「交換時期といわれたけど、オイルフィルターって一体どんなものなの?」
「オイルフィルターの役割や交換頻度を知りたい…」
そんな悩みを抱えていませんか。たしかに、オイルフィルターはエンジンの隠れた箇所に取り付けられていて普段目にすることがないので、どんな形状でどんな役割があるのか、ピンと来ませんよね。
そこでこの記事では、オイルフィルターを交換する必要性やその頻度、そして交換する手順と使用する工具について、くわしく解説します。
目次
オイルフィルターとは
オイルフィルターとは、エンジンオイルに含まれる不純物(スラッジ)を取り除き、きれいに保つための部品です。
エンジンオイルは車のエンジン内部で血液のように循環しており、潤滑作用、冷却作用、密封作用、清浄作用、防錆作用という5つの役割を果たしています。
また、エンジンオイルは使用しているうちに酸化し、エンジン内で発生した不純物がオイルに溜まっていきます。
この不純物をそのままにしているとエンジンの故障の原因となるため、取り除かなくてはなりません。
そこで、オイルフィルターでオイルをろ過し、きれいな状態を保っているのです。
オイルフィルターの仕組み
オイルフィルターには、ヒダ状に成形されたフィルターエレメント(ろ紙)が内蔵されています。汚れたオイルがそのろ紙を通ると不純物が取り除かれ、きれいになったオイルがエンジンに戻っていく、という仕組みです。
走行を重ねていくとオイルフィルターに不純物が蓄積されていき、ろ紙が汚れて詰まりの原因になります。
汚れが詰まったフィルターはオイルをきれいにする能力が低下するため、そのまま使用しているとエンジンには汚いオイルが循環することになってしまうのです。
オイルフィルターを交換する必要性
オイルフィルターは、定期的な交換が必要となる部品です。なぜなら、オイルフィルターのろ紙は不純物が溜まっていくと目詰まりを起こしますが、その汚れを取り除いて元に戻すことができないためです。
そこで、劣化したフィルターごと新品に交換して、ろ過の機能を保ちます。長い間交換せず汚れが詰まったオイルフィルターでは、オイルに含まれた不純物を取り除くことができません。
そして、不純物が含まれたままのオイルはエンジンを摩耗させてしまいます。この摩耗を防ぐために、オイルフィルターを定期的に交換する必要があるのです。
なお、オイルフィルターの劣化状態は外からでは判断できず、ランプなどで知らせる機能もありません。そのため、メンテナンス時期は交換した日付や走行距離をステッカーなどに記録して管理します。
オイルフィルターの交換頻度
オイルフィルターの交換頻度は、「エンジンオイルの交換2回につき1回」が基本です。
一般的な使用状況では、オイル交換1回分の期間ではそこまで汚れが蓄積されず、目詰まりを起こすことはないとされています。したがって、2回に1回のペースで問題ありません。
なお、エンジンオイルの交換時期は車種によって異なりますが、ガソリン車では走行距離10,000~15,000kmごとに1回と設定されています。
つまりこの場合、オイルフィルターは走行距離20,000~30,000km程度まで使用できるということになります。
オイルフィルターの交換頻度を増やした方が良いケース
シビアコンディションと呼ばれる過酷な条件下で車を使用するケースでは、エンジンオイルを短いサイクルで交換しますが、それにともなってオイルフィルターの交換頻度も増やす必要があります。
なお、シビアコンディションとは以下のような条件を指します。
1)未舗装路や雪道など、悪路走行が多い
2)年間の走行距離が多い(20,000km以上)
3)山道など、上り下りが頻繁にあるような走行が多い
4)短距離の繰り返し走行が多い(1回の走行距離が8km以下)
5)低速走行(30km/h未満)が多い
6)エンジンをかけたまま停車させた状態(アイドリング)が多い
オイルフィルターの交換を怠るとどうなる?
