家族の出入りがスムーズなスライドドアは、故障すると大変不便です。本記事では、急に開かなくなったスライドドアとパワースライドドアの原因と、具体的な対処法について、詳しく解説します。
スライドドアが急に開かなくなった時の原因
自動車のスライドドアが急に開かなくなった時の原因としては、次の5つが考えられます。
1.車体フレームの歪み
2.ドアレールカバーの歪み
3.ドアレールの目詰まり
4.ゴムパッキンの破損
5.ドアロック機構の破損
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
スライドドアが開かない原因その1:車体フレームの歪み
スライドドアを持つ車では、ドアの位置や動きをコントロールするために車体フレームが重要な役割を果たしています。しかし、車体フレームが歪んでしまうと、スライドドアがスムーズに動かず開閉が困難になってしまいます。
この原因は、運転中に壁や塀に車をぶつけたり、交通事故によって衝撃を受けたりすることで発生します。歪んだ車体フレームが、スライドドアの開閉に影響を与えるのです。
スライドドアが開かない原因その2:ドアレールカバーの歪み
スライドドアの動きを滑らかにするために必要なドアレールカバー。この部品が歪んだり損傷したりすると、スライドドアの動きが悪くなり、開閉が難しくなってしまいます。
ドアレールカバーは、ドアレールに付着するホコリや砂、水分などを防ぎ、レールの劣化を最小限に抑えるための部品です。
歪みの原因は、運転中に壁や塀に車をぶつけたことによる衝撃や、ドアを締める際に無理な力が加わることによる変形が考えられます。ドアレールカバーが歪んでしまっても、スライドドアはスムーズに開閉できません。
スライドドアが開かない原因その3:ドアレールの目詰まり
スライドドアのスムーズな開閉を支える金属製レールがドアレールです。レールの上にはドアに取り付けられたローラーや滑車が移動しており、スライドドアの動きをサポートしています。
しかし、砂やホコリ、汚れがドアレールに蓄積されると、ドアレールが目詰まりを起こし、ドアの動きが悪くなります。潤滑油の劣化も目詰まりの原因になることがあります。ドアレールの目詰まりを防ぐには、定期的なメンテナンスや清掃が必要です。
スライドドアが開かない原因その4:ゴムパッキンの破損
ゴムパッキンはスライドドアの周囲に取り付けられたゴム製のパーツで、ドアが閉まった際の気密性を保ち、車内への水の侵入を防止します。また、スライドドアが閉まる際の衝撃を緩和して、騒音や振動を減らす役割も担っています。
しかし、ゴムパッキンが破損すると、スライドドアに巻き込まれて急に開かなくなることがあります。ゴムパッキンが破損する原因は、主に紫外線や温度変化による経年劣化で、長期間の使用によって発生します。したがって、ゴムパッキンの破損もスライドドアの開閉に影響を与える可能性があります。
スライドドアが開かない原因その5:ドアロック機構の破損
ドアロック機構は、スライドドアを閉めた状態で固定して、運転中や駐車時にドアが勝手に開閉しないようにする役割があり、金属製のフックやラッチが組み込まれています。この機構が破損すると、ドアが正常にロックされなくなり、スライドドアがスムーズに開閉できなくなってしまいます。
湿気によるサビや汚れが原因となる場合もありますし、長期間の使用によって経年劣化が進行した場合にも起こり得ます。また、事故などで衝撃が加わった際にも、ドアロック機構に損傷が生じ、動作不良が起こることがあります。
ドアロック機構の破損を防ぐためには、定期的なメンテナンスが重要です。
パワースライドドアが開かない原因
次に、電動で動作するパワースライドドアが開かなくなった時の原因を見てみましょう。原因は、次の5つが考えられます。
1.各種モーターの故障
2.開閉スイッチの故障
3.ワイヤーの断線
4.チャイルドロックがかかっている
5.給油口が開いている
これらについても、それぞれ具体的に解説します。
パワースライドドアが開かない原因その1:各種モーターの故障
1つ目の原因は、各種モーターの故障です。スライドドアを開閉する主要な動力源となる「メインモーター」と、ドアロック機構を解除する際に動く「リリースモーター」という2つのモーターがあります。これらのモーターが故障すると、スライドドアの自動開閉が機能しなくなってしまいます。
例えば、前者の故障はドアが全く動かなくなるか、途中で止まってしまう可能性があり、後者の故障ではドアロックが解除できず、ドア自体が開かなくなります。モーターの故障原因は、経年劣化による摩耗、異常な負荷がかかったりすることによる過熱、過電流などが考えられます。
パワースライドドアが開かない原因その2:開閉スイッチの故障
