
車の売却を考えるとき、多くの方はだいたいの買取金額を知りたいと思うはずです。しかし、従来の査定は個人情報の登録が必要なことも多く、「営業電話がたくさん来そうで不安」と感じて、なかなか一歩を踏み出せない方も少なくないのではないでしょうか。
特に「一括査定サービス」は、多数の業者から見積もりが取れる便利な仕組みである一方、複数の買取店からの連絡が煩わしく感じる人も多いのが実情です。
そんな不安を解消してくれるのが、「ネット査定」。ネット査定なら、個人情報の入力なしで愛車の概算査定額をすぐに確認できます。誰でも簡単に使え、近年注目を集めているサービスです。
この記事では、ネット査定の仕組みや実査定との違い、メリット・デメリットまでをわかりやすく解説。車を売る前にネット査定を使うべき理由をご紹介します。
車のネット査定サービスおすすめ3選!
クルマのネット査定サービスを利用するなら以下の3つがおすすめです。
- cars AI査定
- カービュー車買取相場検索
- トヨタ下取り参考価格シミュレーション
1.cars AI査定
cars AI査定は、メーカー・車種・グレード・年式・走行距離の5項目を入力するだけで、AIが瞬時に査定額を算出してくれるサービスです。
入力後「今すぐ結果を見る」をクリックすると、AIによるリアルタイム査定がスタート。表示される金額には、相場精度を示すパーセンテージも併記されるため、価格の信頼度が一目でわかります。
さらに特筆すべきは、個人情報の入力が不要である点。まずは匿名で査定額を確認し、金額に納得すれば「スマート売却相談」ボタンから実際の売却プロセスに進むことができます。ここで初めて、電話番号やメールアドレスなどの情報を入力する仕組みです。
また、cars AI査定では、売り手と買い手をつなぐ「cars MARKET」へ出品可能。希望価格での売却が狙えるうえ、安心のサポート付きで、一般的な買取サービスよりも高額での売却が期待できます。
2.カービュー車買取相場検索
画像引用:カービュー
カービュー車買取相場検索は、国産車はもちろん、輸入車や20年前の旧車でも査定が可能な点が大きな特徴。年式が古い車に乗っている方にも価値あるサービスです。
サービスは「見積もりシミュレーター」と「無料見積もり」の2つで構成されています。個人情報を入力せずに査定額の目安を知りたい場合は、見積もりシミュレーターの利用が最適です。
トップページに表示されたメーカーを選択後、車種・年式・グレード・走行距離を入力し、「計算する」をクリックするだけで、おおよその買取相場を知ることができます。
納得できる価格が表示されたら、そのまま一括査定に申し込むことも可能。複数の買取業者からのオファーが届くため、最も高額な査定を選ぶことで、より有利な売却が期待できます。
3.トヨタ下取り参考価格シミュレーション
画像引用:トヨタ下取り参考価格シミュレーション
トヨタ下取り参考価格シミュレーションでは、主な国産車の下取り価格を手軽にチェックできます。ただし、レクサス車は対象外なのでご注意ください。
操作は、メーカー・車名・年式を選ぶと、ボディタイプとモデル選択に進みます。その後、グレードや燃料の種類、シフト、駆動方式を選ぶだけで、下取り価格の目安が表示されます。
このサービスの特長は、走行距離の入力が不要な点。手元に走行距離の情報がなくても、大まかな下取り価格を把握できます。
ただし、表示されるのはあくまで「参考価格」。実際の買取を検討している場合は、別途査定を依頼する必要があります。トヨタ公式サイト内でも、買取査定の併用が推奨されています。
また、下取り価格は時期によって大きく変動する可能性があります。クルマの購入タイミングがずれると、相場の変化によって表示価格と大きな差が生じるケースもあるため、利用時は最新情報に注意しましょう。
車のネット査定と実査定との違いは?
