとに交換が必要といわれていますが、実はエンジンの種類によって異なるのです。
エンジンは大きく分けると、過給機なしの自然吸気エンジンと、ターボエンジンやスーパーチャージャーなどといった過給機付きのエンジンに分類されます。
では、それぞれのエンジンオイルの交換時期の目安はいつなのでしょうか。
ガソリン車の場合
普通車の自然吸気(過給吸なし)エンジンは、7,500~15,000kmまたは6ヶ月~1年ごとの交換を推奨しているケースが多いです。
軽自動車の自然吸気エンジンは、小さいエンジンで高負荷がかかるため、5,000~10,000kmまたは3~6ヶ月でオイル交換をした方が良いとされています。
車種や車の使い方によってオイルの交換時期が異なる場合があるため、くわしい時期は車の取扱説明書を見て確認しておきましょう。
近年は、廃油を少なくするという観点や車の性能・エンジンオイルの性能向上にともない、エンジンオイルの交換サイクルが伸びている傾向がみられます。
ターボ車の場合
ダウンサイジングターボやスーパーチャージャーなどの過給機を装着している普通車は、5,000~10,000kmまたは3~6ヶ月ごとの交換を推奨している場合が多いです。
軽自動車のターボエンジン車は、2,500~5,000kmまたは3~6ヶ月ごとにオイル交換をした方が良いとされています。
過給機付きのエンジンは、自然吸気エンジンよりも負荷がかかるため、エンジンオイルを交換するサイクルが短くなっています。
ただし、車種や車の使い方によってオイル交換の時期が異なるため、くわしくは取扱説明書を見て確認しておきましょう。
エンジンオイルの交換頻度が高いと悪影響があるのか?
エンジンオイルの交換頻度が高くても、悪影響を及ぼすことはないでしょう。車を動かせばエンジンオイルは汚れます。
また、車の使い方によってエンジンオイルの汚れ具合や性能劣化の具合が異なるため、エンジンオイルを点検した時に真っ黒に汚れていた場合は、時期が早めであってもオイル交換をした方が良いでしょう。
エンジンオイルの交換時期を見極める時に大切なのは、オイルの汚れ具合からエンジンオイルの性能を維持しているか確認することなのです。
エンジンオイルの交換時期に影響するシビアコンディション
エンジンオイルの交換時期は、走行距離や期間だけではなく、車の使い方によって大きく異なります。
これは、同じ車であっても平坦な道をメインに走行しているのか、舗装されていない道をメイン走行しているのか、などといった使用環境によってエンジンにかかる負荷が違うためです。
ここでは、エンジンオイルに影響する「シビアコンディション」について解説します。
シビアコンディションとは
シビアコンディションとは、車が過酷な状況で使用されていることです。
過酷な状況とは、年間平均走行距離である1年20,000km以上走行しているケース(過走行)、短距離走行をメインとしているケース、アップダウンが激しい道を頻繁に走行しているケース、などが挙げられます。
このように過酷な状況で車を使用しているとエンジンに大きな負荷がかかり、オイルの汚れや劣化も早まるのです。
そのため、シビアコンディションに該当する場合には、早めにエンジンオイルの点検・交換が必要となります。
シビアコンディションの判断基準
シビアコンディションであるかどうかは、どのように判断すれば良いのでしょうか。ここからは、一般的にシビアコンディションといわれる状況を6つ解説します。
自分の車が以下のような過酷な使用状況に当てはまる場合には、早めにエンジンオイルの点検をして、汚れがひどい場合にはすぐにオイル交換をするのが良いでしょう。
走行距離の30%以上を悪路走行が占める
走行距離の30%以上が悪路走行を占める場合は、シビアコンディションに当てはまります。悪路とは、舗装されていない道、雪道、砂利道などのことです。
道なき道を走行したり、キャンプやアウトドアで悪路を走行した場合には、早めにエンジンオイルの点検をして汚れ具合を確認しましょう。
過走行をしている
過走行はシビアコンディションに当てはまります。一般的に過走行といわれる距離の目安は「1年に20,000km以上」です。
仕事で車を使っていたり、長距離走行が多い場合には過走行になりやすいため、早めのオイル点検や交換が必要になります。
アップダウンの激しい道路の走行が多い
アップダウンが激しい道や山道の走行が多い場合にも、シビアコンディションと判断されます。
