エンジンオイルを入れ過ぎた場合の症状・対処法を解説

メンテ
  • 投稿日:2022/06/29
  • 更新日:2022/06/29
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「エンジンオイルを入れ過ぎてしまったけど、大丈夫かな…」
「オイルを入れ過ぎた場合は、どの様に対処すればいいの?」

調整ミスでオイルを規定の量より多めに入れてしまったら、エンジンにどんな影響が出るのか不安になりますよね。

そこでこの記事では、エンジンオイルを入れ過ぎた際に起きる症状と対処法、そしてオイル量の確認方法についてくわしく解説します。この記事を読めば、オイルを入れ過ぎてしまっても冷静に対処できますよ。

エンジンオイルを入れ過ぎた時どうなる?

最初に、エンジンオイルを入れ過ぎてしまった時に起きる、エンジンへの影響をみていきましょう。

オイルを入れ過ぎると、オイルたたきやノッキング、オーバーヒートやオイルハンマーが発生し、マフラーから白煙が出ることがあります。

オイルたたきが発生する

まず、エンジンオイルを入れ過ぎると「オイルたたき」が発生する可能性があります。オイルたたきとは、オイルを入れ過ぎたことで上がった油面をエンジン内の部品であるコンロッドがたたいてしまう現象です。

コンロッドは、ピストンとクランクシャフトをつないで上下運動をしているパーツですが、オイルたたきが発生すると、この動きに対する抵抗が大きくなります。すると、エンジンの回転が鈍くなるためレスポンスが低下し、燃費も悪くなってしまうのです。

マフラーから白煙が出る

エンジンオイルの入れ過ぎによって、マフラーから白煙が出ることがあります。基本的にオイルはエンジンの下方に溜まっており、必要に応じてシリンダーに回ってピストンなどを潤滑させています。

しかし、オイルを規定量より入れ過ぎると、シリンダーに大量のオイルが入り込んでガソリンと一緒に燃えてしまいます。

そして、燃焼したオイルが排気されるため、マフラーから白煙が出るのです。この状態が長く続くと、エンジンが壊れてしまうおそれがあります。

ノッキングが起こる

エンジンオイルの入れ過ぎはノッキングを招き、異音が発生することがあります。エンジンは、シリンダーに吸い込んだガソリンと空気の混合気をスパークプラグで点火して、爆発させることで動かしています。

ところが、エンジンに何らかの異常があると、プラグの点火タイミング以外で勝手に着火して異常燃焼してしまい、カキーンといった甲高い異音が発生します。

これがノッキングであり、そのまま放置するとエンジンが壊れてしまうおそれがあるのです。

オーバーヒートのリスク

エンジンオイルの入れ過ぎは、オーバーヒートのリスクが高まります。エンジン内部に規定より多くのオイルがあると、エンジンに必要以上の負荷をかけてしまいます。

また、クランクシャフトに油面がかかると、溜まっているオイルがかく拌されてオイルの温度が上がることがあります。これによってエンジン本体が高温となり、オーバーヒートを起こしてしまうのです。

最悪の場合、エンジンを載せ替えなければならないケースもあるので、オーバーヒートした場合はただちにエンジンを止め、オイルを抜きましょう。

オイルハンマーが起こる

規定を大幅に超える量のオイルをエンジンに入れてしまうことで、オイルハンマーが起こります。オイルハンマーとは、オイルがシリンダーに入り込んだままエンジンが回されることで、内部が破壊されてしまう現象です。

通常、ピストンは混合気を圧縮していますが、オイルが入り込むとそれを無理に圧縮することになります。

しかし、空気とは違ってオイルは圧縮できないのでコンロッドに負荷がかかって曲がり、エンジンが全損してしまうのです。

エンジンオイルを入れ過ぎた時の対処法

次に、エンジンオイルを入れ過ぎた時の対処法をみていきましょう。対処としては、自分でオイルを抜くか、あるいはカーディーラーや自動車整備工場といった業者に作業を依頼するかのどちらかが選択できます。

