エンジンオイル漏れの症状や確認方法、応急処置方法を解説

メンテ
  • 投稿日:2022/07/05
  • 更新日:2023/05/15
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「エンジンオイルが漏れている気がするけど、どう対処したらいいんだろう…」
「マフラーから白煙が上がっているけど、そのまま走行していいの?」

そんなお困りごとはないですか。車の下から何かが漏れていたり、排気ガスがいつもと違って見えたりしたら焦ってしまいますよね。

そこでこの記事では、エンジンオイルが漏れた際の症状やその確認方法、そして応急処理の方法や修理費用などについて、くわしく解説します。

エンジンオイル漏れの症状

まず、エンジンオイル漏れの症状について、くわしく確認していきましょう。オイル漏れには大きく分けて、車の下に漏れ出てくる「外部漏れ」とエンジンの燃焼室に漏れ出す「内部漏れ」の2つがあります。

外部漏れ

外部漏れでは、車の下にエンジンオイルが漏れ出すことで、漏れ出したオイルが水溜まりのようになってしまいます。

エンジンルームから漏れ出す可能性がある液体はほかにも、エアコンからの排水やエンジンの冷却水、そしてミッションオイルなどがあります。茶褐色で粘り気があり、少し焦げ臭い液体であればエンジンオイルと考えて良いでしょう。

外部漏れは、マフラーにオイルが付着して発火の原因になることがあります。また、オイルをポタポタと垂らしながら公道を走行することは、道路交通法違反になります。

外部漏れが発生した場合は走行を控えるとともに、レッカー業者に要請して修理工場まで運んでもらいましょう。

内部漏れ

内部漏れでは、エンジンの燃焼室にオイルが漏れ出すことで、燃料と一緒に燃えてしまいます。

内部漏れの原因には、ピストンリングの摩耗やシリンダーの損傷によって燃焼室にオイルが上がる「オイル上がり」や、パッキンやガスケットの劣化が原因でシリンダーヘッドからオイルが落ちる「オイル下がり」があります。

外部漏れとは違って外見からは判別しにくいのですが、気づかないまま放置するとエンジンに重篤なダメージを与えるおそれがあります。

マフラーから出る排気ガスが白くなったり、エンジンオイルの減りが異常に早くなったりした場合は、エンジンオイルの内部漏れが疑われます。

エンジンオイル漏れの確認方法

次に、エンジンオイル漏れが発生した際の確認方法を解説します。車のどの辺りから液体が漏れているか、漏れた液体はどんな状態か、そして最終的にはオイルゲージでオイル量をチェックして判断します。

どこから液体が漏れているかを確認する

エンジンオイル漏れかどうかを調べるには、まず液漏れの位置をチェックしましょう。液体が「エンジン直下から漏れている」のであれば、エンジンオイル漏れの可能性が高いと判断できます。

エンジンの位置は、ボンネットを開けて上から確認しましょう。

【そのほかの場所で考えられるもの】
・フロントグリルの下 → 「クーラント」の漏れ
・両側のタイヤ付近 → 「ブレーキフルード」の漏れ
・センターコンソールの下辺り → 「ミッションオイル」の漏れ
・助手席の下 → エアコンが排出する水(正常な状態)
・マフラー付近 → 完全燃焼して発生する「水蒸気」(正常な状態)

漏れた液体の状態を確認する

次に、漏れた液体の状態を確認して、オイル漏れかどうかを判断します。

実際に漏れ出た液体を手で触ってみましょう。漏れた液体が「茶褐色で臭いがあり、触ると粘り気があるもの」であれば、エンジンオイルの可能性が高いです。

【違う液体で考えられるもの】
・赤や緑の色が付いた水 → 冷却水の漏れ
・無色透明だが、触った感覚が水ではない → ブレーキフルードの漏れ
・強烈な臭いを発する液体 → 燃料の漏れ
・無色透明で無臭 → エアコンやマフラーが排出した水(正常な状態)

