タイヤの種類・構造の違い・選ぶ時の基準を解説

メンテ
  • 投稿日:2021/12/24
  • 更新日:2023/05/15
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タイヤの種類は多様化するドライバーの要望とともに増えており、現在ではさまざまなものが市販されています。

タイヤの種類を知っておくと選択肢が広がり、より目的に合ったものを選べるようになるでしょう。

この記事では、シーズンや性能からみたタイヤの種類をはじめ、構造の違い、そして選ぶ時の基準について紹介します。

タイヤの種類

従来のタイヤは、主にシーズン別に分類されていました。しかし最近では、路面の状況に応じたタイヤの開発が盛んになり、機能別にも分類できるほどその種類は豊富です。

どのような種類のタイヤが販売されているのか、シーズン別・機能別にみてみましょう。

シーズン別の分類

タイヤをシーズン別に分けた場合、「サマータイヤ」と「スタッドレスタイヤ」があることは、よく知られています。

しかし、「オールシーズンタイヤ」を投入しているタイヤメーカーも増えており、シーズン別のタイヤとはこれら3種類のことを指していると考えるのが一般的です。

シーズン別のタイヤについて、それぞれくわしく解説していきます。

サマータイヤ(夏用)

「サマータイヤ」とは、普通のタイヤ(ノーマルタイヤ)のことを指します。冬用タイヤと区別するために、サマータイヤと呼ばれるようになりました。

サマータイヤという名前ではありますが、夏限定のタイヤではないため降雪の心配がない地域では通年利用することも可能です。

一般的に、タイヤはドライ性能や耐摩耗性、乗り心地といった性能が求められます。サマータイヤは、通常の路面を安全に走行できるよう特定の性能に偏らず、バランスが取れているという点に特徴があります。

スタッドレスタイヤ

「スタッドレスタイヤ」とは、冬用タイヤのことを指します。雪道を走ることを想定してつくられているスタッドレスタイヤには、普通のタイヤよりも柔らかいゴムが使用されています

中には氷上性能を向上させるために、タイヤに硬めの素材を混ぜてつくられたスタッドレスタイヤもあります。

目の前にあるタイヤがスタッドレスタイヤかどうかを知りたい時には、側面をチェックしてみましょう。スタッドレスタイヤの場合、「STUDLESS」という刻印を確認できます。

オールシーズンタイヤ

「オールシーズンタイヤ」とは、サマータイヤとスタッドレスタイヤの中間にあたる性能を持つタイヤのことです。

オールシーズンタイヤは、サマータイヤよりも柔らかめのゴムを使用していることに加え、排水性能のあるトレッドパターンを採用するなど、真夏の乾燥路から軽い雪道までの走行に対応しています。

季節の変わり目に交換する必要がなくオールシーズンに使えて便利なタイヤですが、サマータイヤよりも燃費性能が低く、スタッドレスタイヤよりも走行可能な雪道は限定されてしまいます。

機能別の分類

安全に、そして快適にドライブするために、タイヤにはさまざまな機能が備わっています。

現在市販されているタイヤには、特定の性能を強化したり、新たな機能を備えたりしているものが登場し、選択の自由度が高くなりました。

では、具体的にどのような種類があるのかみていきましょう。

オールテレーンタイヤ

「オールテレーンタイヤ」とは、砂利道や泥道といった悪路も走破できるタイヤです。ゴツゴツとしたタイヤのパターンに特徴があることからもわかるように、剛性とグリップ性に優れ、四輪駆動などオフロードを走行する機会の多い車によく装着されます。

オールテレーンタイヤは、オンロードとオフロードの両方に対応していますが、燃費性能はオンロード用のタイヤには及びません。また、凍結路面は苦手で、雪道の走行はスタッドレスタイヤよりも不安定です。

シーリングタイヤ

「シーリングタイヤ」という名前を初めて聞いたという人も多いかもしれませんが、異物が刺さった場合でも走行可能な画期的なタイヤです。

シーリングタイヤの内部には粘り気のあるシール材(シーラントやパンクシーリング材などと呼ばれることもあります)が塗られており、刺さった異物に粘りつくことで空気圧の低下を防ぎます。

