「ワイパーゴムが劣化したので、交換しないとな…」
「自分で交換したいけど、どうやるんだろ」
「業者が安心。でも、どこの業者にお願いすればいいの?」
雨天時の視界を確保するワイパーは、車にとって欠かせない重要な保安部品です。
組み立て構造は比較的シンプルなので、自分での交換がお得に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ワイパーゴムやワイパー本体の種類やその交換手順、そして交換費用や依頼先の業者についてくわしく解説します。
目次
ワイパーゴムの交換手順
最初にワイパーゴムの交換方法について、ステップごとに解説します。
ステップ1:使用中ワイパーのゴムを取り外す
最初に使用中のワイパー本体に付いているゴムを取り外します。ゴムの先端にワイパー本体のツメに引っかかっているロック穴があるので、そちら側からゴムを強めに引き抜いて外しましょう。
長期間使用して劣化したゴムは硬くなっていることもあるため、その場合はゴムの先端をペンチなどで挟んで引き抜くと良いでしょう。
ステップ2:新しいゴムを取り付ける
次に、古いゴムを抜いた側から、新しいゴムをツメに沿って差し込んでいきましょう。ポイントは、ロック穴がない方からゴムを入れていくことです。
すべてのツメにゴムが入ったら、最後のツメをロック穴に固定しましょう。汎用品の場合は、ブレードからはみ出た部分をカットして長さを調節します。
また、金属のレールが付いていない場合は、古いゴムから付け替えましょう。
ステップ3:アームを戻し動作確認をする
ワイパー本体に新しいゴムを取り付けたら、アームを元の位置に戻します。
この時、ゴムのロック穴にきちんとツメが入っているかを確認します。ワイパーを作動させた際にゴムが外れてしまうトラブルが起きないように注意しましょう。
ワイパー本体をガラスに寝かせ、ワイパーの動作確認をしたら作業完了です。
ワイパーゴムの種類と特徴
ワイパーのゴムには種類があり、それぞれ異なる性能を持っています。こちらでは、次の4つのタイプについて紹介していきます。
1)スタンダードタイプ
2)グラファイトタイプ
3)はっ水タイプ
4)雪用タイプ
スタンダードタイプ
スタンダードタイプとは、特殊な加工が施されていない一般的なワイパーゴムのことです。
ノーマルタイプとも呼ばれており、製品には特に記載がないことが多いため何も表記がなければこのタイプだと判断できます。
スタンダードタイプのワイパーゴムは、ほかのタイプと違って特徴的な要素はなく、比較的安めの価格で販売されています。
グラファイトタイプ
グラファイトタイプは、炭素原子が層状に集まったグラファイトで表面がコーティングされたワイパーゴムです。
ゴム表面の炭素微粒子によってガラスとの摩擦が低減されるため、ワイパーのビビりを抑えることができ、ガラスコーティングの寿命も伸びるといったメリットがあります。
価格は、ノーマルタイプより若干高くなります。
はっ水タイプ
はっ水タイプとは、ゴムの表面にはっ水加工が施されたワイパーゴムのことです。ガラスコーティングを施工していない車でも、装着するとワイパーを動かすだけでコーティング施工と同様のはっ水効果を得られます。
コーティング施工車と違い、こまめなメンテナンスは不要ですが、価格が高く、ここで紹介している4種類の中で最も高額となります。
雪用タイプ
雪用タイプとは、寒冷環境に強い素材でつくられているワイパーゴムのことです。スノーワイパーとも呼ばれており、ほかのタイプでは対応できない雪や氷を除去してくれます。
低気温でもゴムが硬くなりにくいのが特徴です。一般的なワイパーは寒くなるとゴムが硬化して使えなくなりますが、雪用タイプを装着していれば寒冷地でも安心して動かせます。
ワイパー本体の交換手順
ワイパーはゴムだけではなく、本体ごと交換が可能です。ワイパー本体の取り外しと装着は、次の手順で行います。
ステップ1:ワイパー本体を取り外す
ステップ2:アームを寝かせる
