ここ数年でよく耳にするようになった、SUV。
現在、軽自動車並みのコンパクトなSUVからミニトラックほどの大きなボディまでさまざまな車種が登場し、幅広い世代から根強い人気を得ています。
そこで本記事ではそもそもSUVとは何か、どんな特徴や種類があるのか、なぜ人気なのかなど、SUVについてくわしく解説します。
SUVとは
まずは、SUVの概要をつかんでいきましょう。SUVとはどのような車なのでしょうか。ほかの車種にはない特徴や歴史背景、RVとの違いなど基本的な情報を解説していきます。
SUVの正式名称
SUVの正式名称はSport Utility Vehicleで「スポーティーな多目的乗用車」を意味しています。
最低地上高・エンジン出力・駆動性能が高いことから舗装されていない険しい道での走行も難なくこなせるうえ、小さなモデルでも350Lと荷室容量が多く、アウトドアシーンでも大活躍します。
近年は街乗りでの需要も高まっており、アウトドアから日常までまさに「多目的」に使用できる車種です。
またこれまで4WD(四輪駆動)の車がほとんどだったものの、使用するシーンの変化や燃費・コストの観点から4WDでないSUVも多く登場しています。
SUVの歴史
歴史をたどると、アメリカのピックアップトラックというキャビンのうしろが開放的な荷台になっている車がSUVの始まりとされています。
1980年代に、ジープ・XJチェロキーという車種が爆発的にヒットし、アメリカの人々に「SUV」という言葉が普及しました。
日本では、同じく1980年代に輸出用のピックアップトラックとして発売された「ハイラックスサーフ」が「SUV」の火付け役になったとされています。
RVとの違い
RVは「Recreational Vehicle=休暇・楽しみのための車」の略で、発祥のアメリカでは「キャンピングカー」がこれに該当します。
一方、日本ではキャンピングカーだけでなくレジャー、レクリエーション向けの車全般を指すようになりました。ミニバンやステーションワゴンなどがこれにあたり、SUVもRVの中の1車種として考えられることが多いです。
したがって、SUVとRVは異なるものではなく包括的な関係と捉えられます。
SUVの種類
SUVは需要の多様さから、異なる特徴を持つさまざまなタイプのSUVが登場しています。ここでは大きく分けて5つの種類のSUVについて解説します。それぞれの強みや特徴をつかむことで最適な一台を選ぶことができます。
クロスカントリー
クロスカントリーはSUVの最大の特徴である、高いエンジン出力・駆動性能を兼ね備えた種類です。そのため、舗装されていない道路などの悪路でも力強く走行します。
車の骨格部分には強固なラダーフレームを採用しており、衝撃や重さに強い仕様となっています。
また、2輪と4輪を切り替える副変速機がついており、4輪では低速と高速の2段階の切り替えが可能。通常走行でも悪路での走行でも対応できる利便性の高さを備えています。
クロスオーバーSUV
クロスオーバーSUVは駆動性能とシャシー(足回り)の強さを誇りながらも、乗用車のように快適な乗り心地を兼ね備えた種類です。
クロスカントリーはアウトドア用の本格的なSUV、クロスオーバーはより街乗りを快適に過ごすためのSUVと分類できます。
クロスカントリーとの一番の違いは車体構造。クロスオーバーはラダーフレームではなく、乗用車に搭載されるモノコック構造を採用しています。そのため軽やかな乗り心地を実現するのです。
ミドルサイズSUV
ミドルサイズSUVは、クロスオーバー仕様のSUVをサイズ別でさらに分類した種類の一つです。明確な基準はありませんが、大きめのコンパクトカーほどサイズでヨーロッパ基準でいうCセグメントに相当します。
ほかのサイズと比べて安定性の高い走行を実現し、悪路などでも力強く稼働してくれます。見た目にも迫力があり、SUVらしい外観・走行性を感じられる一台です。
コンパクトSUV
コンパクトSUVもミドルサイズSUVと同様、クロスオーバー仕様のサイズ別SUVの一つです。ミドルサイズSUVより一回り小さく、ヨーロッパ基準でいうBセグメントに相当します。
ミドルサイズよりコンパクトな分、安定性は劣るものの小回りが利き軽やかな走行が特徴。より日常的な使用に向いていて、操縦のしやすさから運転が苦手な人や女性にも適したSUVです。
軽SUV
軽SUVも、サイズでカテゴライズされたクロスオーバーの一つ。SUVのような最低地上高(車高)の高さや外観の雰囲気を持った軽自動車です。
軽自動車なので本格的なSUVの悪路走破性は期待できませんが、燃費やコストパフォーマンスに優れ、誰でも気軽にSUVのテイストを楽しめる一台になっています。
一般的な軽自動車と比べても、車内や視界の広さなどが特徴的です。
SUVの分類
SUVの5つの種類をみてみると、SUVはいくつかの特徴によって分類されていることがわかります。ここでは、そんなSUVの分類についてもう少しくわしくみていきます。
SUVは、主に3つの特徴によって分類できます。
構造による分類
SUVは車の骨格構造の違いによって大きく2つに分類することができます。「ラダーフレーム」と「モノコック構造」です。
ラダーフレームは走破性の高いクロスカントリー仕様のSUVに用いられています。ボディとシャシーが別構造で組み立てられており、頑丈な素材を使っているためSUVらしい強固性を感じられ、足場の悪い道路でも負けないほど力強い走行を楽しめます。