たとえ異物が取れたとしても、シール材が穴を塞いでくれます(ただし、直径5mm以下の穴に限ります)。

ランフラットタイヤ

シーリングタイヤと似たような特徴を持つのが、「ランフラットタイヤ」です。高い剛性を持っており、パンクなどで空気圧がゼロになったとしても最低限の構造を維持することでタイヤの走行を可能にします。

JAFによると、ランフラットタイヤはパンクしてから時速80kmでおよそ80km走行できるそうです。ランフラットタイヤを装着するには専用ホイールが必要で、ほかのタイヤよりも価格も高めです。

エコタイヤ

「エコタイヤ(低燃費タイヤ)」とはその名のとおり、燃費性能に優れたタイヤのことを指します。エコタイヤは転がり抵抗を低く抑え、タイヤが回転しやすいように設計されています。また、燃費性能を上げるためほかのタイヤよりも軽量となっています。

転がり抵抗が低くなると、グリップも低下しがちです。しかし、エコタイヤとして市販されているものはグレーディングシステム(タイヤの性能を等級に分けて評価する制度)によってd以上と判断されたもので、ウェットグリップ性能が保証されています。

コンフォートタイヤ

「コンフォートタイヤ」は別名「プレミアムタイヤ」とも呼ばれている、乗り心地の良さを追求したタイヤのことを指します。

静寂性と操縦性に優れ、「上質な乗り心地」という表現がぴったりなドライブを体験できるのがコンフォートタイヤの魅力です。

コンフォートタイヤの価格は、ほかのタイヤと比べると高めの傾向にあります。しかし、燃費性能を備えたものも多く、検討する際は静寂性を含めたトータルのコストパフォーマンスを考えると良いでしょう。

スポーツタイヤ

「スポーツタイヤ」とは、スポーツドライビング向けに設計されたタイヤのことです。スポーツタイヤの大きな特徴はグリップ力と走行性能の高さで、ダイナミックなドライブを楽しみたいドライバーに人気です。

いわゆる“走り”や“テクニック”を追求しているスポーツタイヤの性能は、グリップ性と走行性に偏りがちで、燃費性能や静寂性などはほかのタイヤに劣ります。一歩間違えると危険な運転につながるリスクのあるスポーツタイヤは、中・上級ドライバー向きです。

応急タイヤ

「応急タイヤ」とは緊急時に使用するタイヤのことで、車に搭載されているスペアタイヤとほぼ同じ意味で用いられています。パンクなどタイヤにトラブルがあった場合に使用する、一時しのぎのタイヤとして活躍します。

応急タイヤは、普通のタイヤと比べてやや小さく、幅が狭いのが特徴です。最近は応急タイヤの代わりにタイヤ修理キットを装備している車が増え、活躍する場が限られてきています。地味なイメージがあるかもしれませんが、いざという時に必要となる頼もしい存在です。

タイヤの構造の違い

タイヤは一見シンプルなつくりに見えるかもしれません。しかし、トレッド部やショルダー部など複数の部材で構成されており、その内部も複雑な構造をしています。

タイヤの構造には大きく分けて

・ラジアル構造
・バイアス構造

の2種類があります。

ここからは、各タイヤの構造の違いについて解説します。

ラジアル構造とバイアス構造の違い

ラジアル構造とバイアス構造の大きな違いは、タイヤの骨組みであるカーカスの配列です。ラジアル構造のカーカスは中心から放射状に配列されていますが、バイアス構造のカーカスは、斜めに並べられています。

もう少しくわしくみてみましょう。ラジアル構造では、放射状に配列されたカーカスをスチールベルトで締め付けています。この構造はトレッド部の剛性をはじめ、耐摩耗性や操縦安定性の向上につながります。

一方のバイアス構造ではねじれを防ぐために複数のカーカスを重ね、ナイロンブレーカーで締め付けています。バイアス構造を持つタイヤの特徴は、耐久性や耐衝撃性に優れているという点です。

現在多くの車はラジアル構造のタイヤを採用しています。バイアス構造のタイヤは、応急タイヤなどに使用される傾向にあります。

チューブの有無

チューブ付きタイヤとは、タイヤの内部に入れたチューブによって空気を保持するタイヤのことです。チューブ付きタイヤのメリットは、メンテナンスが楽なうえ比較的安価で手に入るという点です。