クルマのネット査定と実査定では、以下の表のような違いがあります。そこで、ネット査定のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
ネット査定 | 実査定 | |
---|---|---|
気軽さ | 〇 | × | 時間・労力 | 〇 | × |
正確性 | × | 〇 | 情報収集 | × | 〇 |
ネット査定のメリット
ネット査定は、自宅から依頼できる便利さや、時間的余裕がない方でも利用しやすいでしょう。また、買取相場を比較しながら売却先を決めることもできます。
とにかく気軽に査定できる
ネット査定のメリットの一つは、自宅にいながらスマホやPCを使って気軽に査定申し込みができることです。さらに、すぐに結果が出るので今の愛車の大まかな査定額がわかります。
クルマはいつか処分しなければならないときがやってきます。その時に少しでも高く売りたいと考えるのが普通ですが、どうしても査定には査定士とのかかわりが出てきますから、それを避けるならば、誰とも話さずに査定ができるネット査定が便利です。
また、ネット査定を利用すればある程度の相場がわかるので、高く売るための交渉材料にも使えるでしょう。
査定にかかる時間や労力が少ない
ネット査定の多くは、1分もかからずに大まかな査定額がわかりますから、時間や手間をかけたくない方には便利な機能です。
ネット査定に時間がかからない理由は、入力する項目が少ないからです。入力する項目が少ないと参考とする査定額がわからないのではと感じる方もいるでしょうが、それぞれのネット査定では、膨大な過去のデータをもとに査定額を算出しているので、ある程度のクルマの情報があれば、標準的な査定額が導き出されます。
つまり、ほんの数回クリックして選択するだけで大まかな査定額が表示されるので、労力もほぼないに等しく、日々忙しい方でも利用しやすいのがネット査定といえます。
ネット査定のデメリット
ネット査定は、個人情報を入力する必要がなく、さらに買取店と会話することもなくすぐに査定額が表示されるので便利ですが、情報が少なすぎるため査定額の信憑性に欠けるデメリットがあります。
査定額はおおよその価格となる
ネット査定では、入力する情報が少ないので入力した車種の大体の査定額しかわかりません。そのため、査定価格を手軽に知ることはできても、実査定したら価格がかなり違っていたなんてこともあります。
ネット査定では、メーカーと車種、そして年式と走行距離で査定額が出てしまう簡単な方法も存在します。しかし、査定というのはクルマの状態も加味しなければ本当の価値は導き出せません。
たとえば、同じ車種でグレードも全く同じだけでなく、色や年式まで同じだったとします。この情報に当てはまる車種は全て同じ査定額になるでしょう。しかし、そこに走行距離が加わるだけで異なる査定額が出ます。
ここまでは、ほとんどのネット査定が情報として取り入れていますが、キズやクルマの状態まで情報を取得しません。つまり、全く同じ車種と思っても、エンジンやサスペンションに問題を抱えていたり、目立つキズがあったりすると査定額はかなり下がります。
これらの情報は、実際に査定士が立ち会わなければ見抜くことができないので、ネット査定は参考程度にしかなりません。
情報収集に向かない
ネット査定では、自分のクルマのありきたりな情報を入力して終わりであり、査定額が表示されても、その価格になった理由や、高く売るためのコツなどの情報入手は皆無です。
ネット査定は、最近増えてきた査定システムですが、簡易的なものでしかありません。しかも相手は、PCやスマホの先にあるコンピュータなので、こちらの質問に受け答えするシステムは搭載されていません。
クルマの査定は、情報収集がとても大事です。同じ車種で同じ車両の状態のクルマがどれほどの金額で売買されているか気になる方がほとんどです。このような深い部分の話は、実際に査定に来ている査定士との話の中でしか聞き出すことはできないでしょう。
さらに、今売ろうとしているクルマの人気度やこれからの価格推移も査定士相手なら聞き出すことも可能です。
クルマを少しでも高く売るには、相場を知ることも重要ですが、現在の買取事情や売ろうとしているクルマの人気度、そして売り時などを見極めるには、査定士との雑談が重要です。
ネットで出した査定額はどのように活かせる?
