バッテリーが充電されていなかったり電圧が下がっていたりすると、エンジンの始動ができず車を動かすことができません。
この記事では、車のバッテリーを充電する方法や仕組み、充電されない原因、長持ちさせるコツを解説します。
目次
車のバッテリーを充電する方法
車のバッテリーを充電する方法には、自分で充電する方法とディーラーや自動車整備工場などに依頼する方法があります。自分で充電する方法は、「車を走らせて充電する方法」と「充電器で充電する方法」の2つです。
車を走らせて充電する
エンジンを始動するとオルタネーター(発電機)によって発電されるため、車のバッテリーへ充電がされます。ただし、短距離・短時間の走行の場合バッテリーへの充電が十分にされないことが多いので注意が必要です。
バッテリーを十分に充電するためには、時速50km以上で30分以上の走行が理想です。しかし、場所や時間帯、道路状況によっては、時速50km以上出せないことがあるでしょう。
市街地や住宅街など制限速度40km前後の場所で走行する場合は、エアコンやオーディオなどの電装品をなるべく使わずに60分以上走行することで充電が可能です。
オルタネーターで発電する電力以上の電気を消費してしまうと、バッテリーへの充電が十分にされないため、電装品をなるべく使わないようにするのです。
充電器を使って充電する
車のエンジンを始動できないほどバッテリーが弱ってしまっている場合には、充電器を使って充電します。カーバッテリー用の充電器は、カー用品店やWEBで数千円から購入が可能です。
充電の際は車からバッテリーを外す
バッテリーの過充電により水素ガスが飛散したり、液漏れを起こしたりする可能性があるため、車からバッテリーを取り外した状態で充電を行いましょう。
取り外したバッテリーを充電する時は充電用ケーブルをバッテリーにつなげ、充電器のコンセントを差し、電源を入れます。充電器によっては電圧の設定ができるタイプがあるため、各バッテリーに合った電圧を選択してください。
バッテリーの液口栓を取り外せるものは、栓を取り外してガスがバッテリー内に溜まらないようにしておきましょう。
急速充電は行わない
急速充電はバッテリーへの負担が大きく、過充電になったりバッテリー寿命を縮めたりする原因になるため、緊急時以外には使用しないようにしましょう。
普通充電での充電時間は、おおよそ6〜10時間ほどです。充電器でバッテリーの90%ほどまで充電できたら充電器の電源を切り、ケーブルをバッテリーから取り外します。
ディーラーや自動車整備工場などの業者に充電してもらう
ディーラーや自動車整備工場、ガソリンスタンドなどに依頼すればバッテリーを充電することができます。バッテリーが弱っている兆候がみられる場合には、相談してバッテリーの充電をしてもらいましょう。
バッテリーが弱っている兆候としては、エンジンがかかりにくい、ライトが少し暗い、パワーウィンドウやワイパーの動きが鈍いなどがあります。
これらの症状が見られた場合にはバッテリーが弱っている可能性が高いため、動かなくなる前に点検をしてもらい、充電またはバッテリーの交換を行ないましょう。
充電器を使う時の注意点
充電器を使って車のバッテリーを充電する際、注意しなければならないことが6つあります。それぞれみていきましょう。
車からバッテリーを取り外す
充電器でバッテリーを充電する時は、バッテリーを車から取り外しましょう。
充電器によっては車載状態での充電が可能なものもありますが、車に載せたまま充電をしてしまうと車に異常な電流が流れ、電装品が故障してしまうことがあります。
また、過充電やガスの発生によってバッテリーが破損したり、液漏れを起こしたりする可能性もあるため、くるまから取り外してから充電しましょう。
充電に適した安全な場所で行う
充電器で車のバッテリーを充電をさせる時は、通気性が良く、火気がない場所で行なってください。
バッテリーは、充電中に多量の水素ガスを発生することがあります。そのため、バッテリーの近くに火気があると引火して爆発してしまう恐れがあるのです。
また、バッテリーの中に入っている電解水は硫酸です。身体に付着すると失明や火傷などを引き起こしてしまうため、バッテリーの取り外しや液口栓を開け閉めする時は、ゴム手袋と保護メガネを着用して作業しましょう。
もし、硫酸が皮膚や目に付着した場合にはすぐに多量の水で洗い流し、速やかに医師の治療を受けてください。
バッテリーの型を確認する
バッテリーには、バッテリー液の補充が必要になる「開放型」と、バッテリー液の補充を必要としないメンテナンスフリー(MF)の「密閉型」があります。
バッテリーの型によって充電器の設定を変更しなければならないことがあるため、車に装着されているバッテリーが開放型なのか密閉型なのか確認してから充電しましょう。
電圧を確認する
車のバッテリーの電圧には12Vや24Vなどがあります。一般的な乗用車では12Vが多く、トラックなど大型の車では24Vが採用されていることが多いです。
充電をする時に電圧を間違えてしまうとバッテリーの破損につながる恐れもあるため、電圧を確認してから充電を行いましょう。