チューブレスタイヤは、チューブの代わりにタイヤとホイールを密着させて内部の空気を保っています。異物が刺さっても空気が減りにくく、チューブの劣化などチューブに関連したトラブルを気にする必要がありません。

現在ほとんどの自動車は、チューブレスタイヤにシフトしています。その理由は、バーストなど深刻な事故につながるトラブルを防いでくれるからです。

しかし、チューブタイヤは空気圧が低くても走行可能で衝撃に強いという特徴から、バスやトラック、トラクターなど一部の車両には今でも使用されています。

タイヤを選ぶ時の基準

これまでみてきたように、タイヤの種類はどれを選んだらいいのか迷うほどたくさんあります。

気になるのがタイヤを選ぶ基準ですが、そのポイントは、走行に直接関わるタイヤの性能をチェックすることです。

チェックポイントとなるタイヤの性能について、紹介します。

ドライ性能

「ドライ性能」とは、乾いた路面におけるグリップ力のことです。ドライ性能が高いタイヤは、ハンドリングが安定しブレーキが効きやすくなります

ドライ性能と静寂性を連携させたものや、ドライ性能とウェット性能の両方を兼ね揃えたスタッドレスタイヤなど、ドライ性能を強化したタイヤにはいくつか種類があります。

ハンドリングのしやすさや、乾いた路面の高速道路を走る際の安定性などを求めている場合は、必須のチェックポイントといえるでしょう。

ウェット性能

「ウェット性能」とは、雨などで濡れた路面をとらえ、安定性を確保しながら走行できる性能のことをいいます。

濡れた路面では、路面とタイヤの間に雨水が入り込み、車はスリップしやすい状態で走っています。この時、タイヤのグリップ力が低下してしまい、ハイドロプレーニング現象(濡れた路面上で車のコントロールができなくなる現象)を引き起こす可能性が高くなります。

雨天時のドライブが気になったり、濡れた道路を走る機会が多かったりする場合には、注目したい性能です。

静寂性

「静寂性」とは、走行中に生じがちな走行音などを抑え、快適にドライブできる性能のことを指します。静寂性は、乗り心地の良し悪しを知る目安にもなります。なぜなら、音を気にせず車に乗っていられるということはつまり、快適なドライブにつながるからです。

小さな凸凹でも強い振動や衝撃を感じてそれが気になる、ドライブ中のロードノイズを減少させたい、といった点を重要視する場合は、静寂性を基準にタイヤを選ぶと良いでしょう。

燃費性能

「燃費性能」とは、走行距離に対する燃費の効率のことです。「燃費性能が高いタイヤ」といった場合、そのタイヤは「燃費の良いタイヤ」を意味します。

燃費性能の良いタイヤの代表格として挙げられるのが、エコタイヤ(低燃費タイヤ)です。エコタイヤには、JATMA(一般社団法人 日本自動車タイヤ協会)による等級制度と低燃費タイヤを保証するロゴマークが表示されているので、燃費性能の高いものを選ぶ時に参考となるでしょう。

耐摩耗性能

「耐摩耗性能」とは、摩耗しにくい性能のことです。常に路面と接触しているタイヤは使い続けていくうちに摩耗していきますが、摩耗すると残り溝が浅くなり、ドライ性能やウェット性能が低下していきます。

耐摩耗性が高いタイヤは、そうでないタイヤよりも寿命が長いという特徴があります。タイヤをできるだけ長持ちさせたい、長い距離を走るのに向いたタイヤが欲しいという場合は、耐摩耗性能をチェックすることを忘れないようにしましょう。

まとめ

タイヤの種類をメインに、構造の違いや選ぶ時の基準について解説しました。タイヤの種類を以下にまとめます。

①シーズン別タイヤの種類
・サマータイヤ
・スタッドレスタイヤ
・オールシーズンタイヤ

②機能別タイヤの種類
・オールテレーンタイヤ
・シーリングタイヤ
・ランフラットタイヤ
・エコタイヤ
・コンフォートタイヤ
・スポーツタイヤ
・応急タイヤ

ここまで知ると、タイヤ選びが楽しくなるのではないでしょうか。自分の走行条件にピッタリあったタイヤに交換して、ドライブを楽しみましょう。

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