オイルを抜く

オイルを入れ過ぎてしまった時は、自分でオイルを抜きましょう。オイルの抜き方には、「上抜き」と「下抜き」という2つの方法があります。

上抜きの作業手順

上抜きは、ジャッキアップをせずに「オイルチェンジャー」という機器を使って、エンジンからオイルを抜く方法です。

1)エンジンルームにあるオイルレベルゲージを抜き取る
2)ゲージの差し込み口から、オイルチェンジャーのホースを入れていく
3)ホースの先が、オイルパンの底まで到達したことを確認する
4)オイルチェンジャーのスイッチを入れて、エンジンからオイルを吸引していく

下抜きの作業手順

一方の下抜きは、車をジャッキアップしたうえでオイルパンのドレンボルトを外し、車両の下側からエンジンオイルを抜く方法です。

1)車をジャッキアップして固定する
2)オイルパックを用意したうえでドレンボルトを外し、古いエンジンオイルを排出する
3)オイルが抜け切ったら、ワッシャーを交換してドレンボルトを規定トルクで締め付ける

なお、下抜きはケガなどのリスクがあるので、自分で作業する場合は上抜きがおすすめです。

業者にエンジンオイルを抜いてもらう

作業に不安がある場合は、対応している業者まで車を持っていき、エンジンオイルを抜いてもらいましょう。

作業の依頼先として、主に以下の業者があります。

1)カーディーラー
2)自動車整備工場
3)ガソリンスタンド
4)カー用品店

業者に頼むと工賃がかかりますが、工具を準備する手間や面倒な廃油処理をしなくても済むうえに、スピーディに作業が終わるというメリットがあります。

手順を誤ってエンジンを破損したり、作業のミスでケガをしたりといったリスクもあるため、自分では作業ができそうにないと思ったら、ためらわず業者に依頼しましょう。

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エンジンオイル量の確認方法

ここからは、エンジンオイル量の確認方法をステップに分けて解説しましょう。大まかな手順としては、ボンネットを開けてオイルレベルゲージを引き抜き、再び差し込んでオイルレベルをチェックするという流れです。

手順1 ボンネットを開ける

まず、車を平坦な場所に停車して、ボンネットを開けましょう。

1)運転席にある「ボンネットオープンレバー」を引っ張る
2)半開きになったボンネットの隙間から見えるレバーを押さえる
3)片方の手でレバーを押さえたまま、もう片方の手でボンネットを持ち上げる
4)ボンネットを支えたまま、もう片方の手で「ボンネットステー」を上げ、裏の穴に差し込む

なお、「ボンネットダンパー」が採用された車であれば開いた状態を油圧で保持できるため、手順4)は不要です。

手順2 オイルレベルゲージを引き抜く

次に、オイルの量を測る「オイルレベルゲージ」を抜き取ります。

1)エンジン周辺にある、先端が黄色(またはオレンジ色)の「オイルレベルゲージ」を探す
2)ゲージを少し引き抜き、抜いた部分をウエスで挟む
3)挟んだウエスで拭きながら、ゲージをすべて引き抜く

オイルレベルゲージを拭かずにそのまま引き抜くと、ゲージに付着したオイルがエンジンルームを汚してしまい危険です。

必ずゲージを拭き取りながら、引き抜きましょう。

手順3 オイルレベルをチェックする

オイルレベルゲージを再び差し込み、オイルレベル(オイルの量)をチェックします。

1)オイルレベルゲージを清掃して、元の筒に最後までしっかりと差し込む
2)ゲージをゆっくりと引き抜き、先端にある2つの印でオイルレベルをチェックする

・付着したオイルが、上側の「上限」より上であれば「入れ過ぎ」
・下側の「下限」より下回っている、あるいは付着しない場合は「オイル不足」
・上下の印の範囲内であれば、オイル量は「適正」