2つ目は、開閉スイッチの故障です。パワースライドドアをコントロールする開閉スイッチは、運転席などにあるボタンを押すと開閉センサーや各種モーターに信号が送られ、ドアが動く仕組みとなっています。
しかし、長年の使用によるスイッチ内部の劣化や湿気や汚れによる故障などが原因で、スイッチが正しく機能しなくなることがあります。この場合、ドアに信号が正しく送信されず開閉できなくなってしまいます。
故障箇所がスイッチ単体であれば1〜2万円程度の交換費用で修理可能ですが、開閉センサーの故障が原因であれば、10万円前後かかることもあります。
パワースライドドアが開かない原因その3:ワイヤーの断線
3つ目の原因は、ワイヤーの断線です。パワースライドドアは、モーターが引っ張ることでドアを開閉しますが、このモーターとドアをつなぐワイヤーが切れてしまうと自動開閉ができなくなります。
ワイヤーの断線は、長年の使用によるワイヤーの摩耗や無理な力が加わったことなどが原因となることがあります。ワイヤー単体で交換できる故障であれば、修理費用は2万円程度で済みますが、交換パーツがモーターと一体でアッセンブリー交換となる場合、10万円前後の修理費用がかかる場合があります。
パワースライドドアが開かない原因その4:チャイルドロックがかかっている
4つ目の原因は、チャイルドロックがかかっているケースです。チャイルドロックは、子どもが誤ってパワースライドドアを開け、車外に飛び出してしまうのを防ぐための安全装置で、内側からドアが開けられなくなるようにロックをかけています。
車外のノブや運転席のスイッチでは開けられるが内側からはドアが開かない場合、チャイルドロックがオンになっていることが考えられます。その場合は、スライドドアの内側にあるチャイルドロックを解除すれば、正常に動作するでしょう。
パワースライドドアが開かない原因その5:給油口が開いている
5つ目の原因は、給油口が開いたままであることです。車の燃料を入れる給油口は、スライドドアが水平移動する車体のサイドに設置されており、多くの車種では、給油口が開いているとセンサーが反応して、パワースライドドアが開かないように設計されています。
これは、ガソリンスタンドで給油中にスライドドアが開き、ノズルと接触して大事故となることを防ぐための機能です。給油後に閉め忘れや誤操作によって給油口が開いている場合は、ちゃんと閉じることでスライドドアが正常に開閉するようになります。
その他の症状と主な原因
スライドドアの故障原因については先に解説しました。ここからは、実際に起こりやすい3つの不具合について、その原因を紹介します。
外からは開くが中からは開けられない
1つ目の不具合は、「外からは開くが中からは開けられない」というものです。この場合、スライドドアの内側からドアを開けようとしても、開かないことがあります。
この不具合の原因は、チャイルドロックがオンになっていることが考えられます。チャイルドロックは、子どもが誤ってドアを開け、車外に飛び出すのを防ぐための安全装置で、内側からドアが開かないようにロックをかけます。
スライドドアの内側サイドにあるチャイルドロックを解除すれば、正常に動作するようになります。
スライドドアが半分までしか開かない
2つ目の不具合は、「スライドドアが半分までしか開かない」というものです。この場合、スライドドアを開けようとすると、半分までしか開かなかったり、ガタついたりすることがあります。
この不具合の原因は、スライドドアのレールやモーターの故障が考えられます。これらの部品が劣化や汚れなどによって正常に機能しなくなることがあるため、修理や交換が必要になります。
途中まで自力で開けないとパワースライドドアが機能しない
3つ目の不具合は、「途中まで自力で開けないとパワースライドドアが機能しない」というものです。この場合、スライドドアを自力で一部分まで開けた後、電動で開閉しようとすると、機能しなくなることがあります。
この不具合の原因は、パワースライドドアのセンサーが故障していることが考えられます。スライドドアには、開閉の安全性を確保するためのセンサーが設置されており、このセンサーが故障するとスライドドアが正常に動作しなくなることがあります。この場合は、センサーの修理や交換が必要になります。
まとめ
本記事では、スライドドアとパワースライドドアが開かなくなる原因と対処法について解説しました。スライドドアが開かなくなる原因は、車体フレームやドアレールカバーの歪み、ドアレールの目詰まり、ゴムパッキンやドアロック機構の破損などが考えられます。
一方、パワースライドドアの場合は、各種モーターや開閉スイッチの故障、ワイヤーの断線、チャイルドロックのオン、そして給油口が開いていることが原因として挙げられます。
この記事を参考に、不具合が生じた際には、解消するための手順を確認しましょう。
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