ネット査定は、だいたいの価格なので、実査定とは金額が異なる場合があります。しかし、ありえない金額が査定額として出るのではなく、ある程度の目安となる価格として出ますから、以下の2つのようにネット査定は活用できます。
- 買取希望価格の目安にできる
- 買い叩きを防げる
買取希望価格の目安にできる
ネット査定を活用する方法は、買取希望額の目安を知りたい時に便利です。今まで買取価格というのは、実際に買取店の査定士が実車を検分しなければ導き出せませんでした。もちろん相場というものがありますが、一般ユーザーには活用方法が難しいでしょう。
買取希望額は、同じクルマであっても人それぞれ異なります。また、クルマを利用していた使用者であるからこそ、できるだけ高く売りたいと願うのも当たり前のことでしょう。
しかし、どんなに思い入れがあって大切にしてきたクルマであっても、実際に店頭でどれだけ売れる可能性があるのかが重要です。つまり、買取価格というのは、ユーザーが手にする末端の価格が左右しますから、中古車販売価格から予想することも可能でしょう。しかし、それには中古車価格にある程度詳しくなければなりません。
その点、ネット査定を活用すれば、誰でも簡単にある程度の買取相場の目安がわかります。
買い叩きを防げる
買取業者は少しでも安く買いたいため、買い叩こうとします。ネット査定を利用してある程度の相場を調べておくと、買い叩きにあってもすぐに価格が不自然なことに気が付くため、買い叩かれることを未然に防げるでしょう。
どこのクルマの買取業者も「高く買い取ります」をキャッチフレーズにしていますが、実際は利益確保のために少しでも安く買いたいのが本音です。そこで査定士が買取査定をするときに、ちょっとした会話の中で相場観がなさそうと判断すると、相場よりかなり低めの金額を提示する場合もあります。
何も知らないと、提示された金額が相場と判断してしまいます。さらに、相場より低い価格なのに、「今売らないとどんどん値下がりする」なんて言葉を投げかけられると、提示された金額が高値と勘違いしてしまい、実際より低い金額で手放すこともあります。
こういった査定士の話術に簡単に陥らないためにも、ネット査定である程度の相場観を持っておいた方が、高く売却するには有利と言えます。
少しでも買取価格を上げる方法は?
愛車の査定を少しでも高くするには、以下の6つを実践してみましょう。
- 売却時期を先延ばしにしない
- 複数の買取店を回ってみる
- 整備記録簿を用意しておく
- 純正パーツを用意しておく
- 下取りではなく「買取」を利用する
- 査定前にクルマをキレイにする
売却時期を先延ばしにしない
クルマの売却は、売ろうと思った時が一番高値なので、少し悩むくらいならよいですが、悩みすぎて売る時期を数か月先なんてことにしないようにしましょう。
クルマは生ものと昔から言われています。つまり、クルマも鮮魚と同じように鮮度が大事なので、時間が経つと徐々に値下がりしていく商品です。
売るタイミングは人それぞれなので、売るならいつが良いかと聞かれれば、売りたい時と言う答えになります。よく、3月や9月、ボーナス月などの2,3か月前が狙い目何て言われますが、実際は数か月先の狙い目の時期より今売ったほうが高値になる場合がほとんどです。
というのも、中古車を購入するときにユーザーが気にするのは走行距離と年式だからです。つまり、年式が1年違うと数十万円以上買取価格が変わる場合もあります。また、年式だけでなく、登録月も関係することもあり、3月登録のクルマであれば、現時点から3月までの月数が長いほうが少しでも高くなる車種もあります。
つまり、売ろうと思ったらすぐに手を打たないと、日を追うごとに値下がりする商品なので、決断は早いに越したことはありません。
複数の買取店を回ってみる
買取店は全てが同じ査定額を提示しません。それぞれお店の得意な車種や方針、そして参加している業者オークションなどによって買取価格が異なるので、複数の買取店を回ってみましょう。
買取店では、自社で買取して自社で販売するスタイルを取っている場合もあります。その場合は、タイミングによってかなり好条件を提示してきますから、査定する買取店はできるだけ多いほうが良いでしょう。
また、オークション会場は非常に多くありますが、買取業者によって参加しているオークション会場が異なる場合や、他店では参加していない業者オークションに参加している場合もあります。
例えば、業界大手のUSSオークションに参加している買取業者は多くありますが、開催される会場は全国に数多く存在しており、会場ごとで落札相場も異なっています。つまり、自分のクルマを高く売れる会場に搬入している業者ほど高く買取されますから、地元だけでなく、全国の買取店で査定したほうが有利です。
整備記録簿を用意しておく