過充電
車のバッテリーは過充電になると、バッテリー内の電気分解が進行し水素ガスが多く発生したり、電極板にダメージが加わったりします。
結果として、バッテリーの劣化を早めてしまうため、充電のしすぎには注意しましょう。
充電時間
充電時間は、普通充電で6〜10時間ほどです。充電時間が長すぎると過充電となりバッテリーの負担が大きくなるため、思わぬ事故につながる場合もあります。
充電器でバッテリーを充電する時は、電圧や容量などバッテリーの状態に気を配りながら充電しましょう。
車のバッテリーの充電が必要なタイミング
バッテリーの充電が必要なタイミングは、バッテリーが上がった時や電圧低下の兆候がみられた時です。
ここからは、バッテリーが上がったり電圧が低下したりすると、どのような症状が現れるのか解説します。
バッテリーが上がった時の症状
バッテリーが上がった、とは電力が不足している状態のことを指します。電力が不足するとエンジンが始動しなくなったり、電装品が動かなくなったりします。
バッテリーが上がってしまった時は、充電が必要です。また、バッテリーが上がった状態が長期間続いてしまうと、充電しても性能が回復しないことがあります。
充電してもバッテリーが回復しない場合には本体の交換が必要です。
電圧が低下すると起こる症状
電圧が低下すると、エンジンのセルモーターの音が弱くなり、エンジンが始動しにくくなります。
また、パワーウィンドウやワイパーなど電装品の動きが鈍くなったり、ヘッドライトが暗くなったりするのも電圧が低下しているサインです。
このような症状が現れたら、バッテリーを充電しましょう。バッテリー充電の対応が遅れてしまうと、バッテリーの電力不足が進行し、エンジンが始動しなくなることがあります。
車のバッテリーが充電されない原因と対処法
バッテリーは、本体の不具合やオルタネーターの故障があると充電がされなかったり、すぐにバッテリーの電力が不足したりしてしまうことがあります。
ここからは、バッテリーが充電されない原因について解説します。
バッテリーの寿命や故障
バッテリーの寿命や故障など、バッテリー本体に不具合がある場合には充電がされないことがあります。バッテリーの寿命は、車の使用環境や状態によって前後しますが一般的に2~3年です。
バッテリーの寿命が近づくとバッテリー液の減りが早くなる、電装品の動作が遅くなる、充電がされないといった症状も起こります。
また、バッテリーは本体に強い衝撃が加わり、内部の構造が損傷すると充電できなくなってしまいます。
バッテリーが寿命を迎えたり故障した場合には本体の交換が必要です。
オルタネーターの故障
バッテリーへの充電は、エンジンが作動している時にオルタネーターによって行われています。しかし、オルタネーターが故障しているとバッテリーへの充電が行われません。
また、オルタネーターが故障していると、バッテリーへの充電が行われないだけではなく車の電装品が正常に動作しないことがあります。
バッテリーの交換や充電をしても、電装品の動きが安定しない時やすぐにバッテリー上がりの症状が起こってしまう場合は、オルタネータの故障が考えられます。
車が動かなくなってしまう前にディーラーや自動車整備工場などで点検を依頼しましょう
車のバッテリーの重要性や仕組み
車のバッテリーは、エンジンのセルモーターを動かす役割や電装品のメモリー機能を維持し続けるという重要な役割を担っています。
車に乗った時、車内の時計が正しい時刻を示していたりメモリー機能が正しく動作するのは、バッテリーが電力を供給し続けているからなのです。
車のパーツの中でも重要な役割を担っているバッテリーはどのような仕組みで動いているのでしょうか。
車のバッテリーは化学反応で動いている
車のバッテリーは、プラス極板とマイナス極板、セパレー夕、電解液(硫酸)などによって構成され、極板と電解液の化学反応によって電気を蓄えたり、取り出したりしています。
一般的な乗用車には12Vのバッテリーが採用されていることがほとんどで、1セルあたり約2Vの鉛蓄電池を6セル直列で接続しています。
バッテリーの液口栓が6個あるのは、約2Vを発生させる鉛蓄電池が6セルで構成されているためなのです。
車のバッテリーを長持ちさせるコツ
車のバッテリーを長持ちさせるためには、週に2回以上、長距離・長時間の運転をして、バッテリーの電力を低下させないことが重要です。
特に、夏場と冬場はエアコンを使うシーンが多く、電力をたくさん消費してしまうことからバッテリーのトラブルが増えます。
日頃、車を使うことがない場合には、夏と冬の前にバッテリーの点検をしておくと良いでしょう。
また、エンジンをかけずに電源だけオンにしている状態が長いとバッテリーの電力が使われてしまいます。エンジンをかけていない時には、電装品をなるべく使わないようにしましょう。
まとめ
バッテリーは、エンジンを動かしたり電装品を作動させるためになくてはならない存在です。バッテリーの電力不足や電圧低下の兆候が見られた時は、点検や充電をしてください。
自分で車のバッテリーを充電する時は、バッテリーの取り扱いや充電器の設定に気をつけて行いましょう。