一方で、クロスオーバーに採用されているモノコック構造は、ボディ全体で一つの構造として組み立てられているため、ラダーフレームにはない軽さと頑丈さを兼ね備えています。オンロード走行を目的とし、快適で安定性のある走りを実現します。
サイズ(大きさ)による分類
需要の多様性から、サイズでの分類も豊富です。
小さいものから、
・軽
・コンパクトサイズ
・ミドルサイズ
・フルサイズ
に分かれます。
軽〜ミドルサイズはクロスオーバー式のSUVが多く、フルサイズは本格的なクロスカントリーのSUVが多い傾向があります。
軽いものは小回りが利くなど運転のしやすさが特徴的で、軽やかな走行を楽しめます。また燃費の良さや維持費などのコストパフォーマンスが高いことも利点です。SUVの良さを残しつつ、乗用車としての使い勝手の良さも感じられます。
一方で重さが増すと、安定感や外観の高級感が増します。特にフルサイズでは四輪駆動の仕様も多く、本格的な走破性を十分に感じられるためSUVらしい迫力のある走行を楽しめます。
用途による分類
アウトドアなどの本格的なレジャーに使うか、日常的に使うかでも最適なSUVは異なります。アウトドアシーンで使う場合に最適なのは「クロスカントリー式」。
クロスカントリー式はオフロードと呼ばれる山道やぬかるんだ道路、舗装されていない道でも気持ちよく走行できるように作られています。
車体に強固なラダーフレームを採用し、四輪駆動や副変速機があるのでどんな道でもスムーズな運転を実現できるのです。
一方、街乗りなどの日常使いに適しているのは「クロスオーバー式」。
オンロードを目的としているため走破性は劣るものの、「安定性」「乗り心地」「燃費」を兼ね備えた快適かつコストパフォーマンスの高い仕様となっています。
SUVの選び方
ここではシーン別にどのようなSUVが適しているのか、具体的な車名を交えつつ解説していきます。自分自身の利用シーンを想像しながら、最適な一台を選んでいきましょう。
車中泊を考えている場合
車中泊を快適に過ごすためには、以下の2つを意識して選びましょう。
・フラットな空間かつ、大人が横になるだけの広さがあるものを選ぶ
・USBやコンセントが使えるものを選ぶ
車中泊で横になって休めるよう、フルフラットにできるかどうか、十分な広さを確保できるかを確認しましょう。
また特に冬場は冷えるので車自体に給電設備・機能があるものを選ぶと電気カーペットやポットなどが使用でき、快適に過ごせるでしょう。
車種例:
トヨタ/ 5代目RAV4 (フルフラット、188cmの広さ)
三菱/アウトランダー PHEV(給電機能つき)
多くの人を乗せたい場合
多くの人を乗せたい場合は、以下の2つのポイントを意識しましょう。
・希望乗員人数より1〜2人多いものを選ぶ
・シートアレンジができるものを選ぶ
希望乗員人数がぴったりの車を選んでしまうと、荷物が入りきらなかったり、子供がいる場合チャイルドシートが設置できなかったりと不具合が発生する可能性があるため、少し多いものを選びましょう。
またシートアレンジができれば、柔軟に人数の変化に対応することができます。
車種例:
ホンダ/ヴェゼル(5人乗り)
マツダ/CX-8(7人乗り)
アクティビティ用に考えている場合
アウトドアなどのアクティビティ用のSUVを選ぶ場合のポイントは以下の2つです。
・悪路でも走行できる走破性があるものを選ぶ
・荷物を十分に積める広さがあるものを選ぶ
サーフィンやキャンプなど、道中にオンロードではなくオフロードを通ることが考えられる場合、四輪駆動などの走破性の高いものを選びましょう。
また、サーフボードやテントなど、大きめの荷物でもしっかりと積める車種だと安心です。
車種例:
トヨタ/ ランドクルーザー(オフロード性能、大容量の荷物スペース)
日産/ エクストレイル(四輪駆動))
SUV人気の秘密
多様な種類が登場するほど、幅広い世代に支持されるSUV。その魅力はどのようなところにあるのでしょうか?ここではSUVの人気の秘密を4つ紹介します。
最低地上高(車高)が高い
車高が高いことで、悪路や雪深い道でも安定感を失いません。地球上のどんな道でも力強く走行します。
運転時の視界が広い
車高が高いことで、運転時の視界も広がります。そのため運転のしやすさに魅力を感じる人も多いです。
積載性が高い
車内が広いため、十分な積載性があります。シートアレンジでどんなレジャーシーンにも最適なスペースになります。
ステータスを感じられる
エクステリア・インテリアの大きさや広さは、それだけで豪華な印象を与えます。車高が高い分どっしりとした重厚感があり、ステータス性を感じられる点も魅力の一つといえます。
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まとめ
今回の記事では、幅広い層から支持されるSUVについて基本情報から選び方、人気の秘密までくわしく解説しました。
SUVはSport Utility Vehicleの略でその名のとおり、街乗りから未舗装の道での走行まで多目的に楽しむことができる車です。
運転のしやすさや積載性の高さという利便性だけでなく、オフロードをものともせず走行したり、贅沢なエクステリア・インテリアのサイズから感じるロマンやステイタス性も人気を集める大きな理由。
購入の際は、ぜひ今回の記事を参考にして目的に合った最適なSUVを選んでください。
※2021年11月現在の情報をもとに