クルマには新車購入時に整備記録簿(メンテナンスノート)が付帯しています。この記録簿には、クルマのメンテナンス情報が事細かに記されており、病院のカルテのような役割をしています。つまり、どのような整備をされてきたのか、今の状態はどうなのかを知るためにとても重要なアイテムなので、整備記録簿があったほうが買取で有利です。
新車購入するとすぐに1か月点検が行われ、続いて6か月点検や1年点検が行われます。そして、車検が行われると、当然24か月点検が行われ、どれも整備記録簿に記されていきます。
さらに使用中に何らかの不具合があると、不具合箇所を何時取り換えたのか、交換時の走行距離とともに記されます。
このように、クルマの整備に関することを全て記録されるので、売却時にどのような整備をされてきたのかがわかり、同時にどれだけクルマを大切にしていたのかも伝えられます。
買取店が整備記録簿を見たい理由は、当然現状のクルマの状態を知りたい他に、実際に買い手へのアピールにもつながるからです。
このような理由から、整備記録簿は買取査定時にすぐに用意できるようにしておきましょう。
純正パーツを用意しておく
クルマに長く乗ると、様々なパーツを取り付けて個性を出すユーザーも多くいます。もちろん全てのアフターパーツ取り付けが買取でネガティブになるわけではありませんが、純正品を取り外している場合は、純正品に戻すか純正品を用意しておかないとマイナス査定を取られます。
クルマのカスタムは、個性を出すにはとても良い方法です。自分好みに自分のスタイルに合うカスタムを目指し、完成した暁には感慨深いものもあります。ただ、すぐに取り外せたり、純正に戻せればよいのですが、そうでないと買取では不利です。
基本的に買取査定では、純正が基本です。その理由は、純正が一番汎用性があり、誰もが知っているスタイルと装備だからです。例えば、少しでもハンドリングをよくするためにサスペンションを交換していたとします。交換した持ち主は満足でも、次に購入するユーザーは気に入らない可能性もあります。
そんな時に純正に戻せるパーツがあればマイナス査定は取られずに済むでしょう。もちろん、純正戻しをしていなくても構いません。純正パーツもあることを示せば、社外品で買取に出すより有利です。
下取りではなく「買取」を利用する
クルマの売却には買取と下取りがありますが、高く売りたいのであれば下取りではなく買取を利用したほうが高値で売れます。
クルマの買取と下取りでは、方法が全く異なります。買取はクルマを現金化しますが、下取りは新車価格に充当する形を取ります。しかも、買取は査定したその日に売却価格が決定し、その金額に同意すると契約完了です。しかし、下取りは新車が納車される時期に合わせた金額提示になります。
例えば、新車購入で下取りを考えた場合、欲しい新車が6カ月待ちだったとします。すると、今の下取り価格ではなく、6か月後の下取り価格を予想した価格提示になるので、かなり査定額に差が出ます。
このように、売りたい時の査定額が買取であって、納車時の査定額が下取りであるため、時期のずれから下取りは安くなる可能性が高い事を覚えておきましょう。
査定前にクルマをキレイにする
日頃から洗車をマメにしている方も多いですが、売ってしまうからと、洗車も何もせずに査定に臨むと査定士の印象を悪くします。
クルマが汚れていても、査定士はきちんと査定額を提示します。しかし、査定士が感じるのは「本当にクルマを大切にしていたのだろうか?」といった不安が頭をよぎり、細かいところまで入念に査定チェックが入ります。
また、汚れていると本来のキズが見えなかったり、見えにくくなっていたりして、せっかく高値で買取してもらっても、クルマ引き取り後の洗車でキズが発覚して、返金を命ぜられることもあります。
また、トランクやラゲッジルームに荷物が載せっぱなしになっている方も要注意です。荷物によって、下のカーペットが点検できないなど査定に支障が出ると、後日引き取った後に査定額から値引きされることもあるでしょう。
洗車は手間がかかる作業ですが、もう手放すと決めたのであれば、今迄苦楽を共にした愛車にお別れの気持ちもこめて、しっかりと洗車してから査定に臨みましょう。
まとめ
クルマのネット査定は、大まかな査定額しかわからない反面、個人情報を入力しなくても相場価格がわかるメリットがあります。
ネット査定は、大まかな価格なのでうのみにすることは危険ですが、ある程度の相場観をつかめるので、実際に査定士とのやりとりの武器になるのも事実です。
クルマを高く売るには、自分のクルマの情報を多く持つと有利になりますから、ネット査定を利用して、相場観を持って実査定に臨めば、思いのほかスムーズに査定が進むはずです。そして、買い叩きに合う心配も薄れるので、ネット査定を有効活用しましょう。