3)ゲージを元の位置にしっかりと差し込み、ボンネットを閉める

以上で完了です。

エンジンオイル量確認時の注意点

さらに、エンジンオイルの量をチェックする際の注意点を解説します。チェック時は車を平坦な場所に停め、できるだけエンジンをかける前に行います。

エンジンをかけていた場合は、止めて5分ほど待機してから計測しましょう。

車を平坦な場所に停める

1つ目の注意点として、エンジンオイルの量を測る際は必ず平坦な場所に停車して行うことです。

傾斜のある場所では、正しいオイルの量を測れません。オイルレベルゲージは、オイルパンに溜まっているオイルの油面の位置を計測するものです。

オイルは地面に対して水平になるため、傾いた場所に車を停めたままオイルの量を測るとゲージの位置にある油面が上がったり下がったりして、誤ったオイルレベルを示してしまうのです。

オイル量を誤って認識したまま車を運転すると故障の原因となりますので、必ず平らな場所まで車を移動させてから計測しましょう。

エンジンをかける前

2つ目に注意すべき点は、エンジンオイルの量はエンジンをかける前に計測するということです。

エンジンを始動すると、オイルはオイルパンからポンプで吸い上げられて、ピストンなど各部の潤滑に使われます。エンジン内部は複雑な形状をしているため、循環するオイルも非常に多くなります。

したがって、エンジンをかけてしまうとオイルパンに残っているオイルが減ってしまい、正確な量が測れなくなるのです。エンジンオイルの量を計測する際は、できるだけエンジンを始動する前に行いましょう。

エンジンを止めてから最低5分後

3つ目の注意点は、エンジンを動かしていた場合のオイル量の計測は、エンジンを止めてから最低でも5分ほど待ってから行うということです。前述の通り、エンジンを動かしている最中は正確なオイル量が計測できません。

そこで、計測する際はまずエンジンを止めます。すると、各部に回っていたオイルがオイルパンに少しずつ戻り、5分ほど待てばある程度の量がオイルパンに集まります。

この状態になってから、オイル量を計測すると良いでしょう。

エンジンオイルの適正量

エンジンオイルの適正量は、軽自動車、普通車、ディーゼル車などの車種によって異なります。

それぞれの車両に付属している取扱説明書に記載されていますので、愛車の適正オイル量をあらかじめ確認しておきましょう。

車種別の適正量

エンジンオイルの適正な量は、メーカーや車種によってもまったく異なります。また、同じ車種でも、搭載しているエンジンの排気量が違えばオイルの量も変動します。

さらに、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンによっても大きく異なるので注意が必要です。

車種ごとの大まかなオイルの量

1)軽自動車 → 2.5~3L
2)普通車 → 4~5L
3)ディーゼル車:→ 5~6L

なお、オイルと一緒にオイルフィルターを交換する場合、注入量は0.3~0.8Lほど多くなります。これは、オイルフィルター内部に溜まったオイルが安静時でもオイルパンには戻らないためです。

トラブルを防ぐため、自分の車は何Lのオイルが入るのか、あらかじめ確認しておきましょう。

説明書の確認

エンジンオイルの適正量は、それぞれ車両の説明書に記載されていますので必ず確認しましょう。取扱説明書では、厳密なオイル量やオイルレベルゲージの位置を確認できます。

車種によってはエンジンカバーの外し方なども載っているので、確認すると作業をスムーズに進めることができます。

また、標準またはシビアコンディションでの交換時期や使用するオイルのグレード、使用温度の範囲、オイルフィルターを交換する場合としない場合のオイル量もくわしく記載されています。トラブルを未然に防ぐためにも、説明書は事前にチェックしておきましょう。

説明書が車載されていない場合は、ディーラーに確認するか、メーカー公式のウェブサイトの「電子取扱説明書」を利用すると良いでしょう。

まとめ

今回は、エンジンオイルを入れ過ぎた時の症状と対処法、そしてオイル量の確認方法について解説しました。

オイルを入れ過ぎると、オイルたたきやオーバーヒートなどが発生してエンジンに重大な支障をきたすので、入れ過ぎに気が付いた場合はすぐに不要なオイルを抜くべきです。

エンジンオイルの量は、平坦な場所に車を停め、エンジンがかかっていない状態で計測します。また、車種ごとに適正なオイル量が設定されているので、あらかじめ説明書を確認しておきましょう。

この記事を参考に、オイルを入れ過ぎてしまった時でも冷静に対処してくださいね。

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