「タイヤの交換、自分でやるか業者に頼むか、どっちにしよう…」「タイヤを自分で交換してみたいけど、手順がわからない!」
そんな悩みをお持ちではないでしょうか。たしかに、自分でタイヤ交換ができれば費用も安く抑えることができますよね。
そこでこの記事では、タイヤ交換の手順や必要な道具、交換のサインや長持ちの秘訣についてくわしく解説します。
タイヤ交換の方法・手順
タイヤの交換には、自分で作業するかプロの業者に委託する方法があります。
タイヤは路面と車体をつなぐ重要な部品ですので、自分で作業するのであれば正しい知識と手順を理解し、さらに工具の準備が必要です。
そこで最初に、タイヤの交換手順を解説します。
車の安全確保
タイヤ交換の際には、必ず安全を確保しましょう。特に自宅で作業する場合は、傾斜が付いていたり砂利があったりする場所は避けて、必ず平らな所を選んで行います。
不安定な場所での作業は、ジャッキが倒れてしまい非常に危険です。
また、緊急時に作業をする場合は見通しの良い路肩に車を停めて、発煙筒や三角表示板で後続車に自車の存在をアピールするようにして、安全を確保しましょう。
どちらの場合も車が勝手に動かないよう、AT車はセレクトレバーを「P」に、MT車は「1速」にギアを入れたうえで、確実にパーキングブレーキを掛けておきます。
ホイールナットを緩める
外すタイヤの対角線上、たとえば右前なら左後の車輪に輪止めをかけ、ホイールに付いている4つ、または5つのナットを、レンチで緩めていきましょう。
なお、ナットは反時計回りに外しますが、この段階では軽く緩めるだけにとどめておきます。
ナットが見えないホイールキャップ装着車は、ヘラをタイヤとキャップの間に差し込んで、先に外しましょう。
また、交換する新しいタイヤはジャッキをかける付近の車体下においておくと、万が一ジャッキが外れてしまったとしても車体が地面と接触するのを防げます。
ジャッキアップを行い車体を上げる
ナットを緩めたら、車体のジャッキアップポイントにジャッキを当て、ジャッキの操作棒を時計回りに回して、車体を上げていきます。
ジャッキアップポイントは車種によって異なるので、必ず取扱説明書で確認しましょう。このジャッキアップポイントとは、ジャッキをかけられるように車体を補強してある部分です。
それ以外の箇所にジャッキをセットすると、ボディが歪んでしまう恐れがありますので注意しましょう。
車体を持ち上げる高さは、地面からタイヤが2〜5cmくらい浮く程度で大丈夫です。もちろんジャッキアップ時には、手や足を車体の下に入れないようにしましょう。
タイヤの取り外し
車体が持ち上がったらホイールナットを完全に外し、手前に引き抜いてタイヤを取り外しましょう。
外したナットは散らばったり転がったりするので、ウエスなどを地面に敷いてその上に置いておきます。
また、外したタイヤは新しいタイヤと交代でジャッキ付近の車体下に寝かせ、万が一の事態に備えておくといいでしょう。
タイヤを外すと、ディスクブレーキまたはドラムブレーキがむき出しになり、そこに4本または5本の「ハブボルト」が確認できるはずです。
ここに、新しいタイヤをセットしていきます。
新しいタイヤに付け替える
新しいタイヤをハブボルトにセットし、押さえつけながらナットを締めていきます。ナットはいきなりレンチで付けるのではなく、手である程度、時計回りに回していきましょう。
その後、レンチで締めていきますが、一つひとつをいきなり最後まで締め付けてはいけません。
4本の場合は上下左右、5本の場合は星を描くような順番で、均等に締まっていくように2〜3回に分けて、少しずつ締めていきましょう。
偏った締め付けをしてしまうと、走行中にタイヤが脱輪してしまうなどの可能性があり、とても危険です。必ず対角線上の順番でナットを締め、ハブとタイヤが面で接するように取り付けましょう。
ジャッキで車体を下ろし、ナットを締める
タイヤを取り付けたら、ジャッキの操作棒を反時計回りに回し車体を下ろします。下ろす前には、危険防止で寝かしておいたタイヤを取り除きましょう。