上り坂ではエンジンの回転を上げてパワーを出し、下り坂ではエンジンブレーキを使うことでエンジンが高回転になることが多くなります。
そのため、エンジンの負荷が大きくなり、エンジンオイルの劣化が早まることからシビアコンディションといわれるのです。
短距離運転を繰り返している
短距離運転を繰り返すこともシビアコンディションになります。一般的に短距離走行とは、1回の運転の走行距離が10km未満であることです。
買い物など近場での運転がメインの場合には1回の走行距離が10km未満になりやすいため、シビアコンディションの可能性が高いといえるでしょう。
アイドリング時間が長い
累積アイドリング時間が長い場合もシビアコンディションです。
一般的に1日の累積アイドリング時間が2時間以上の場合に該当し、たとえば、駐車場などで仮眠をするためにアイドリング状態で長時間停まっているとシビアコンディションになります。
アイドリング時間が長い場合にも、早めのオイル点検や交換をしましょう。
低速域で走行する頻度が高い(ガソリン車の場合)
頻繁に低速走行をする場合もシビアコンディションです。おおよその目安は、1日の運転のうち、10~15km/hの速度で30km程度の距離を走行した場合、低速域走行が多い状態となります。
たとえば、休日の長距離渋滞に巻き込まれた場合がシビアコンディションになるということです。
経過日数によるエンジンオイル交換の目安
エンジンオイルの交換は、前回の交換からの経過日数も目安となります。
経過日数によるオイル交換の時期は、一般的に自然吸気(過給機なし)エンジンの場合に6ヶ月~1年、ターボやスーパーチャージャーなどの過給機付きエンジンの場合に3~6ヶ月とされています。
エンジンオイルを交換する時期は、走行距離または経過日数の両方に注目し、いずれか早い方で交換しましょう。
めったに乗らない車の場合
週末だけの運転やちょい乗りなど、乗る頻度が低い車であってもエンジンオイルの交換は取扱説明書に従って定期的に行うことをおすすめします。
エンジンオイルは、走行していなくても酸化するため、時間とともに劣化していきます。また、短い距離の運転を繰り返すと、オイルが暖まる前にエンジンが停止してしまうため、シビアコンディションとなります。
そのため、短い距離だけの走行や1ヶ月のうちに数回しか車を動かさない場合であっても、エンジンオイルの交換はした方が良いのです。
あまり乗っていなくてもオイル交換が必要な理由
乗る頻度が少なく走行距離が短い車であっても、エンジンオイルの交換が必要なのはなぜなのでしょうか。それは、エンジンオイルは、経年劣化する消耗品だからです。
また、車に乗る頻度が少ないと、エンジンオイルの作用が正しく発揮されません。エンジンオイルには、エンジン内部の「潤滑・密封・冷却・洗浄・防錆」といった5つの作用があります。
エンジンを動かさない時間が長いほどエンジン内部にオイルが循環せず、潤滑・密封・防錆作用が正しく機能しなくなるため、エンジン始動時の負荷が大きくなります。
よって、あまり乗らない車であってもエンジンオイルを定期的に交換しなければならないのです。
メーカー標準交換時期との違い
WEBなどでいわれているエンジンオイル交換時期とメーカー標準交換時期に違いがあるのは、車の使用状況を加味しているかどうかという点にあります。
たとえば、週に1回、短距離・短時間走行の場合は、一般的にシビアコンディションの状態です。しかし、メーカー標準の交換時期に合わせてしまうと、エンジン性能の維持ができず、故障してしまう可能性があります。
シビアコンディションの場合には、早めにエンジンオイルを交換したり、高性能オイルを入れて潤滑性能を維持しておくことが必要です。それぞれの車の使い方に合ったサイクルでエンジンオイルを交換しましょう。
エンジンオイルを交換しないリスク
エンジンオイルを交換しないとさまざまなリスクが発生します。エンジンオイルには、潤滑や密封、エンジン内部の洗浄や防錆などの作用があります。
エンジンオイルを交換しないと、これらの機能が発揮されなくなってしまうのです。
エンジンオイルの効果が発揮されないと燃費の低下や異音や騒音が発生しやすくなり、さらに最悪の場合、エンジンの故障すら招いてしまうのです。
ここからは、エンジンオイルを交換しないことによって発生するリスクについて解説します。
燃費の低下