ステップ3:新しいワイパー本体を取り付け、動作確認をする
ステップ1:ワイパー本体を取り外す
まず、使用中のワイパー本体を取り外します。ワイパーアームを立て、ゴムが上を向くようにワイパー本体を傾斜させます。
ワイパー本体は、アーム先端のU字になっている部分にストッパーで固定されています。片手でストッパーのツメを押さえながら、もう片手でワイパー本体をアームに沿って下へスライドさせると外れます。
ステップ2:アームを寝かせる
ワイパー本体を取り外したら、アームを寝かせます。U字部分だけになったワイパーアームを立てたままにしておくと、何かの拍子で倒れた際にフロントガラスに当たり、キズが付いたり割れてしまったりするおそれがあります。
必ずU字部分が接触するガラス面にはタオルを敷いて、アームをゆっくりと降ろしていきましょう。
ステップ3:新しいワイパーを取り付け、動作確認をする
新しいワイパー本体を装着します。ワイパー本体中央にあるストッパー部分をアーム先端のU字に当て、下側からスライドさせてカチッと音がするまで確実にはめ込みましょう。
きちんと固定されていないと、走行中に外れてしまう可能性があり非常に危険です。最後に、ワイパーの動作確認をして完了となります。
ワイパー本体の種類と特徴
ワイパーゴムと同様にワイパー本体にも種類があり、それぞれ性能も異なります。ここでは、次の3つのタイプについて紹介します。
1)トーナメントワイパー
2)フラットワイパー
3)デザインワイパー
トーナメントワイパー
トーナメントワイパーとは、多くの車に採用されている一般的なワイパーのことです。大きいフレームから複数の小さいフレームへと枝分かれした、「トーナメント表」のような形状をしています。
フレームの強度が高いうえ、曲面がきついタイプのフロントガラスに対応できるため、さまざまな車種に採用されています。
フラットワイパー
フラットワイパーとは、ゴムと一体化した構造を持つワイパーのことです。トーナメントワイパーと比べてフレームがやわらかく、ガラスに加わる圧力がより均一となるため安定かつクリアに拭き取れるのが特徴です。
また、フレームの高さが一定であるため空気抵抗が少なく、特に高速走行の際にワイパーの浮き上がりが抑えられるというメリットがあります。
デザインワイパー
デザインワイパーとは、前述の2タイプの要素を合わせ持つワイパーのことです。トーナメントワイパーにカバーが施されたもので、エアロワイパーとも呼ばれています。
カバーにより空気抵抗が抑えられるため高速走行時にバタつきがなく、拭き取り性能も向上しています。その名の通りデザイン性も高く、流線型の車体のデザインにもマッチします。
ワイパー交換のタイミング
ワイパーの一般的な交換タイミングは、半年から1年ほどです。しかし、次のような症状が発生した場合は、早めに新しいワイパーと交換しましょう。
1)スジ状の線が残る
2)ビビり音がする
3)拭きムラがある
4)拭いても水がにじむ
ワイパーの交換頻度
ワイパーゴムは、紫外線や熱などの影響によって徐々に劣化していきます。
また、時間が経つにつれて柔軟性も失われるので、屋外駐車の場合は劣化が早く進みます。それ以外にも、後述する症状が発生した場合は早めの交換が必要です。
スジ状の線が残る
ワイパーを作動させた際にスジ状の線が残ってしまう場合は、早めに交換しましょう。
雨天時にワイパーを動かしたとき、ゴムに異物が挟まっていたり、ゴムが劣化していると、その部分だけ雨水が拭き取れず、スジ状の線として残ってしまうのです。
ゴムをウエスで拭いても改善されない場合は交換が必要です。
ビビり音がする
ワイパーを作動させた時に「ガガガッ」というビビり音がする場合も、ゴムが劣化しているため交換が必要です。
柔軟性が失われて硬くなったゴムは、ガラスとの摩擦が高まり作動時に引っかかってしまうため異音が発生するのです。
ただし、ビビり音はガラス面が汚れていたり、ブレード本体が劣化していても起こる可能性があるので、まずは正しい原因を把握しましょう。
拭きムラががある
