エンジンオイルの粘度は変えられる?粘度の違いや選び方を解説

メンテナンス
  • 2022/06/29
  • 209

それぞれのエンジンオイルには粘度やベースオイルなどの違いがあり、特に注意しなければならないのが粘度です。

オイル交換をする時に粘度を間違えてしまうと、エンジントラブルが発生したり性能が低下したりすることがあるため、気を付けなければなりません。

そこで今回は、エンジンオイルの粘度について解説します。また、粘度を変えることはできるのか、粘度が違うと車にどのような影響があるのかについても紹介したうえで、エンジンオイルの選び方についても解説します。

エンジンオイルの粘度を変更しても良いのか

エンジンオイルの粘度をメーカー推奨の粘度から変更すること自体に問題はありません。ただし、メーカーが推奨するエンジンオイルの粘度から変更する際には注意が必要な場合があります。

メーカーが推奨するオイル粘度から高くする場合はエンジントラブルが発生しにくいものの、メーカー推奨のオイル粘度から低くする場合はエンジントラブルの原因になることがあるのです。

オイルの粘度がエンジンにどのような影響を及ぼすのか、粘度が高い場合と低い場合の特徴を解説します。

エンジンオイルの粘度が高い場合の影響

エンジンオイルの粘度が高いと、エンジン内部の摩擦や高温に対する保護性能も高く、密封・冷却性能も優れているため、エンジンに悪影響を及ぼす可能性はほとんどありません。ただし、エンジンが冷えている時はオイルが硬い状態であるため、燃費が悪化することがあります。

エンジンオイルの粘度が低い場合の影響

一方、エンジンオイルの粘度が低いと、エンジン内部の摩擦や高温に対する保護性能が低いため、オイル漏れやパーツ破損などのエンジントラブルに発展する可能性が高まります。ただし、低温時にもオイルがやわらかいことから、エンジンが冷えている状態でもパーツへの負荷が低く、燃費性能に優れています。

エンジンオイルの粘度は、エンジンの保護・密封・冷却などの性能に影響するだけでなく、燃費性能やパーツへの負荷にも関係する重要な要素です。エンジンオイルを選ぶ時は、粘度にも注目して選ぶようにしましょう。

エンジンオイルの粘度とは

エンジンオイルの粘度とは、オイルそのものの硬さ(またはやわらかさ)のことです。サラサラのオイルが低粘度、ドロドロのオイルが高粘度となります。エンジンオイルの粘度は、エンジンオイルの粘度表記を見ることで確認することができます。

エンジンオイルの粘度表記は、主に「マルチグレード」と「シングルグレード」で記されています。ここからはそれぞれがどのような意味で、どのような表記なのかを解説します。

マルチグレード

マルチグレードとは「0W-40」のように表記されるエンジンオイルで、低温時から高温時まで幅広く対応しているグレードです。

前半2桁の「0W」の「W」は、冬を意味するWinterの頭文字で、低温時における粘度を示しています。低温時の粘度は、0W、5W、10W、15W、20Wの5段階で表記され、数値が小さいほどオイルがやわらかく、エンジン低温時の始動性や燃費性能に優れています。

後半の2桁「40」は高温時の粘度です。高温時の粘度は、20、30、40、50、60などの表記で、数値が大きくなるほど高温時の保護性能や耐磨耗性に優れています。近年では、8や16などの低粘度オイルも増えてきました。低粘度のオイルは、高温時の保護性能よりも低温時の始動性や燃費性能向上を目的としているため、エンジンの始動や停止を頻繁に繰り返すハイブリッドカーやアイドリングストップ機構採用車などで使用されています。

シングルグレード

シングルグレードとは、「SEA30」や「SEA50」のように1種類の数字表記となっているエンジンオイルで、エンジンが低温であっても高温であっても粘度を一定に保てることが特徴です。

しかし、マルチグレードほど幅広い温度に対応していないため、車の使用環境や季節に応じてオイル交換をしなければなりません。シングルグレードのエンジンオイルは、旧車など年式が古い車に使われていることが多く、近年の新しい車にはほとんど使われていません。

粘度表記の規格

エンジンオイルの粘度表記には、いくつかの規格があります。「0W-40」のように表記される「SAE規格」は、多くのエンジンオイルで使われている表記です。

前半2桁の低温時の粘度は「0W」~「20W」で表記されます。低温時の粘度は、数値が低いほどオイルがやわらかいことを意味しています。そのため、エンジンの温度が低くても始動性や燃費性能などに優れていることが特徴です。