無色透明なもの以外の液漏れであれば車に何らかのトラブルが発生している状態であるため、自分では動かさず、直ちにカーディーラーやカーショップに相談しましょう。

オイルゲージで確認する

エンジンオイルが漏れているかどうかは、オイル量を測る「オイルゲージ」でも確認ができます。計測の結果、オイルゲージの目盛りで「上限」と「下限」の間であればオイルの量に問題はありません。

しかし、目盛りの「下限」以下、またはゲージにまったく付着しない場合は、エンジンオイル漏れが疑われます。

【オイルゲージの使い方】
1)平坦な場所に停車して、ボンネットを開ける
2)エンジン周辺のオイルゲージを引き抜き、ゲージに付着したオイルをウエスで拭き取る
3)元の位置にしっかりと差し込み、再び引き抜く
4)オイルゲージの目盛りで、量をチェックする

エンジンオイル漏れの原因

では、エンジンオイルはどのような原因によって漏れてしまうのでしょうか。

オイル漏れの原因は、エンジンの気密性を保つバルブシールやガスケットの劣化、オイルを溜めているオイルパンやドレンボルト、そしてピストンリングの摩耗が考えられます。

バルブシールの劣化

1つ目に考えられる原因は、バルブシールの劣化です。バルブは燃焼室に吸入する空気の量を制御している部品で、燃焼室の気密性を保つために周囲がゴムのシールで囲われており、ステムシールとも呼ばれます。

オイル交換を怠るとエンジンから発生した金属粉が溜まってバルブシールを傷つけ、そこから燃焼室の内部にオイルが侵入してしまう、いわゆる「オイル下がり」が起きるのです。こうなると、バルブシールを交換しない限り治りません。

バルブシール自体は数百円程度のパーツですが、その交換は複雑な工程を要するため結果的に工賃は高くなります。

ガスケットの劣化

次に考えられる原因は、ガスケットの劣化です。ガスケットはエンジンの至るところに使われており、接続された隙間を埋めて気密性や水密性を保つシール材であり、主にゴムでできています。

エンジンオイルに関連するガスケットは、シリンダーヘッドとシリンダーブロックの間にあるもので、エンジンの高熱にさらされて圧力もかかっているため、劣化するとそこからオイルが漏れてしまうことがあるのです。

再利用は不可能なため、劣化してオイルが漏れ出している場合は交換が必要です。ガスケットも数千円程度のパーツですが、こちらも交換に手間がかかるため最終的な工賃は高くなります。

ドレンボルトの不具合

さらに、ドレンボルトの不具合によるエンジンオイル漏れも考えられます。エンジン下部のオイルパンに付いているドレンボルトはエンジンオイルを下側から抜く際に開閉するものですが、緩すぎても締めすぎてもオイル漏れが発生します。

また、ドレンボルトにはワッシャーが付いており、締める際に潰れるため再利用はできません。これを使いまわしてしまった場合にも、オイル漏れが発生します。

加えて、ドレンボルトを手で回した後に工具での締め付けを忘れてしまったり、締め付け過ぎてオイルパンのネジ山を潰してしまうことも、オイル漏れの原因となります。

オイルパンの破損

オイルパンの破損による、エンジンオイル漏れの可能性もあります。オイルパンはエンジンの底にあり、エンジンオイルを溜めておくパーツです。

逆さまになった蓋のような形でエンジンに取り付けられており、取付部の周囲はシールが挟まっています。ここが劣化するとオイルが漏れてしまうのです。

修理の際には、一旦オイルを抜いてオイルパンを取り外し、シールを交換します。

また、走行中にエンジンの底を障害物などにぶつけてしまった場合、オイルパン自体が破損してオイルが漏れ出すことがあります。この場合は、オイルパンの交換が必要です。

ピストンリングの摩耗

ピストンリングの摩耗によって、燃焼室の中にオイルが漏れている可能性もあります。ピストンリングはピストン上部の外周に付いており、シリンダーとピストンの隙間を埋めて燃焼室の気密性を高めている部品です。