ワイパーに拭きムラがあってきれいに水を拭えない場合も、早めにゴムを交換します。この症状も、部分的なゴムの劣化によって発生するものです。
また、雪や氷に対応していないゴムで凍ったガラスを拭いてしまった場合も、ひび割れたり裂けたりして拭きムラが起こります。
拭きムラは雨天時に視界が確保できなくなるため、気がついたら早めに交換しましょう。
拭いても水がにじむ
ワイパーを作動させても水がにじんで視界がまったくクリアにならない場合は、ワイパーゴムが全体に渡って劣化しているというサインです。
ワイパーが傷み、水分をきれいに拭えなくなるとフロントガラスににじんだ水が残ってしまいます。前方がまったく見えなくなり非常に危険ですので、できるだけ早くワイパーゴムを交換しましょう。
ワイパーの点検ポイント
ワイパーの点検すべきポイントは、ワイパーゴムとワイパー本体のそれぞれで異なります。ここからは、具体的にチェックすべき箇所について、くわしく解説していきます。
ワイパーゴムの点検ポイント
ワイパーゴムを点検する際は、次の点に注意しましょう。
・ゴムにひび割れが発生していないか
・ゴム自体が裂けていないか
ワイパーゴムを交換せず長期間使っていると、ゴムの先端が劣化して、横方向にギザギザ状のひび割れが発生します。使用を続けると、ひび割れからゴムが裂けてしまうため、注意深く確認しましょう。
ワイパー本体の点検ポイント
一方、ワイパー本体における点検では、次の点に注意しましょう。
・フレームにサビやガタつきが発生していないか
・ワイパーを作動させた時、ビビり音が発生しないか
ワイパー本体も長期間の使用や積雪によって徐々に変形していきます。変形するとゴムを均等に押し付けられず、ガラスをクリアに拭き取れなくなります。
ワイパーの選び方
実際にワイパーを購入する際は、次の3つの要素を考慮したうえで、目的にあった選定が必要です。
1)車種、型式、年式
2)価格
3)ワイパーの性能
それぞれの要素について、くわしく見ていきましょう。
車種、型式、年式
1つ目は、マイカーの車種や型式、そして年式です。ワイパーの形状は、同じ車種でも型式や年式によって異なるケースがあります。
そのため、ワイパーを選ぶ際には車種だけではなく、型式や年式もしっかりとチェックしましょう。カー用品店のワイパー売り場には「適合表」が用意されているので、マイカーの情報と照合すると良いでしょう。
価格
2つ目は、ワイパーの価格による選定です。ワイパーは、前述した種類によって価格が変動するうえ、一般的に市販品は安価で、純正品は高めです。さらに、ワイパーブレード本体とゴムのみでは交換価格はかなり変わります。
製品の性能と価格を比べながら、マイカーの状態にあった製品と交換箇所を選択しましょう。
ワイパーの性能
3つ目は、ワイパーの性能による選定です。前述の通りワイパーにはさまざまな種類があり、それぞれ性能が異なります。
たとえば、住んでいる地域が豪雪地帯である場合は、寒さに対応したタイプを選ぶと長持ちします。
また、高速道路を走行する機会が多い場合は、フラットワイパーやデザインワイパーに交換すると走行時のバタつきを抑えられるでしょう。
ワイパー交換の費用
ワイパー交換にかかる費用は、依頼する業者によって大きく異なります。依頼先は、自分で行う場合を除くと3つの業者が候補に挙がります。
1)カーディーラー
2)カー用品店
3)自動車整備工場
それぞれの業者における、具体的な交換費用を紹介します。
カーディーラーで交換する場合
▼カーディーラーでの交換費用の目安:
ゴムのみ:2,000〜3,000円/ワイパー本体:4,000〜5,000円/工賃:1,500円前後
ワイパーをカーディーラーで交換する場合は、純正品となるため基本的に費用は高くなります。また、パーツ代に加えて交換工賃も必要です。
ただし、純正品は車種のデザインにあわせてつくられているため、満足度は高いでしょう。
カー用品店で交換する場合
▼カー用品店での交換費用の目安:
ゴムのみ:1,000~2,000円/ワイパー本体:2,000~3,000円/工賃:1,000円弱
カー用品店の場合は、店頭に並べてある市販品から選択して交換します。工賃も安めに設定されていることが多く、純正品の交換より費用を安く抑えられますが、お店によってはマイカーに適合する製品がない場合もあります。
自動車整備工場で交換する場合
▼自動車整備工場での交換費用:
ゴムのみ:1,000円前後/ワイパー本体:1,500~2,000円/工賃:600円前後
自動車整備工場は複数のメーカーに対応するため、ワイパーゴムは市販の汎用品が使われることがほとんどです。
ワイパー本体の交換でも、費用は比較的安価です。交換自体も難しい作業ではないため、馴染みの工場であれば工賃を抑えられるかもしれません。
自分で交換する場合
▼自分での交換費用:
ゴムのみ:1,000~2,000円/ワイパー本体:2,000~3,000円/工賃:無料
ワイパーは、自分でも交換できます。ワイパー本体やゴムは、カー用品店やインターネットで入手可能です。自分で製品を選定して交換すれば工賃がかからないため、費用も安く抑えられるでしょう。
ワイパーを長持ちさせるポイント
最後に、ワイパーを長持ちさせる5つのポイントについて、解説します。
1)汚れを無理にワイパーで落とさない
2)フロントガラスが乾いた状態でワイパーを使わない
3)フロントガラスへの張り付きを解消する
4)雪や炎天下の日はワイパーを立てる
5)ガラスコーティングを行う
汚れを無理にワイパーで落とそうとしない
1つ目は、ガラス面の汚れを無理にワイパーで落とそうとしないことです。ワイパーを作動させた際に固着した汚れがあると、ゴムに負担がかかり劣化を早めてしまいます。
汚れは無理にワイパーを作動させず、水で洗い流しましょう。ゴムに付着した汚れも、事前にウエスで拭き取っておくと長持ちするでしょう。
フロントガラスが乾いた状態でワイパーを使わない
2つ目は、フロントガラスが乾いた状態でワイパーを作動させないことです。乾いたガラス面でワイパーを作動させると摩擦が強くなるため、ゴムの劣化を早めてしまいます。
フロントガラスにも負荷がかかるので、晴れた日にワイパーでガラスを拭き取りたい場合は必ずウォッシャー液を噴射してから作動させましょう。
フロントガラスへの貼り付きを解消する
3つ目は、フロントガラスにワイパーゴムが貼り付いていないか、をチェックすることです。
特に夏の炎天下ではゴムが熱でやわらかくなってガラスに貼り付くことがあり、そのままワイパーを作動させると負荷がかかって劣化を早めてしまいます。
この場合は、事前にワイパーを持ち上げて貼り付きを解消するか、ワイパーに水をかけてから作動させましょう。
雪の日や炎天下の日はワイパーを立てる
4つ目は、降雪や炎天下の日はワイパーを立てておくことです。雪が降るような冷え込んだ日や、逆に暑い炎天下が続く日には、ワイパーゴムがガラスに張り付いてしまいます。
また、雪の重さによってブレード本体が歪んだり破損したりしてしまいます。これらを防ぐため、ワイパーはあらかじめ立てておくと良いでしょう。
ガラスコーティングを行う
5つ目は、あらかじめガラスコーティングをしておくことです。ガラスにコーティングを施工すると、汚れが付きにくくなるうえにワイパーゴムとガラスとの摩擦を和らげるため、ゴムが長持ちします。
なお、ガラスコーティングを施した車には、摩擦が軽減できるグラファイトタイプのワイパーゴムに交換するのがベストです。
まとめ
今回は、ワイパーゴムやブレード本体の種類と交換手順、そして交換費用や依頼先の業者について解説しました。
ワイパーは、ゴムとワイパー本体にパーツが分かれており、さまざまな種類があって効果も異なります。
シンプルなパーツで構成されているため自分でも交換は可能ですが、不安な場合はカーディーラーやカー用品店、自動車整備工場に依頼すると良いでしょう。
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