後半の「8」~「60」で表記されるのは高温時の粘度です。数値が大きいほどエンジンの温度が高い時の保護性能に優れていることが特徴となっています。

エンジンオイルの粘度表記には、「SAE規格」の他にも、アルファベット2文字で示される「API規格」、GF-で示される「ILSAC規格」があるものの、「SAE規格」で表記されるのが一般的です。

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エンジンオイルの基礎知識!役割・選び方・交換・確認方法を解説

エンジンオイルの粘度による違い

エンジンオイルは粘度によって、燃費性能、パーツ保護性能、高速走行時の冷却性能など、エンジンへの負荷が異なります。

ここからは、高粘度オイルの特徴と低粘度オイルの特徴について解説します。エンジンオイルを選ぶ時の参考にしてください。

高粘度オイルの特徴

高粘度のエンジンオイルは、ドロドロとした硬めのオイル。そのため、エンジンが高温になってもパーツの保護性能に優れていることが特徴です。また、密封・冷却性能にも優れているため、高速走行をする時にも車の性能を引き出しやすいとされています。

一方、エンジンが低温の時にはオイルが硬い状態であるため、燃費性能が下がってしまうことがあります。

高粘度のエンジンオイルは、エンジンに負荷がかかる高速道路や上り坂を頻繁に走行したり、エンジンを高い回転まで回したりすることが多い場合におすすめです。

低粘度オイルの特徴

低粘度のエンジンオイルは、サラサラとしたやわらかいオイル。そのため、外気やエンジンの温度が低い時でも、始動性に優れています。また、オイルそのものがやわらかいため、パーツにかかる負荷が少なく、燃費性能にも優れていることが特徴です。

しかし、高粘度のオイルよりもパーツ保護性能が低いため、エンジンに負荷がかかる高速走行をしたり、髙回転までエンジンを回して走る場合には適していません。

低粘度のエンジンオイルでエンジンに負荷がかかる走行をすると、オイル漏れやパーツ破損などの不具合を起こしてしまう可能性があるため注意が必要です。

エンジンオイル粘度の選び方

エンジンオイルを選ぶ時には、どのような基準で選べば良いのでしょうか。ここからは、オイル交換をする際に、どの粘度のエンジンオイルを選べば良いのか解説します。オイル交換をする時の参考にしてください。

車購入時と同じ粘度のエンジンオイルを選ぶ

エンジントラブルや不具合のリスクをなるべく少なくしたい場合には、車を購入した時に使用されているメーカー推奨粘度のエンジンオイルを選びましょう。

メーカーは、車の性能を最大限に引き出すことができるエンジンオイルを選定して工場出荷時に入れています。エンジンオイルの粘度選びに悩んだら、車の取扱説明書に記載されているメーカー推奨粘度のエンジンオイルを入れておけば間違いないといえるでしょう。

高粘度オイルが適している場合

高粘度のエンジンオイルは、エンジンを高回転まで回したり、頻繁に高速走行をしたりする場合におすすめです。

エンジンに負荷がかかりやすい上り坂の走行や高いエンジン回転数を維持することがある高速道路での走行が多い時は、メーカー推奨の粘度よりも1つ高い粘度のエンジンオイルが良いでしょう。

たとえば、「5W-20」がメーカー推奨とされている場合には、後半2桁の粘度を上げた「5W-30」などのエンジンオイルを選びましょう。粘度を上げることでエンジン高負荷時の保護性能や密封性能が良くなります。

低粘度オイルが適している場合

低粘度のエンジンオイルは、ハイブリッドカーやアイドリングストップ機構など、エンジンの始動と停止を頻繁に繰り返す車や寒冷地で車を使う場合におすすめです。

ただし、メーカー推奨の粘度から低い粘度のエンジンオイルに下げるのはあまりおすすめできません。メーカー推奨のものよりも低い粘度のエンジンオイルに変えてしまうと、オイル漏れやパーツの破損など、エンジントラブルや不具合を引き起こしてしまう可能性があるためです。

メーカーが推奨するエンジンオイルよりも低い粘度のエンジンオイルは入れないようにしましょう。

エンジンの状態で選ぶ

エンジンの状態からエンジンオイルの粘度を選ぶのも手段の一つです。

エンジンは使用していくうちに、パーツ同士がこすれて磨耗していきます。パーツが磨耗するとパーツとパーツの間に隙間ができてしまい、エンジンの燃焼室にオイルが入り込む「オイル消費」が発生することがあります。

エンジンオイルにはパーツ同士の磨耗によって生じたわずかな隙間を埋める効果もあるため、走行距離が伸びてきたらエンジンオイルの粘度を上げ、エンジントラブルを防止すると良いでしょう。

その目安となる走行距離は、5万kmと10万kmです。

5万km以上走行している場合は1つ高い粘度のエンジンオイルを、10万km以上走行している場合は2つ高い粘度のエンジンオイルを使用するとエンジンのコンディションを良い状態に保つことができるでしょう。