タイヤが確実に接地したらジャッキを取り外し、レンチでナットを増し締めします。増し締めの際も、締め付けの順番は対角線上に行います。
また、締め付け時に力を入れすぎるとボルトが折れてしまうので注意しましょう。その後、対角線上の車輪に設置した輪止めを外して完了です。
走行前には運転席のドア付近に表示されている空気圧の数値を確認して、タイヤの空気圧を調整しておきましょう。
タイヤ交換に必要な道具
タイヤ交換に必要な道具は、ほとんどの場合トランクフロアの下側に設置されています。
交換の前には必ず道具の有無を確認しましょう。
- ジャッキ
- レンチ
- 輪止め
- 手袋
- 三角表示板
「ジャッキ」はパンタグラフのような形状で、操作する棒と一緒に車載されています。
また、ナットを緩めたり締めたりする「レンチ」には、L字レンチ、クロス(十字)レンチ、トルクレンチ、インパクトレンチなどさまざまな種類が存在します。
トルクレンチは、あらかじめ「規定のトルク」をセットしてナットの締めすぎを防止するものであり、1本あると重宝します。
そして、車が勝手に動き出さないようにタイヤと地面の間に噛ませる「輪止め」や、手の汚れを防止する「手袋」も用意しておきましょう。
緊急時に後続車にアピールして、安全を確保するための「三角表示板」も必ず車載しておきます。
タイヤ交換の依頼先
タイヤ交換の作業は、下記の業者に依頼することも可能です。
- ディーラー
- 自動車整備工場
- カー用品店
ディーラー
ディーラーでは、1本2,000〜3,000円と少し高めの工賃が設定されています。また、タイヤを持ち込む場合はさらに高くなりますが、整備保証が付くのが強みです。
タイヤの持ち込みについてはできない場合もあるので、事前確認が必要です。
自動車整備工場
自動車整備工場でも、1本2,000〜3,000円程度の工賃が設定されています。価格はディーラーと同等ですが、こちらの要望に柔軟に応えてくれるのが大きなメリットです。
料金やサービスは工場ごとに異なりますので、事前に確認しましょう。
カー用品店
カー用品店は、1本1,000〜2,000円程度と気軽に依頼できる料金設定となっています。大量に仕入れて販売するためタイヤ自体も価格が安く、費用を抑えたい方におすすめです。
タイヤ代も含めたトータルの安さを求めるなら、カー用品店の利用が良いでしょう。
緊急時の依頼先
出先でのパンクなど、緊急時には以下の業者に依頼することになります。
- 任意保険のロードサービス
- JAF
任意保険のロードサービス
ほとんどの任意保険には無料のロードサービスが付帯されており、緊急時に依頼できます。無料で対応してもらえるうえに等級が上がってしまうこともありません。
ただし、保険会社によって条件やサービスが異なりますので、事前に調べておきましょう。なお、実際の作業は保険会社が委託している業者によって行われます。
JAF
JAFに加入していれば緊急時に無料で呼ぶことができます。最近はスペアタイヤを載せていない車が多いため、会員向けに「タイヤ貸し出しサービス」も展開していて便利です。
場所によって多少前後しますが、JAFは現場に到着するまでの平均時間が「約30分」と比較的短いのもメリット。
一方で、非会員の場合は出張料も含めて11,230円かかり、夜間や高速道路上ではさらに上乗せされます。
タイヤを交換した方が良いサイン
ここからは、タイヤの交換時期の目安について解説します。
スリップサインが出ている
タイヤの溝には、1.6mmの盛り上がりが備わっています。これを「スリップサイン」といい、走行を重ねてタイヤがすり減っていくと現れます。
タイヤの摩耗限度は1.6mmと法律で決まっています。そのため、スリップサインが1箇所でも現れている溝が浅いタイヤは使用できません。
タイヤの溝が浅くなると駆動力や制動力が弱まるので、特に雨の日にはハンドルやブレーキが効かなくなってしまいます。
スリップサインが出ていたり溝が浅くなっていたりしているタイヤは、できるだけ早めに交換しましょう。
キズやひび割れがある
スリップサインが出ておらずまだ十分に溝があるタイヤでも、接地面や側面にキズやひび割れ(クラック)があるものは危険です。