オイルフィルターの交換を怠るとエンジンオイルの機能が低下し、エンジンが故障したり、焼き付いたりしてしまいます。
長期間、交換されずに使い続けられたオイルフィルターは、汚れが溜まってろ紙が目詰まりを起こし、オイルをきれいにする機能が低下します。
汚いままのエンジンオイルは、潤滑作用、冷却作用、密封作用、清浄作用、防錆作用という5つの機能が損なわれるため、エンジンに大きな負担をかけてしまうのです。
たとえば、エンジンオイルの働きの1つである潤滑作用は、金属同士が直接触れ合わないように油膜を形成し、部品の表面を滑らかにするものです。
オイルフィルターが目詰まりを起こして潤滑作用が損なわれると、金属の間の油膜が無くなり、摩擦が大きくなります。
最悪の場合、金属の部品同士が癒着してエンジンが焼き付き、走行不能になってしまいます。この場合、エンジン本体の交換が必要となるため多額の修理代が発生します。
エンジンの寿命を延ばして車を長く使うためにも、オイルフィルターは定期的な交換が必要です。
オイルフィルターの交換に必要な工具・交換部品
工具
・ジャッキ
・リジッドラック
・オイルフィルターレンチ
・メガネレンチ
・オイルドレンワッシャー
・パーツクリーナー
・廃油処理パック(オイルチェンジャーなど)
交換部品
・新しいオイルフィルター
・交換用エンジンオイル
ジャッキ
古いオイルは下から抜き取るので、作業スペースを確保するために車体を浮かせるジャッキが必要です。トランクに車載されるジャッキは電車のパンタグラフのような形をしており、小さな力でも車体を持ち上げられます。
リジッドラック
ジャッキは小さな力で車体を持ち上げられますが、そのままでは不安定で大変危険です。そこで、浮かせた車体に2本のリジッドラックを噛ませて安定させます。
リジッドラックには3本足と4本足の2種類があり、3本足の場合はお互いの向きを変えて安定させます。
オイルフィルターレンチ
オイルフィルターレンチは、オイルフィルターを脱着する専用の工具です。カップ型、プライヤー型、そしてチェーン型などの種類があり、フィルターを安全に取り外すことができます。ご自身の車に合ったものを選びましょう。
メガネレンチ
メガネレンチは、ボルトやナットを締め付けたり緩めたりする道具です。持ち手の両側にリング状の頭部があるため、その形状からメガネレンチと呼ばれます。
メガネレンチの口は12角で、持ち手が曲がったオフセットタイプやストレートタイプなどがあります。
オイルドレンワッシャー
ドレンワッシャーとは、ドレンボルトとオイルパンの間にあるリング状の部品です。柔らかな金属でできており、ドレンボルトを締め付ける際に潰れることによってオイル漏れを防ぐパーツです。
そのため再利用はできず、オイル交換の度に新品と交換する必要があります。
パーツクリーナー
パーツクリーナーは、油汚れを洗浄するアルコールが主原料のケミカルです。スプレー缶として売られており、油汚れに吹きかけてウエスで拭き取ります。
揮発性が高くすぐ乾くという特性がありますが、火の気には十分な注意が必要です。
廃油処理パック(オイルチェンジャーなど)
廃油処理パックは、古いエンジンオイルを一般ごみとして処理するためのものです。パックには凝固剤や吸収剤が入っており、廃オイルを固めてくれます。
廃オイルはそのまま廃棄してはいけませんが、固めたオイルであれば燃えるゴミとして処分することができます。
新しいオイルフィルター
交換用オイルフィルターは、純正品のほかにもさまざまな種類が市場に流通しています。品質が良く安心感があるのは、やはりメーカー純正品でしょう。
社外品も安いものから高価なものまで多岐にわたるので、迷ったら店員に相談すると良いでしょう。
交換用エンジンオイル
交換用のエンジンオイルは、成分が異なる「ベースオイル」や使用する環境によって使い分ける「粘度」などで種類が分かれます。
安心なのは開発時にも使われるメーカー指定オイルですが、こちらも迷ったら店員に相談すると良いでしょう。
オイルフィルターの交換方法
ここからは、オイルフィルターの交換手順を解説します。交換作業は、エンジンオイルを抜いてからフィルターを換え、オイルを充填するという手順で行います。
なお、交換作業は車を舗装された水平かつ安全な場所に移動させてから行いましょう。
エンジンオイルを抜く
1)車体下側のジャッキアップポイントにジャッキを当て、車体を上げる。
2)リジッドラック(馬ジャッキ)を噛ませて、車体を安定させる。
3)エンジン下部にオイルの受け皿を設置する。
4)メガネレンチでエンジン下部のドレンボルトを外す。
5)受け皿に古いオイルが排出されるので、完全に抜け切るのを待つ。
6)ドレンボルトのワッシャーを新品に替え、締め付ける。
オイルフィルタの交換
1)エンジン下部にオイルの受け皿を設置する。
2)専用のレンチを使って、古いオイルフィルターを取り外す。
3)フィルターの口を下に向け、オイルを受け皿に流す。
4)オイルフィルターの取り付け面を、ウエスで清掃する。
5)新しいフィルターのパッキン部分に、オイルを軽く塗る。
6)フィルターを取り付け、パッキン着座後3/4回転を目安に締め付ける。
エンジンオイルの注入
1)ジャッキを下ろして、車体を水平に戻す。
2)ボンネットを開け、オイルフィラーキャップを取り外す。
3)注入口から、適正量の新しいオイルを注ぐ。
4)オイルレベルゲージを抜き取って、付着したオイルを拭き取る。
5)再びオイルレベルゲージを抜き差しして、オイル量を確認する。
6)オイルレベルゲージを戻し、オイルフィラーキャップを締める。
まとめ
オイルフィルターは、エンジンオイルの性能を維持する重要なパーツです。
交換を怠るとエンジンの摩耗を早め、最悪の場合エンジンが焼き付いてしまうため、オイル交換2回につき1回の頻度で定期的に換えましょう。
交換作業は、車をジャッキアップしてオイルを抜き、フィルターを換えた後にオイルを充填するという手順です。
自分で作業する際は、車を安全な場所に移動させ、必要な工具を揃えてから行いましょう。また、作業に少しでも不安がある場合は無理をせず、専門店に任せると良いでしょう。