エンジンオイルを交換しないとエンジン内部の潤滑がスムーズに行われなくなり、エンジン内部の摩擦抵抗が大きくなるため、燃費が低下します。
これは、エンジン車のみならず、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーでも同じです。ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーは、エンジンの停止時間が長いことからエンジンオイルの役割がさらに重要となります。
エンジンの始動と停止が多い車ほど、エンジンオイルの管理は適切に行いましょう。
エンジンの異音や騒音
エンジンオイルは、エンジンの潤滑や密封作用があります。エンジン内部の潤滑ができなくなると金属同士の摩擦が生まれ、騒音や振動が多く発生します。
また、しっかりと密封されていない場合、エンジンの爆発現象が正常に行われず、エンジンから異音がすることがあるのです。
エンジンの騒音や異音、振動に気がついた場合には、前回のエンジンオイルの交換時期やエンジンオイルの状態を確認しましょう。
確認した後に必要があれば、エンジンオイルの交換をしてください。エンジンオイルを交換するだけでも騒音や振動が低減され、運転が快適になるでしょう。
エンジン本体の不具合
エンジンオイルには、潤滑・密封・冷却・洗浄・防錆の作用があります。エンジンオイルを交換しないとこれらの作用が発揮されず、エンジンが不具合を起こし、最終的にエンジンの停止や故障を引き起こしてしまうこともあります。
エンジンオイルは、エンジンの血液ともいわれるほど重要な部品です。エンジンが焼き付いたり動かなくなったりしないよう、定期的にエンジンオイルを交換しましょう。
もし、エンジンが故障して交換することになった場合、数十万円ほどの費用がかかります。一方、エンジンオイルの交換のみであれば1回数千~1万円前後で済むことがほとんどです。
エンジンの故障によって多額の費用がかかるよりも、エンジンオイル交換に費用をかけ、長く乗り続けられる方が良いでしょう。
エンジンオイルを注ぎ足すメリットとデメリット
エンジンオイルは、通常使用をしていても少しずつ漏れたり燃焼したりするため、自然と減っていきます。では、オイルの点検をした時にオイルがあまりにも減っていた場合、注ぎ足しても良いのでしょうか?
実はエンジンオイルの注ぎ足しは推奨できません。しかし、すぐにオイル交換や車の点検ができない場合には、応急処置として注ぎ足した方が良い場合もあります。
ここからは、エンジンオイルを注ぎ足すメリットとデメリットを解説します。
メリット
エンジンオイルを注ぎ足すメリットは、エンジンの焼き付きや故障を防止できることです。エンジンオイルが不足していると、エンジンの潤滑や冷却などがされず、エンジンが焼き付いて故障してしまいます。
エンジンオイルが減っていることに気がつき、すぐに交換や車の点検ができない場合には、現在入っているものとと同等のオイルを注ぎ足し、エンジンの故障を防ぎましょう。
ただし、あくまでもエンジンオイルの注ぎ足しは応急処置であるため、早めにオイル交換と車の点検をしてください。
デメリット
エンジンオイルを注ぎ足すデメリットは、種類が異なるオイルが混ざってしまうため、エンジンオイルの作用が正しく発揮されず、エンジン本来の性能を発揮できないことです。
従来入っていたエンジンオイルと新しいエンジンオイルが混ざってしまうと、エンジンへの負荷が大きくなる可能性があります。
エンジンの負荷が大きくなれば、パーツの損傷や燃費の悪化、異音や故障を招いてしまうこともあるでしょう。そのため、エンジンオイルは注ぎ足しではなく交換をするようにしてください。
また、頻繁にオイルが減ってしまうようであれば、エンジンに異常が発生していることがほとんどであるため、車の点検をしましょう。
まとめ
今回は、エンジンオイルの交換目安やシビアコンディション、オイル交換をしないことによるリスクや注ぎ足しのメリット・デメリットについて解説しました。
エンジンオイルは、定期的に交換しなければならない消耗品です。オイル交換をしないと、異音や振動が発生したり、エンジンの焼き付きなどの不具合が発生したりします。
また、エンジンオイルの交換目安は、エンジンの種類や車の使用環境で異なるため、自分の車の使い方が通常使用なのかシビアコンディションなのかを知り、最適なタイミングでオイル交換をして、車を良好な状態に維持し続けましょう。