特に、高速道路を走行中に中の空気が高温になって空気圧が上昇し、バースト(破裂)に至ってしまう恐れがあります。
タイヤがバーストすると、車は制御不能となり命の危険がともないますので、ひどいキズやひび割れがあるタイヤは、すぐに交換しましょう。
製造から年数が経過している
タイヤはゴム製品なので、直射日光や雨、路面や荷重によって経年劣化していきます。溝が残っていても使用開始から5年が経過したタイヤは、業者に状態を点検してもらいましょう。
また、たとえ外観がきれいであっても製造後10年が経過したタイヤは使用を中止し、新しいタイヤに交換することをおすすめします。
走行距離
経年劣化が進んでいないタイヤであっても、走行距離がかさめば摩耗しています。使用環境によって摩耗の具合は異なりますが、一般的にタイヤは5,000kmの走行で約1mmすり減るといわれています。
つまり、新品時に8mmあるタイヤの溝は32,000kmでスリップサインが出る計算となるので、交換の目安としましょう。
タイヤの寿命を伸ばす方法
タイヤは消耗品であり、交換にはそれなりの費用がかかります。そこで、タイヤの寿命を伸ばし、できるだけ長持ちさせる方法について解説します。
タイヤの空気圧
タイヤは偏った摩耗をしてしまうと、寿命が短くなります。偏摩耗を防ぐためには、タイヤの空気圧をこまめにチェックし適正値に保つのがポイントです。
なお、空気圧が規定値より高いと直進安定性が悪化する上に、接地面の真ん中が大きくすり減ります。
逆に、空気圧が低い場合は回転抵抗が大きくなることでハンドルが不安定になり、タイヤも接地面の両端が大きく摩耗してしまいます。
タイヤローテーション
タイヤを長持ちさせるためには、定期的にタイヤの位置を入れ替える「タイヤローテーション」を実施して、摩耗の偏りを均一にする必要もあります。
タイヤが摩耗するポイントは「駆動輪」です。そして駆動輪は車の種類によって変わります。
一部のスポーツカーを除き、一般的な車は前輪が駆動する「FF車」です。
FF車は駆動輪と操舵輪が前輪に集中しており、うしろのタイヤは遊輪となるため、タイヤが受ける力は前後で大きく違い、摩耗も変わってくるのです。
タイヤローテーションは、走行距離5,000〜10,000kmごとに行います。
タイヤの負担を減らす運転方法
運転の仕方によってもタイヤの傷み具合は変わってきます。急発進、急ブレーキ、急加速などの「急」が付く運転を繰り返すと、周囲にとって危険なのはもちろん、タイヤもどんどん摩耗していきます。
ゆっくりとした発進、早めのブレーキ、余裕を持った加速などタイヤを労った運転をするだけでもタイヤの摩耗を抑えることができるので、ぜひ実践してみましょう。
タイヤの保管方法
スタッドレスタイヤに交換する場合など、外したタイヤを保管する時も長持ちさせるためのポイントがあります。
ゴムでできているタイヤは、直射日光に含まれる紫外線によって劣化していき、雨水によってホイールも傷みます。そのため、外したタイヤはできるだけ屋内で保管しましょう。
その際、ホイール付きの状態であれば空気圧を若干減らしたあと平積みにしておくと、タイヤを傷めずに保管できます。
やむを得ず屋外で保管する場合は、タイヤカバーをかけておきましょう。また、タイヤを保管してくれるサービスなどもありますので活用してみるのも良いでしょう。
まとめ
以上、タイヤ交換の手順や必要な道具、交換のサインや長持ちの秘訣についてくわしく解説しました。タイヤは車の走行や制動にかかわる、たいへん重要な部品です。
タイヤを自分で交換できれば維持費用が浮きますが、何より安全第一なので自信が持てない場合は無理をせず、カーディーラーや自動車整備工場などに依頼しましょう。
パンクなどの緊急時も、安全面からプロの救援業者に頼った方が賢明です。
また、タイヤの状態が悪化していると走行中のバーストなど、危険が増します。スリップサインやキズ、ひび割れがないかなど、日ごろからチェックしましょう。
自分に合ったタイヤの管理方法を見つけて、素敵なカーライフをお過ごしください。
※2021年11月現在の情報をもとに掲載しています。