このリングが摩耗すると燃焼室の中にオイルが上がって燃料と一緒に燃えてしまうため、オイル量が減少します。

ピストンリングの摩耗を修理するには、大掛かりなエンジンの分解整備が必要で、数十万円の費用がかかります。場合によってはシリンダー側も摩耗していることがあるので、エンジンの載せ替えなども視野に入れておく必要があるでしょう。

エンジンオイル漏れが起こった時の応急処置

ここからは、実際にエンジンオイル漏れが見つかった場合の応急処置について解説します。

具体的には以下の3つの方法がありますが、こちらで紹介する方法はあくまでも応急的な処置ですので、できるだけ早めに整備工場に相談しましょう。

漏れ止め剤を使用する

エンジンオイル漏れの応急処置として、市販されている「漏れ止め剤」が有効です。漏れ止め剤をエンジンオイルに混ぜると、劣化して硬くなったシールの弾力を回復させてオイル漏れを止められます。

製品によっては、配合されている成分によりオイル上がりやオイル下がりの防止、エンジンノイズの低減といった効果もあります。

ただし、オイル漏れにはさまざまな症状があるため、漏れ止め剤がすべての車に効果を発揮するとは限りません。

特に大きな摩耗や劣化には効果がないため、漏れ止め剤でもオイルが漏れる場合はすぐに整備工場に修理を依頼しましょう。

粘度の高いオイルに交換する

エンジンオイル漏れには、粘度の高いオイルへの交換でも対応可能です。なぜなら、オイルの粘度を上げるとエンジン内部でオイル漏れの原因となっている極小の隙間を補えるからです。

オイルの粘度には規格があり、「10W-30」などと表示されています。この右側の数字が大きいほど粘度が高く硬いオイルであり、エンジンが始動して高温になってもやわらかくなりにくくなります。

この「油膜の厚み」によって、シールやピストンリングとシリンダーの隙間が埋められるのです。

ただし、粘度の高いオイルはエンジンに負荷がかかったり、燃費が悪くなったりするという欠点もあるので注意が必要です。

エンジンオイルの注ぎ足しをする

エンジンからわずかににじみ出ている程度のオイル漏れであれば、エンジンオイルの注ぎ足しで対処できる場合もあります。

ただし、少量の漏れとはいえ根本的な修理をしない限りオイルはどんどん減っていくので、いずれエンジンは壊れてしまいます。

まずは、オイルゲージを使ってエンジンに残っているオイルの量をチェックしましょう。少し減っている程度であればオイルを注ぎ足しして、既定値を下回らないように調整します。

注ぎ足す際は、現在入っているオイルにできるだけ近い種類のものを選択し、多く入れすぎてトラブルにならないよう慎重に少しずつ足していきましょう。

▼関連記事
cars LIFEでは下記記事でもオイルに関する内容を紹介しています。
エンジンオイルの基礎知識!役割・選び方・交換・確認方法を解説
オイル交換の値段はいくら?交換作業の依頼先ごとに費用の目安を解説

エンジンオイル漏れを放置した場合どうなる?

特に走行に問題がないからとエンジンオイルの漏れを放置してしまうと、エンジンが焼き付いたり漏れたオイルが引火したりと、大きなトラブルに発展します。

また、そもそも車の保安基準に適合していないため、車検に通りません。

エンジンが焼き付く

エンジンオイル漏れを放置してしまうと、エンジン内部のオイル量が不足して、最悪エンジンが焼き付いてしまいます。

オイルはエンジン内部の潤滑だけではなく、エンジンを冷却する役割もあります。したがって、オイルの量が不足するとエンジンが熱を持ち、ピストンとシリンダーが溶けて固着してしまうのです。これを「焼き付き」といいます。

エンジンが焼き付いてしまうと、オーバーホールやエンジンそのものを交換しなければならないため、多額の修理費用がかかります。

早めに修理をすれば修理費用も安く済むため、オイル漏れが発生したらすぐ整備工場に相談しましょう。

漏れたオイルに引火するリスク

エンジンオイルが漏れている状態で放置すると、車両火災が発生する危険があります。

エンジンオイルは約350℃で自然発火するとされていますが、エンジンから排出される燃焼ガスをまとめるエキゾーストマニホールドは走行中、約800℃にもなるといわれています。