ベースオイルでエンジンオイルを選ぶ

ベースオイルとは、基本となるオイルの種類です。ベースオイルには「化学合成油」、「部分合成油」、「鉱物油」の3種類があります。

化学合成油は化学的に精製したオイルで、高い性能を誇るエンジンオイルです。部分合成油は鉱物油に化学合成油を混ぜたエンジンオイル、鉱物油は原油から精製されるエンジンオイルです。

ここからは、それぞれのベースオイルの特徴をくわしく解説します。

化学合成油

化学合成油は化学的に合成したエンジンオイルで、潤滑や耐熱など、エンジンオイルそのものの性能に優れています。また、不純物が少ないことも化学合成油の特徴です。オイルによっては添加剤が合成されていることもあるため、高性能なエンジンオイルとして販売されています。

価格が高額になりやすいものの、低温から高温まで優れたエンジンパフォーマンスが発揮できるため、エンジンの性能を重視する場合におすすめのエンジンオイルです。

部分合成油

部分合成油は鉱物油に化学合成油を混ぜたエンジンオイルで、化学合成油と鉱物油の中間に位置する性能のオイルです。鉱物油よりも高性能でありながら化学合成油よりも価格が安く、コストパフォーマンスが良いことが特徴です。

化学合成油と比較すると性能は下がりますが、ハードな運転やエンジンに負荷がかかる運転をする頻度が低いのであれば、部分合成油で問題ないでしょう。

鉱物油

鉱物油は原油から不純物を取り除いて精製されるエンジンオイルで、最も安価なベースオイルです。化学合成油や部分合成油と比べるとオイル性能が下がるものの、エンジンオイルの基本的な性能である潤滑・密封・冷却・洗浄・防錆の効果は十分にあります。

そのため、日常の買い物や通勤などで車を使うことがメインであれば、鉱物油で問題ありません。エンジンオイルの性能よりも価格面を重視するのであれば鉱物油がおすすめです。

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エンジンオイルのグレードとは?規格とベースオイルの種類を解説

ポリマー製とノンポリマー製

エンジンオイルには、ポリマーによって粘度がコントロールされている「ポリマー製」とポリマーが含まれていない「ノンポリマー製」があります。ポリマー製とノンポリマー製のオイルにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、特徴を理解しておくことが大切です。

ここからは、ポリマー製のエンジンオイルとノンポリマー製のエンジンオイルのメリット・デメリットについて解説します。

ポリマー製のメリット・デメリット

ポリマー製のエンジンオイルは粘度指数向上剤が含まれたエンジンオイルで、多くのメーカーが採用しています。

エンジンオイルにポリマーが添加されると高温でも粘度が下がりにくくなるため、これがポリマー製のエンジンオイルのメリットといえます。ただし、ポリマーの結合が切れる剪断(せんだん)によって高温時の性能が低下したり、エンジンの熱の影響によりスラッジが内部のパーツに固着したりすることがデメリットです。

ポリマー製のエンジンオイルは高温時でもオイルの粘度が変わりにくいものの、劣化がしやすいという特徴を持つオイルです。

ノンポリマー製のメリット・デメリット

ノンポリマー製のエンジンオイルは、パーツの劣化を早めてしまうポリマーが含まれていないエンジンオイルです。

そのため、ベースオイルが持つ性能をしっかりと引き出すことができます。また、粘度の変化に強く、エンジンオイルが劣化しにくいこともメリットです。

一方、ノンポリマー製のエンジンオイルはポリマー製のエンジンオイルのように黒くなりにくいため、どの程度劣化しているのかわかりにくいことや、ポリマー製のエンジンオイルよりも価格が高いということがデメリット。

ノンポリマー製のエンジンオイルは、粘度の変化や劣化がしにくいメリットがあると同時に、オイル交換時期がわかりにくいというデメリットがあるオイルです。

まとめ

エンジンオイルには、ドロドロとした高粘度オイルやサラサラの低粘度オイルがあり、車種やエンジンのタイプによって推奨されるオイルの粘度が異なります。

燃費性能を重視したハイブリッドカーやアイドリングストップ機構が採用されている車には、低い温度でもエンジンオイルの性能を維持できる低粘度のオイルがおすすめです。

一方、高回転でエンジンを回したり、高速道路の走行や上り坂の走行が多い場合には、エンジンの温度が上昇してもエンジンオイルの性能をキープできる高粘度のオイルがおすすめです。

車の使い方や使用場面にあったエンジンオイルの粘度を選び、エンジントラブルのないカーライフを送りましょう。

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