そのため、漏れたオイルがマフラーに垂れると火災が発生する可能性があるのです。その火が燃え広がってガソリンに引火してしまうと最悪の場合、爆発を起こします。

このように、少量の漏れでも場所が悪ければ大きな被害になるので、エンジンオイル漏れを発見したら速やかに使用を停止して、修理に出しましょう。

車検に通らない

エンジンオイル漏れを放置したままでは、安全に走行できないとみなされて車検に通りません。オイル漏れを起こしている状態は整備不良であり、修理するまでは保安基準に適合しないからです。

エンジンオイルが漏れて量が不足するとエンジンが焼き付いてしまい、車が走行不能となって大渋滞を発生させてしまううえ、追突事故の原因にもなるため非常に危険です。

また、オイルが漏れた車両は火災を起こす危険性もあるので、車検には合格しません。車検時以外でもオイルが漏れたまま走行していると整備不良と判断され、道路交通法違反として処罰の対象になります。

エンジンオイル漏れの修理費用

エンジンオイル漏れが見つかったら、すぐ整備工場に相談しましょう。

修理としては、漏れ止め剤の使用やボルトの締め直し、パーツの交換、そしてオーバーホールがあり、かかる費用はそれぞれ大きく異なります。

漏れ止め剤の費用

■漏れ止め剤の費用:1,500〜6,000円程度

少量のエンジンオイル漏れであれば、漏れ止め剤を添加するだけで改善できる可能性があります。カー用品店で購入して、オイルフィラーキャップから自分で混ぜることも可能です。

自分で対処する場合は、製品ごとにエンジンオイルの量に対する添加量が決まっているので、それを超えないように注意しましょう。

漏れ止め剤でオイル漏れが解消できない場合は、速やかに整備工場のプロに相談しましょう。

ボルト締め直し費用

■ボルト締め直し費用:2,000〜5,000円程度

エンジンに取り付けられているボルトの周辺でオイルが漏れているのであれば、ボルトの増し締めをすれば解消できる可能性があります。

エンジンのボルトにはそれぞれ規定のトルクが設定されているため自分で対処するのは避け、整備工場のプロに増し締めを依頼しましょう。

また、ドレンボルトが原因の場合は、ボルトやワッシャー自体を交換します。いずれの場合も、それほど高額な費用にはならないでしょう。

パーツ交換費用

■パーツ交換費用:20,000〜100,000円程度

オイルシールの劣化によるオイル漏れであれば、オイルシールを交換する必要があります。

シール自体はそれほど高価なパーツではないですが、エンジン周りを分解する作業になるため交換工賃は高額です。

シールを交換するために外すパーツが少なければ費用も数万円程度で収まりますが、多くの部品を取り外さなければならない箇所であれば工数も増えるため、10万円前後の費用がかかる場合もあります。

エンジン修理費用

■エンジン修理費用:200,000円以上

焼き付いてしまった場合やガスケットを交換する場合には、エンジンのオーバーホールが必要となるため修理費用は非常に高額となります。

シリンダーにピストンが固着していたり、オイル上がり・オイル下がりが発生していたりする場合は、エンジンを車体から取り外してエンジンブロックやシリンダーヘッドを分解する必要があるため数日がかりの作業となり、その費用は20万円を超えることも。

場合によっては、エンジンの交換や乗り換えの検討を勧められるかもしれません。

まとめ

今回は、エンジンオイルが漏れた際の症状や確認方法、そして応急処理の方法や修理費用などについて解説しました。

エンジンオイル漏れには外部漏れと内部漏れがあり、それぞれ原因が異なります。漏れているのがエンジンオイルかどうかは、垂れている場所や液体の状態で確認することが可能です。

オイルが漏れたまま放置すると焼き付きや火災のリスクが高まるので、できるだけ早めの対処をおすすめします。

この記事を参考に、オイル漏れが発生しても冷静に対処してくださいね。

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